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インタビュー

吉井和哉 『18』

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2013年でソロデビュー10周年を迎える吉井和哉がベストアルバム『18』をリリースする。タイトルは「吉井和哉の十八番=おはこってことです。あとは、カズヤ、と(笑)」(本人・談)という意味だが、表現者としての十八番の多さを誇る彼のベストアルバムは、一連のベスト盤とは異なった趣があるようだ。


今回のベストは、今の吉井和哉を過去の吉井和哉が挟むってテーマがあったんですよ。だから新曲も入れたし、曲のセレクトも収録順を決めるのも、すごく悩んだ。


吉井和哉は、11月から12月下旬にかけて、全国ツアー「YOSHII KAZUYA .HEARTS TOUR 2012。を行った。その東京公演、11月28、29日の日本武道館。本編のラストで披露されたソロデビュー曲“TALI”の前のMCで、吉井和哉はソロ活動を「迷いながら、確信のないままやってきましたが……」と振り返り、最後はデビュー曲をこう紹介した。「今、また、違う気持ちで歌うことができるようになったように思います」ライブのアンコールで自らも触れていたが、2013年1月23日、ベストアルバム『18』がリリースされることとなった。このアルバムは「悩むこと?面倒くさい、いやだとか言いながら、本当は好きなのかもしれないですね(笑)。という吉井和哉の<ソロ10年間の葛藤>が収録された作品と言えるかもしれない。

吉井和哉:改めて聴いてみると、10年間のいろんな事を思い出しますね。今回のベストは、今の吉井和哉を過去の吉井和哉が挟むってテーマがあったんですよ。だから新曲も入れたし、曲のセレクトも収録順を決めるのも、すごく悩んだ。選ばれたのは言葉の強さを持っている曲ばかりでしたね。

 シングル曲や代表曲をリリース順に並べたベスト盤では無い。新曲2曲に加え、新録3曲が収録されている。まずは新曲“血潮”と“HEARTS”について。

 

吉井:まず“血潮”は、5年くらい前に母体があった曲。ばらしちゃうと、自分の中でのジプシーキングス観なんですよね(笑)。5年前にはやりすぎかなぁと思ったから、少しの間、しまっておいたんです。“HEARTS”も一昨年前に手を付けて、じつは何パターンも完成していたんだけど、当時は、自分の中で中途半端に古い感じがして、心がのってこなかった。でも、2011年の震災を経て、いろんな感情が自分の中で腑に落ちて、一区切りだなって気持ちも出てきた。だからやっと、出そうって気になったんですよね。“血潮”と“HEARTS”には、2011年の震災や、もっと言うと2001年の9.11に対しての気持ちが入ってる。今だからこそ、歌えるというかね。今、本当にみんなで<大地を踏みしめていこう>と思うことが出来る時期だと思うから。この2曲を歌うタイミングが来た、歌うべきして歌うことができた2曲だと思ってます。



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そして、新録“点描のしくみ”、“煩悩コントロール”、“朝日楼(朝日のあたる家)”について。最新シングル“点描のしくみ”と去年2月に配信リリースされた“煩悩コントロール”は、オリジナルリリースの際は、すべてプライベートスタジオ録音、吉井和哉が打ち込み演奏したものだった。アルバム『18』に収録されたのは、アメリカでドラムとベースを差し替えたバージョン。ミックスもしなおしている。演奏したのは、吉井のソロ活動の盟友・ジョシュ・フリーズ、クリス・チェイニーである。

吉井:自分の中では、新録は人間バージョンなんですよね(笑)。ジョシュには、僕からラブコールしたんですよね。そしたら、運よくファースト・アルバムから一緒にやれることになって。以降、彼とは何度も作品を作ることになって、それからツアーも一緒に回ってくれるようになったんですよね。ジョシュが曲を作って歌っている作品があるんですけど、それを聴いた時、自分の音楽にすごく似てるなと思ったんですよね。それまで彼みたいな著名なミュージシャンが、日本のよくわからない(笑)ミュージシャンの作品に付き合ってくれているのか不思議だったんですけど、ようやく納得がいったというか。彼はリアルに僕の作品が好きだったんだろうな、と。これまで言ってくれていた言葉の数々も、お世辞じゃなかったんだって思って、すごく嬉しかったですね。

もうひとつの新録“朝日楼(朝日のあたる家)”。2011年の春から行われた全国ツアーに、ギタリストのジュリアン・コリエルも参加する予定だった。しかし東日本大震災が起こり「向こうは来日する気持ちだったけど、いろいろ話し合って、この時は来日を見送ってもらうことにしたんです」という経緯から、ジュリアンの参加を断念。そして今回。“朝日楼(朝日のあたる家)”をベスト盤に入れることになった吉井は、まず前述したツアーのメンバーでレコーディングした。その音源を自らが持って渡米。そしてジュリアンにこう言ったのだと言う。

