ディスコグラフィーという名の男の履歴書
『A Beautiful World』 Nu America/Interscope(2003)
アンドレ・ハレルを後ろ盾に発表したシック名義での初作。ターゲット的に肌の色を隠す意図もあってか、ジャケには現夫人でもある女優のポーラ・パットンが横たわる。ウォルター・マーフィの〈運命〉を用いた“When I Get Alone”はいま聴かれたいディスコ曲だ。
『The Evolution Of Robin Thicke』 StarTrak/Interscope(2006)
雌伏の時を経て放った美麗なスロウ“Lost Without U”がR&BチャートNo.1を記録し、アルバムもR&Bチャートを制したブレイクの一枚。フェイス・エヴァンスとの共演も光る。スタートラック移籍作ながら、相棒プロジェイとの自作路線はそのまま継続。
『Something Else』 StarTrak/Interscope(2008)
マイペースな制作の流儀を貫きながら生音のグルーヴをさらに明快に押し出し、ここからは粋で軽やかなブラコン作法の“Magic”がヒット。総合チャートでは初のTOP3入りを記録した。これもいまなら日本でも騒がれそうなセンティメンタル・シティー・ソウル盤だ。
『Sex Therapy』 StarTrak/Interscope(2009)
ジェフ・バスカーやテディ・ライリーらに一部で采配を委ね、ジェイ・Zやエステル、ニッキー・ミナージュも招いた、いつになく外交的な4作目。そのまんまな表題曲はポロウ・ダ・ドンの空間処理がエロさを増幅する淫靡なスロウで久々にR&Bチャート首位を獲得した。
『Love After War』 StarTrak/Interscope(2011)
『I Want You』期のマーヴィン・ゲイやエル・デバージ、アルB・シュア!などを思わせる表題曲からして柔和なヴァイブが横溢し、スムースな歌唱もひときわメロウ。商業的には不発だったが、この志向を別の角度から追求した結果が『Blurred Lines』だというのもよくわかる感じ。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2013年08月07日 17:59
更新: 2013年08月07日 17:59
ソース: bounce 357号(2013年7月25日発行)
ディスクガイド/出嶌孝次