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インタビュー

SCOOBIE DO 『かんぺきな未完成品』



これまでとこれからの自分たちの音楽を肯定し、みんなの生き様も肯定する——〈かんぺき〉に込められた彼らの思いに迫る!



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ヴィンテージなソウル・ミュージックやロックンロールからの閃きを授かりながら、ヴィンテージとは呼ばせないモダンでクールな感性に貫かれた良い歌、良い演奏、良いグルーヴを創造/提供し続けているファンキーな4人衆、SCOOBIE DOが、またもホットなアルバムを届けてくれた。その名も『かんぺきな未完成品』……とはこれ如何に。

「自分たちのことや自分たちが作った楽曲のことを〈未完成品〉と言ってるわけではなくて。いまこういう時代を生きていくにあたって、例えば夢とか希望、笑顔っていう言葉を使ってわかりやすくポジティヴなものを提示するやり方もあるんだろうけど、叶わない夢のほうが多いと思うし、笑顔で乗り越えられる困難なんて少ないと思うし、そのすべてを受け入れて進んでいかなければならない──要するに、生きていくにあたって〈かんぺき〉な答えなんてない、それでも前に進んで行かなければならないんだっていう意味で。僕はわかりやすい言葉で励まされたりとか、エネルギーをもらうっていうのは苦手なところがあるから、どうしても〈いろんなことがあるよね〉っていう前提での表現になっていってしまうんですよね」(マツキタイジロウ、ギター)。

「〈かんぺき〉なアルバムですね(笑)。歌の内容とかは前作のムードを引き継いでるというか、同じように感じる部分もあるし、昔っから変わってない部分もあるし……マツキタイジロウが作る曲だなって感じ。うん、SCOOBIE DOっぽい。SCOOBIE DOのニュー・アルバムとして〈かんぺき〉って感じなんですよね」(コヤマシュウ、ヴォーカル)。

バンド・サウンドのダイナミズム以上に〈聴かせる〉という点にフォーカスした前作『MIRACLES』を経て、「ざっくりとしたロックンロール・アルバムを作ろうと思ってた」(マツキ)という『かんぺきな未完成品』は、スライド・ギターが炸裂するスピーディーなブルース・ナンバーとなったタイトル曲をはじめ、ファズ・ギターとパーカッション、オルガン(ゲスト・プレイヤーとして高野勲が参加)がグルーヴィーに絡む“顔のない声”、ハートフルなソウル・バラード“ひとつと半分”、青春感を湛えたメロウ・ロック“風は吹き抜けた”、激ファンク・チューン“穴”、ミドルテンポのエレジー“悲しみと踊りながら”などなど、彼らがこれまでのキャリアのなかで聴かせてきたソウルネス、ファンクネス、そしてメロウネスが満遍なく散りばめられた、まさにコヤマシュウ言うところの〈SCOOBIE DOっぽい〉作品だ。かんぺきなまでに。

「去年、〈レア音源試聴会〉っていうトーク・イヴェントを地方でやったんですよ。それこそ結成直後の96年とか97年ぐらいに配ってたデモテープとか、その頃のライヴ音源とかをファンの人に聴いてもらうっていう企画だったんですね。で、あの頃どんだけこっ恥ずかしいことやってたのかなあって思いながら音源を聴いたんですけど、案外カッコ良くて(笑)。ちゃんとしてるし、みんな伸び伸びと演奏してて、その感じもイイ。自分で言うのもなんだけど、よく出来てる曲だなあって。それをお客さんに聴かせたら結構ウケまして……っていうのも、今回の楽曲作りのきっかけにはなってますね。やってることはそんなに変わってないと思ったし、やってきたことは間違いなかったなって思ったし、すごく自分のセンスみたいなものを信頼できるなって。自画自賛になりますけど、オレが好きなことはオレがいちばん良くやってくれるっていうような思いに改めて気付かされたんです。自分がイイって思えるものを作れば、そうそう間違ったものは出来ないだろう……って、オヤジになったっていうことでしょうか(笑)」(マツキ)。



▼MOBYが参加したKEIの2013年作『dialogue』(ジェネオン・ユニバーサル)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年06月19日 14:00

更新: 2013年06月19日 14:00

ソース: bounce 355号(2013年5月25日発行)

インタヴュー・文/久保田泰平

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