インタビュー

移ろいゆく東京の風景を映したディスコグラフィー

 

『ロマンスカー』 ROMANCE(2007)

おとぎ話のメンバー、吉田悠樹、あだち麗三郎らとの交流のなかで着実に力をつけて発表された初作。豊田道倫の影響を受けたような切なくも自虐的、かつユーモラスな歌詞が耳を惹く。俺はこんなもんじゃないの狩生健志がミックスを、中村宗一郎がマスタリングを担当している。

 

『さみしいだけ』 DIW(2009)

京都で書いたという“鴨川”、女の子からのメールをモチーフにした“メッセージ”などいまもライヴの定番となっている代表曲を多く収めた2作目。ほとんどの楽器演奏は彼自身がこなしている。孤独と戦いながら誕生したような、叙情と諧謔を併せ持つマエケン節がここに開花。

 

『ライブテープ』 ROMANCE(2010)

元旦の吉祥寺を舞台に、歌いながら町を歩く前野の姿を追った松江哲明監督によるドキュメント映画のサントラ。劇中で歌われた曲に再度ミックス/マスタリングを施した、言わばユニークなライヴ盤となっており、時間軸に沿って披露された臨場感のある生々しい歌世界が楽しめる。

 

『ファックミー』 ソニー(2012)

多重録音で作られたもの、弾き語り、バンド・サウンドなどスタイルの多様さが際立つ3枚目のオリジナル作。ファンからの人気が高い“コーヒーブルース”、エコーのかかった録音が印象的な“タワー浴場”など曲調にも広がりが出ており、ストリート・ロッカー然とした佇まいが眩しい。

 

『トーキョードリフター』 felicity(2011)

松江哲明監督とのタッグ第2弾となった同名映画と連動した作品。アナログフィッシュと組んだタイトル曲は、社会に開かれた前野の意識を結実させたロック・ナンバー。石橋英子とデュエットした“ファックミー”や“鴨川”など劇中の弾き語りヴァージョンをはじめ、聴きどころは多い。

 

▼そのほかの作品を紹介。

左から、前野健太のタワレコ限定シングル“東京2011”(felicity)、前野が参加した2008年のコンピ『U.F.O.CLUB TOKYO JAPAN vol.5』(CAPATAIN TRIP)、2009年のコンピ『ニャンでもない日には』(KEBAB)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年01月24日 20:40

更新: 2013年01月24日 20:40

ソース: bounce 351号(2012年12月25日発行)

ディスクガイド/岡村詩野

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