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インタビュー

THE GASLAMP KILLER 『Breakthrough』



LAのビート・シーンが誇る最大の怪人? あるいは最後の秘境? ガスランプ・キラーがブレインフィーダーからいよいよデビュー!



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モジャモジャのロングヘアーに髭面、そしてサングラスという怪しげな風貌がトレードマークのガスランプ・キラーことウィリアム・ベンジャミン・ベンサッセンは、いまや世界中を飛び回る人気DJであり、フライング・ロータスと双璧をなすブレインフィーダーの顔でもある。レイヴによって音楽に開眼した彼は、その狂乱の宴と並行してインヴィジブル・スクラッチ・ピクルズやビート・ジャンキーズへも憧れを抱くという、とてもユニークなバックグラウンドを持つ。その独自の視点から生み出されるトリッキーなDJプレイで、地元サンディエゴでは有名だったようだ。

そんなウィリアムが飛躍するきっかけは、2006年に移り住んだロサンゼルスでの活動に他ならない。彼の個性は〈ロウ・エンド・セオリー〉やインターネット・ラジオ局のダブラブなどLAの各拠点でたちまち認められ、現在ではシーンの重要人物となっているほどだ。これまでに数枚のシングルと数々の非公式ミックス音源をリリースしているが、特にミックス作品はアンディ・ヴォーテルやイーゴンからの影響を公言している通り、非西洋圏のブレイクビーツも好んで選曲するなど熱心なディガーぶりを発揮。その一端は、アンディ・ヴォーテル主宰のファインダーズ・キーパーズからリリースされた(おそらく)唯一のオフィシャル・ミックスCD『All Killer』でチェックできるだろう。

またライヴ・パフォーマンスも人気で、自身のセットを破壊しかねないアグレッシヴな動きが〈狂人〉と呼ばれる所以にもなっており、未見の人はぜひその姿をチェックしてほしい。さらに、自身の作品以外では、フライング・ロータス“GNG BNG”を共作し、ゴンジャスフィ『A Sufi And A Killer』ではプロデューサーとして高い評価を得ている。これらさまざまな活動の集大成が待望のファースト・アルバム『Breakthrough』だ。多彩なゲストの個性を拝借しつつ、ガスランプ・キラーらしい異国ムードが漂うビート作品となっており、多様な文化が混じるLAシーンを象徴するかのような仕上がりだ。



▼ガスランプ・キラーの参加作を一部紹介。

左から、フリー・ザ・ロボッツの2008年作『Free The Robots』(Easel)、プレフューズ73の2009年作『Everything She Touched Turned Ampexian』、ゴンジャスフィの2010年作『A Sufi And A Killer』(共にWarp)、2012年のコンピ『Low End Theory Japan Compilation 2012』(disques corde)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年10月09日 15:15

更新: 2012年10月09日 15:15

ソース: bounce 348号(2012年9月25日発行)

文/青木正之