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インタビュー

2CELLOS



若さとパワーだけではない! 世界か注目する人気ユニット

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Photo:Smallz+Raskind

一昨年1月にマイケル・ジャクソンの《スムーズ・クリミナル》をチェロ2本でカヴァーした映像をYouTubeにアップし、たちまち世界中にセンセーションを巻き起こしてから2年半。ルカ・スーリッチとステファン・ハウザーのコンビ、2CELLOSは短期間で世界的な人気ユニットにのしあがった。

7月に母国クロアチアがEUに加入した。90年代前半の戦争を経て独立した国にとって記念すべき出来事で、同時期の2CELLOSの世界的成功は国の発展の象徴にも見える。彼らは記念式典に出演したという。「スポーツ界では世界的に活躍する選手は多いけど、音楽界にはいなかった。だから、皆が僕らの成功を誇りに思っている。これまでになかったことだからね」

2枚のアルバムはどちらもロックのカヴァーがほとんどの内容なので、彼らはクラシックとロックの両方を聴いて育ってきたのだろうと推測してしまうが、実は《スムーズ・クリミナル》以前はクラシックしかやっておらず、ロックやポップへの取り組みはこの2年半に過ぎないというから驚きだ。だが、2人の音楽へのアプローチは若い頃から異なっていたようだ。2人の出会いは14歳の夏で、すぐにチェロ2本で「ジャム」るようになった…ん? クラシック奏者はロックやジャズみたいに「ジャム」らないよね?

「それが問題なのさ。ジャムるべきだよ。だから、彼らは退屈なんだ(笑)」とステファンは言う。「僕は異なっていた。いつだって即興をしてきたし、クラシック奏者よりもロック・スターみたいな態度だった。クラシックを演奏しているときも、客席の女の子の関心を引こうとしてた。今とそんなに変わらないね」

チェロを選んだ理由は「何でもできるから」だという。「ヴァイオリンのような高音も出せるし、ダブルベースのような低音も出せる。ギターと違って、チェロはかき鳴らすことも音を伸ばすこともできる。それにパーカッションのように叩くことだってね。肉声に近い温かい音だしね」。そして、その可能性をさらに探究しようとしている。「クラシックでやっているみたいに、チェロをひとつの弾き方だけで演奏するのは罪だよ。すごくたくさんのことができるんだから。どうして3百年前に書かれた音楽だけを永遠に演奏しているんだい? 新しいことを探し求めていきたいね」

日本では7月から放映されている彼ら出演のCMが大評判だが、その曲《影武者》についても、こう語る。

「チェロのメロディを奏でる特質についてはよく知られている。でも、チェロが力強く、逞しく、リズミックな楽器でもあると知る人は少ない。《影武者》もリズミックで力強い曲だ。その特質を聴かせたいんだ」



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年10月31日 10:00

ソース: intoxicate vol.106(2013年10月10日発行号)

interview&text:五十嵐正