2CELLOS
©Sony Music Entertainment.
ロックの大物プロデューサーを得て、さらにスケールアップ!
ポピュラー・ミュージックを2台のチェロで演奏する。そのコンセプトを進化させた2ndアルバム『2CELLOS2』。60年代まで遡った幅広い選曲、エルトン・ジョンやスティーヴ・ヴァイ、ズッケロといった大物ゲストを迎えて、自作曲も初披露。スケールアップした彼らを楽しむことが出来る。
「今回は他のミュージシャンとコラボしたら、どんな音楽が生まれるのか、それを見せたくて、収録曲の半分でゲストを迎えた。驚異的な声の持ち主のズッケロ、ピアニストのラン・ランとの共演では化学反応を起こすことが出来た。コンテンポラリーになったサウンドに大満足だよ」(ルカ)
そのサウンドや選曲で貢献してくれたのがボブ・エズリン。70年代からアリス・クーパーやKISSなどのプロデュースを手懸けてきたロック界の重鎮だ。
「選曲でもボブが協力してくれた。初めて聴く曲もあり、興奮しながら選曲したけれど、それをチェロで演奏すると、予想以上にうまくいったし、ゲストにマッチする曲を見つけることも出来た。今後も彼と組みたいと思っている」(ステファン)
スティーヴ・ヴァイがギターを弾く『地獄のハイウェイ』ではバンドとレコーディングし、ミューズやプロディジーの曲ではチェロがまるでエレキギターのような音色に変貌を遂げている。
「楽曲に合わせてよりヘヴィーでエキサイティングなサウンドにしたかったので、これまでとは異なるディストーションとか、初めて使うエフェクターを導入してみたんだ」(ステファン)
そう言えば、昨年の来日時も熱心に楽器店で新しいエフェクターを物色したと聞く。もちろんロックばかりではなく、最後はカール・ジェンキンスの《ベネディクトゥス》で美しく締めくくる。
「この曲を聴くたびに涙がこぼれる。僕らの演奏は、激しいものばかりではない。優美な表現も得意としている。《ベネディクトゥス》は、ぜひアルバムの最後に演奏したいと思った」(ルカ)
そして、もうひとつのトピックは、オリジナル曲の《オリエント・エクスプレス》。サウダージという言葉が浮かぶエモーショナルな楽曲だ。
「オリエンタル急行はクロアチアのあるバルカン半島を通る。メロディは、バルカンのルーツからインスピレーションを得て、一定に保たれるリズムは列車の振動音を表現しているんだ」(ルカ)
良き理解者ボブとの出会いで、ユニットの可能性が引き出された。それが聴き手の興奮を誘う。ジャンルを超越する快感がここにある。