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インタビュー

『Joyous』に顔を揃えた個性豊かなシンガー、そして作詞家たち



さて、改めてアルバムに顔を揃えたシンガーたち、そして作詞を手掛けた面々をご紹介しておきましょう。まずは横山剣。ニューウェイヴ・ファンク調の“on you surround”で、CKBでは聴けそうで聴けないソウルネスを聴かせてらっしゃいますが、冨田氏曰く「ソウル好きでありながらも、ご自身は歌謡的スタンスも良しとされているのがおもしろい」というのが共演前の印象。この曲の詞は中納良恵。EGO-WRAPPIN'の近作でさらに磨きがかかっているスピード感のなかにも情感を兼ね備えた歌詞が楽曲の熱量を高めています。そして椎名林檎。デビュー当初の彼女の音楽性からすれば冨田ラボとは距離のある感じかもしれませんが、貪欲に音楽性を拡張していった東京事変での活動を経たいまだからこその共演と言えましょう。さかいゆうは本文でも触れた“僕の足跡〜I follow the sun〜”のほかに“いつもどこでも”も歌唱(児玉奈央が歌うTV-CMヴァージョンは初回盤ボーナス・トラックに収録)。僕の足跡〜I follow the sun〜”の詞は『Shiplaunching』収録の“アタタカイ雨”以来の提供となる高橋幸宏、いつもどこでも”の作詞はお馴染みキリンジの堀込高樹だ。そして原由子。冨田氏は制作時のエピソードとして「オケがアウトサイドな感じでガチャガチャ鳴ってても関係なくソフトに歌われるのかと思っていて、仮歌のハミングではそうだったんですけど、歌詞が付いてからはオケに合った唱法にしてくださったんですよね」と振り返ってらっしゃいます。その曲“私の夢の夢”の作詞は青山陽一。もちろん、ブルース・フィーリングな楽曲に合わせてのご指名。最後に、2曲の詞を手掛けた坂本慎太郎。ゆらゆら帝国の頃は〈冨田ラボの世界観〉というフレームに見切れて写っているぐらいの感じでしたが、ソロになってからわりと近いところにいる印象で。ちなみに“この世は不思議”の歌詞は、4人のシンガーのイメージを踏まえつつ、冨田氏との初顔合わせのタイミングですでに書き上げられていたものだそうですよ。



▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
左から、クレイジーケンバンドの2013年作『FLYING SAUCER』(Double Joy International/ユニバーサル)、EGO-WRAPPIN'の2013年作『steal a person's heart』(トイズファクトリー)、椎名林檎の2013年作『いろはにほへと/孤独のあかつき』(ユニバーサル)、さかいゆうの2012年作『How's it going?』(ARIOLA JAPAN)、キリンジの2013年作『Ten』(コロムビア)、高橋幸宏の2013年作『Life Anew』(ユニバーサル)、原由子のベスト盤『ハラッド』(TAISHITA)、青山陽一の2011年作『Blues For Tomato』(Pヴァイン)、坂本慎太郎の2012年作『幻のつきあい方』(zelone)

 

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月23日 18:00

更新: 2013年10月23日 18:00

ソース: bounce 360号(2013年10月25日発行)

文/久保田泰平

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