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インタビュー

LONG REVIEW――さめざめ “愛とか夢とか恋とかSEXとか”



ひと筋縄ではいかないオンナらしさ



さめざめ_J170

SEXにまつわる露骨なフレーズをリフレインさせながら、オンナの情念と性をリアルかつ切実に歌った“コンドームをつけないこの勇気を愛してよ”の歌詞に度肝を抜かれた諸兄姉からすれば、メジャー・デビュー・シングルとなる“愛とか夢とか恋とかSEXとか”は、〈わりと普通〉の印象を与える楽曲かもしれません。がしかし、あからさまに〈何コレ!?〉な言葉が控えめなぶん、さめざめ=笛田さおりのソングライターとしての魅力にぐっとフォーカスした、〈普通に染みてくる曲〉なんですよね、これが。ブルージーなコード感を含ませた穏やかなピアノをバックに言葉を重ねていき、やがて感情の高まりと同期しながら歪んだギターが響き渡る……間奏はピアノ・ソロでもギター・ソロでもなくベースが歌ってたり……といった絶妙なアレンジも、楽器すべてが彼女の子宮と直結してるのではないかと思わせるぐらい、紡がれる艶めかしいメロディーラインをより引き立ててるし、例の曲ではさほど感じなかったんですけど、ここでは思わず〈歌、上手ぇっ!〉って唸っちゃいましたから、ええ。

さらにカップリング曲——“非公式彼女(シークレットダーリン”は、若い頃ののりピーが歌ってそうなアイドル・ポップ……とか思ってうっとり聴いてたら、〈地獄〉とか〈殺す〉とかっていうグロいフレーズにドキリとさせられるし、“あの女”は、〈ふざけんな あの女〉という殺気立った歌い出しに反して色っぽいメロウ・ナンバーだし(感情的な歌詞でも捲し立てて歌わないのは彼女の特徴であり魅力ですね)、ひと筋縄ではいかないオンナらしさとふくよかなメロディーにすっかり虜です。


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掲載: 2012年12月05日 18:01

更新: 2012年12月05日 18:01

文/久保田泰平