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インタビュー

着々と新しさを蓄えているニンジャ・チューンの現在



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ニンジャ・チューンというレーベルの名前を聞いて、あなたは何を連想するだろうか?  創設者のコールドカットを筆頭に、DJフードやアモン・トビン、DJヴァディムら〈アブストラクト・ヒップホップ〉と謳われたイノヴェイティヴなブレイクビーツの総本山? そこに合流したキッド・コアラやDJ KENTAROらのターンテーブリズム? はたまたサブ・レーベルのビッグ・ダダで丁寧に拾われるグライムやUKヒップホップの本筋を追いかけてきた人はもちろん、シネマティック・オーケストラやボノボ、イパなどの叙情派に、知らず知らずのうちに耳を仕留められてきた人も多いだろう。

ゼロ年代半ばのニンジャは、ダブステップとLA新世代ビートが隆盛するなか、その中核を担ってきたフライング・ロータスが主宰するブレインフィーダーの世界配給を行いながら、同レーベルから登場したイリノイのビートメイカーであるローン(昨年の『Ask The Dust』からはニンジャ本隊へと移籍)やエスクモといった面々がかつてのアブストラクトな世界観をモダナイズ。また、もちろん近年のオンライン世代リスナーとのリンクも怠らない。彼らのディスコ/90sへの憧憬にはスラガベッドとレザレットという刺客を送り込み、アクトレス主宰のヴェルクも傘下に収めている。

さらに、確立されたキャリアを飛躍させる新天地としてニンジャを選ぶ才能も少なくない。ランプやプラネット・ミューで芽を出したフォルティDLは、よりダンスへと傾倒した作風でレーベルの新たな顔となった。UKベースやビートのトレンドを掌握してきた歴史を振り返れば、ジャングルやドラムンベース再考と共にその先へと疾走を始めたマシーンドラムが忍の装束を纏うことになったのも至極必然と言えるだろう。さまざまな衣装に着替えながら、気付けばニンジャはいつでもあなたの耳を虎視眈々と狙っている。



▼関連盤を紹介。
左から、ローンの2012年作『Ask The Dust』、スラガベッドの2012年作『Time Team』、レザレットの2013年作『Letherette』(すべてNinja Tune)、ルキッドの2012年作『Lonely At The Top』(Werk)、フォルティDLの2012年作『Hardcourage』、ラファティの2013年作『Sleep Of Reason』(共にNinja Tune)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月09日 18:00

更新: 2013年10月09日 18:00

ソース: bounce 359号(2013年9月25日発行)

文/藤本もこ