吉井:ほら、あの時ツアーで一緒に回るはずだった奴らで録ったから、あとはお前の音を入れるだけだ……って言って、彼に弾いてもらったんですね。ワンテイクだったけど、すごいバンド感だった。海を渡って、バンドの音がひとつになったっていう。個人的に、すごく満足感がありました。



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ソロの10年間を語る中、吉井和哉の口からは、硬軟合わせて数々の名言が飛び出したが、その中で最も印象的だった言葉を紹介しよう。

「それまでのポップミュージックに対する概念は古いと思った。ダメな自分が好きみたいな、そういう図式は違なと思うようになったんです。ソロの10年は、その図式と闘っていた10年だったと思う」

 冒頭でも触れた全国ツアー「YOSHII KAZUYA .HEARTS TOUR 2012。その日本武道館公演。アンコールでの吉井のMC。

グッバイって意味深ですけど、よく見れば、まぁ(笑)。1つの時代が終わる感じがして。もっと違う世界があるんじゃないかと思っていて。自分にとって革新的なオリジナルアルバムを出したいと思うので、みなさん、気長に待っていてください」 

2013年2月から始まる全国ツアー「TOUR 2013 GOOD BY YOSHII KAZUYA。のタイトルについて語った言葉である。この言葉の後、ベストアルバム『18』から“HEARTS”を歌い、ライブは幕を閉じた。

2013年。吉井和哉は、ソロ10周年を迎える。

 

■ALBUM……『18』 1/23 on sale!

[Disc-1]
01.TALI
02.CALL ME
03.FINAL COUNTDOWN
04.WANTED AND SHEEP
05.トブヨウニ
06.HATE
07.20 GO
08.BEAUTIFUL
09.MY FOOLISH HEART
10.BELIEVE
11.朝日楼(朝日のあたる家)
12.HEARTS
[Disc-2]
01.点描のしくみ(Album Version)
02.煩悩コントロール(Album Version)
03.血潮
04.母いすゞ
05.ノーパン
06.ビルマニア
07.ONE DAY
08.バッカ
09.WINNER
10.Shine and Eternity
11.LOVE & PEACE
12.FLOWER

[Disc 3]
01.シュレッダー
02.WEEKENDER
03.黄金バッド
04.欲望
05.SIDE BY SIDE
06.BLACK COCK'S HORSE
07.VS
08.恋の花
09.Don't Look Back in Anger(※日本語詞カバー)
10.スティルアライヴ
11.マサユメ
12.甲羅(※未発表曲)
13.ギターを買いに
※M-1~10:Live Version
[DVD]
収録内容(約67分)
・「点描のしくみ Queen of Hearts」予告編
・ MAKING OF「点描のしくみ Queen of Hearts」
・「LOST -誰が彼を殺したか-」










■LIVE……「TOUR 2013 GOOD BY YOSHII KAZUYA」

2/23(土)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2/27(水)東京都 府中の森芸術劇場どりーむホール
3/2(土)山形県 山形県県民会館
3/7(木)兵庫県 姫路市文化センター 大ホール
3/10(日)徳島県 鳴門市文化会館
3/13(水)大阪府 高槻現代劇場 大ホール
3/15(金)鳥取県 とりぎん文化会館 梨花ホール
3/17(日)岐阜県 土岐市文化プラザ サンホール
3/20(水・祝)群馬県 桐生市市民文化会館 シルクホール
3/23(土)長野県 長野ホクト文化ホール
3/29(金)長崎県 長崎ブリックホール
3/31(日)大分県 大分IICHIKOグランシアタ
4/5(金)茨城県 茨城県民文化センター
4/7(日)秋田県 秋田県民会館
4/12(金)北海道 苫小牧市民会館 大ホール
4/14(日)北海道 旭川市民文化会館 大ホール
4/20(土)山口県 下関市民会館 大ホール
4/21(日)佐賀県 佐賀市文化会館
4/27(土)福井県 福井フェニックスプラザ
4/29(月/・祝)島根県 島根県民会館
5/4(土・祝)静岡県 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
5/6(月/・祝)愛知県 一宮市市民会館
5/11(土)和歌山県 和歌山県民文化会館大ホール
5/12(日)奈良県 奈良県文化会館 国際ホール
5/18(土)福島県 あづま総合体育館

※詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。

 



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記事内容:TOWER+ 2012/1/10号より掲載

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2013年01月10日 00:00

ソース: 2013/1/10

TEXT:伊藤亜希