インタビュー

B'z 『B'z The Best XXV 1988-1998』&『B'z The Best XXV 1999-2012』

 

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 記憶に残り続ける、そして自らの持つ記録も塗り替え続けている、名曲の数々。他の追随を許さない、唯一無二の存在であるB’zが世に送り出したシングル全曲が完全収録されたオールシングル・ベスト2タイトルが、ついにリリースされる! 結成25周年を記念する、豪華かつ貴重な作品集2種。込められているのは強靭な<音楽の力>だ。



魂にもドン!と応えるような、重厚かつ濃密な作品集。音楽を体感できる、という至福に浸れる、魂の楽曲たち



一分一秒を大切に刻んできた<時間>という縦軸と、創造を目に見える形で結実させてきた<実績>という横軸。その二つの軸が織り成して構築し続けた、始まりから現在に至るまでの意義のある<歴史>。その歴史がついに何一つ欠けたりすることのない形でコンプリートされたB'zの25th Anniversaryオールシングル・ベストアルバム2タイトル『B'z The Best XXV 1988-1998』、『B'z The Best XXV 1999-2012』は、手応え、聴き応えがズッシリとあるのはもちろん、魂にもドン!と応えるような、重厚かつ濃密な作品集だ。 25年という歳月を大きく<前期>と<後期>に分けるなら。<前期>の楽曲をまとめた『B'z The Best XXV 1988-1998』でまずなによりも特筆しておきたいのは、過去にリリースされたベストアルバムには収録されていなかったデビューからの3作品“だからその手を離して”、“ 君の中で踊りたい”、“LADY-GO-ROUND”が、初めて収録されていることだ(“だからその手を離して”はマストアルバム『B'z The“Mixture”』に-Mixture style-が存在するが、オリジナル音源は初。)つまりB'zの黎明の時間から、新たにその25周年の歴史に向かい合うことができるということ。デジタルロック×ダンスポップの色が強く、どこか少し蒼さも漂う初期の楽曲は、長い年月を彼らと共に歩んできたファンの方々には懐かしさとくすぐったさのようなものを感じるだろうし、このアルバムをきっかけにB'zに触れた人には、とても新鮮なサウンドに感じられるかもしれない。生のバンドサウンドを強く意識しはじめた“ALONE”、シャッフルナンバー“ねがい”、映画のサウンドトラック風のシアトリカルな世界観をもつ“LOVE PHANTOM”、といったそのときどきの新境地に至る変遷を知るという意味でも、デビュー作から始まるこの<前期>のアーカイブは本当に貴重だ。

 対して、<後期>の作品集『B'z The Best XXV 1999-2012』で堪能できるのは、言葉・声・音色・旋律に増してゆく深みと<成熟>という表現をあえて背を向けてアグレッシブなまでに創造的であろうとする精神と姿勢が表れた楽曲たち。ハードロックの可能性を常に呈示し続けているB'zだが、そのバリエーションの豊富さにあらためて驚かされるのは、やはりこちらのアイテムだろう。タイトルでスピード感に満ちた“ギリギリchop”で幕を開けたと思ったら、次にはバリアフリーをテーマにした名バラード“今夜月の見える丘に”が控えていること。2001年になって打ち込みのダンストラックを再び採り入れて昇華させ、その楽曲タイトルのワードのインパクトもあって、B'zというよりは音楽シーンの歴史の中でも特別な存在となっている“ultra soul”の前後で儚げで幻想的な“RING”とドラマティックな組曲仕立ての“GOLD”が鳴り響くこと。かと思えば、初のスリーミニッツ・ロックンロールでポップに弾けた“愛のバクダン”が飛び出してきたり、“BURN -フメツノフェイス-”ではGSテイストのサウンドで意表を突いてくる。多彩、それでいてどの楽曲にもB'zにしか表現できない世界観が刻み込まれている圧倒的な事実には、もう敬服のひと言しかない。

