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インタビュー

熱を帯びる藤沢と、DLIPの動き



90年代を懐古するほど老いてはいない面々が、一見90年代回帰のようでいて現代的なブームバップを繰り広げているのがダイナリのおもしろさだ。そのアウトローなカッコ良さが例えばTHE OTOGIBANASHI'Sのin-dのような後進を惹き付けている要因でもあろうが、そんなダイナリと志を同じくする面々の集まったクルー/レーベルが、DLIP(DISH LABEL IN POSSHI)である。そして、NAGMATICやBLAHRMYらを擁するこの軍団の飛躍が、直接/間接を問わず地元の面々に与えた影響は大きいはずだ。ここでは現在入手可能なDLIP作品を紹介しておくが(限定盤が多い!)、彼らの関与が多い藤沢産の諸作も合わせてチェックをお勧めしておく。



▼DLIPの面々が参加した作品の一部。
左から、丸の2012年作『TIME FOR SOME ACTION』(MUSTHARD)、K.A.Iの2012年作『SELF PACKAGE』(ILL MOUNTAIN)、DJ MISTA SHARのファースト・アルバム『THE EXPERIENCE』(C.I.C)

 

DINARY DELTA FORCE 『SOUNDTRACK TO THE BED TOWN』(2010)

“BED TOWN ANTHEM”に象徴されるフッドへの思いを掲げた、DLIPの第1弾作品でもあるファースト・アルバム。ワサワサ掛け合う集団MCのスタイルも、NAGMATICの劇画的なサンプリング・ビーツも、過去の常道ではなく自分たちなりの王道を貫いた結果のサウンドトラックなのだ。

 

BLAHRMY 『A REPORT OF THE BIRDSTRIKE』(2012)

2010年の初作『DUCK'S MOSS VILLAGE』とDLIP発の12インチ(どちらも入手困難)を経て届いたフル・アルバム。人気曲の続編となる“都会を背に -fujisawa zombie pt.2-”をはじめ、ズルムケなラップのヤバさをNAGMATICのガシガシしたネタ使いがグッド・ヴァイブへと昇華した傑作。

 

SEGA FRONT 『GIANTS SAVE THE SEGA FRONT』(2012)

ダイナリの“SEGA FRONT”でも描かれた藤沢のスケート・スポットが滑走禁止エリアになったことに対し、DUSTY HUSKYがBLAHRMYの2人と結成したトリオ。本隊よりもややリラックスしたムードを燻しつつ、“GEM ON THE SUN”のように視覚的なループと絡んだ美しさが耳に残る。

 

RHYME BOYA 『MIND VOOK』(2012)

MCバトルでの実績やクルー外への積極的な客演でも名を売ってきた彼だけに、真っ先にソロ作を出してきたのも納得だろう。ここでもNAGMATICが制作の核を担ってはいるが、要所に同輩をフィーチャーしながらもグループ曲とは違う意気盛んな魅力を放っている。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月16日 17:59

更新: 2013年10月16日 17:59

ソース: bounce 359号(2013年9月25日発行)

文/出嶌孝次

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