インタビュー

1966カルテット

もはや〈4人はアイドル〉。バンドらしく成長した4作目を聴け!

『ノルウェーの森~ビートルズ・クラシックス』(2010年)での鮮烈なデビュー以来、クイーン、M.ジャクソンと着実に〈カヴァー道〉を極めてきた彼女たちの4作目は原点回帰したビートルズ曲集第2弾。

「最初は距離感もあったビートルズだけど、この2年半でそれぞれ次にやりたい曲が沢山たまってきて、今回はみんなで選曲会議を開いて絞り込みました」(花井)

「振り返ってみると、オペラ的でドラマティックでロックなクイーンも、リズム感が命だったマイケルの時 も、何度も悩んで修得するのに苦労したけれど、そこで学んだことが今回しっかり活かされていると思う。随所で、今、クイーンっぽく弾いてるでしょ? とか、それってマイケルのリズムじゃない? みたいなのをお互いの演奏から感じました」(松浦)

それぞれにイチオシ曲を選んでもらうと…

「原曲も大好きな《Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band》。最初から4人ともが同じ音楽感を持って楽しくプレイできたと思う。テンポとかもぴったりだったし、絶妙なタイミングで合いの手が入れられた。 アンサンブルとしての手応えが感じられた曲です」(松浦)

「敢えてデビュー盤と同じアレンジで再収録した《Yesterday》を。コンサートで弾いてきたことが蓄積されて、味わいとなって表れていると思う。ひとりひとりの個性も出てるし…やっぱり成長してますよね」(花井)

「私は《Girl》。ソロフィーチャした花井さんらしいほんわかしたヴァイオリンが哀愁を帯びた旋律とよ く合って魅力的なのと、原曲で印象的な〈息を吸い込む音〉が再現できたのが嬉しかったので。みんなで試行錯誤して、チェロのブリッジを弓で直接(弦の下に くぐらせて)弾いて出したものなんですが、結構大きな音が出るのでコンサートでも大丈夫そうです」(林)

「《Ob-La-Di,Ob-La-Da》が好きです。おもちゃ箱をひっくり返したような可愛らしい原曲 を、シューベルトのピアノ五重奏曲《ます》のパロディにしたところにクラシックをベースにしたこのカルテットらしい気合いが入っているというか…(笑)。 ピアノ独奏による《Here There And Everywhere》も途中でラフマニノフの一節が顔を見せたりするので聴き所ですよ」(江頭)

音楽以外の面でも、フィギュアを使った目を惹くジャケットや、トム・ブラウンのお揃いのパンツスーツでき めた4人をライカMの動画で撮影したPV等、アートワーク全般をクリエイティヴ・ディレクターのNIGO®が担当していることなど話題は満載。ビートルズ を知らない若い世代から、ふだんクラシックを聴かない層まで、広くアピールできること必至。よりバンドらしくまとまってきた彼女たちに大注目だ。

LIVE  INFORMATION
『寄席CLASSICS vol.3』
○6/28(金)19:00開演
出演:1966カルテット/桂福丸
会場:HAKUJU  HALL

http://kyodotokyo.com/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年06月25日 13:18

ソース: intoxicate vol.104(2013年6月20日発行号)

interview&text:東端哲也