そして、実は!この2タイトルにはそれぞれ最後に新曲も2曲ずつ収められている。『B'z The Best XXV 1988-1998』では2012年にキム・ヒョンジュンに提供された楽曲のセルフカバー“HEAT”と哲学性を帯びた詞世界と不思議な魅力のトーンが融合されたナンバー“核心”が、『B'z The Best XXV 1999-2012』の方ではソリッドでありながら哀愁も醸し出している“Q&A”と、まさに現実としての理想郷に誘ってくれる“ユートピア”が鳴り響くのだが、どれも絶対に聴き逃せない<最新のB'z>ナンバー。この4曲が揃ってこその<25th>なので、ぜひ全曲チェックをお薦めしたい。また初回限定盤にパッケージされている、彼らの歴史を網羅したDVDの充実ぶりも素晴らしい。初めて陽の目を見る謎多き“ MOTEL”の映像をはじめ、未発表ミュージックビデオ&ライブ映像も織り込まれた、こちらもコンプリート作品集だ。

音楽を体感できる、という至福。それに浸れるのは本当に素敵なこと。B'zの25th Anniversary――彼らの心の、魂の楽曲たちと抱き合いながら、共にその誕生祭を祝福できるのは、本当に筆舌に尽くしがたい喜びだ。


■Album…『B'z The Best XXV 1988-1998』 6/12 on sale!!

SONG LIST

[DISC-1] 
1.だからその手を離して 
2.君の中で踊りたい 
3.LADY-GO-ROUND 
4.BE THERE 
5.太陽のKomachi Angel 
6.Easy Come, Easy Go! 
7.愛しい人よGood Night 
8.LADY NAVIGATION 
9.ALONE 
10.BLOWIN’ 
11.ZERO 
12.愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない 
13.裸足の女神 
14.Don’t Leave Me
 
[DISC-2]
1.MOTEL 
2.ねがい 
3.love me, I love you 
4.LOVE PHANTOM 
5.ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~ 
6.MOVE 
7.Real Thing Shakes 
8.FIREBALL 
9.Calling 
10.Liar! Liar! 
11.さまよえる蒼い弾丸 
12.HOME 
13.HEAT 
14.核心 

■Album……『B'z The Best XXV 1999-2012』 6/12 on sale

SONG LIST

[DISC-1]
1.ギリギリchop 
2.今夜月の見える丘に 
3.May 
4.juice 
5.RING 
6.ultra soul 
7.GOLD 
8.熱き鼓動の果て 
9.IT’S SHOWTIME!! 
10.野性のENERGY 
11.BANZAI 
12.ARIGATO 
13.愛のバクダン 
14.OCEAN

[DISC-2]
1.衝動 
2.ゆるぎないものひとつ 
3.SPLASH! 
4.永遠の翼 
5.SUPER LOVE SONG 
6.BURN -フメツノフェイス- 
7.イチブトゼンブ 
8.DIVE 
9.MY LONELY TOWN 
10.さよなら傷だらけの日々よ 
11.Don’t Wanna Lie 
12.GO FOR IT, BABY -キオクの山脈- 
13.Q&A 
14.ユートピア

■Profile……B'z

1988年にデビューした、稲葉浩志(Vo.)と松本孝弘(Gt.)の2人によるロックユニット。1989年“BAD COMMUNICATION”のヒットで注目され、翌1990年に発表した“太陽のKomachi Ange”が初のチャート1位を記録する。その後現在まですべてのシングルが1位を獲得し、歴代シングル首位獲得数、シングル/アルバム総売上枚数、アーティストトータルセールス数などで歴代1位の記録を更新中。そして、エンターテイメントショーさながらの派手なパフォーマンスに定評があり、ライブはホール、アリーナ、ドームなどあらゆる会場で開催されている。

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記事内容:TOWER+ 2013/6/10号より掲載


カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2013年06月10日 00:00

ソース: 2013/6/10

TEXT:竹内美保