インタビュー

T-SQUARE plus



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米国の凄腕ミュージシャン達とのコラボレーション・ユニット T-SQUARE plus が12年振りに復活!

T-SQUAREが安藤正容と伊東たけし2人だけのユニットだった2001年、サイド・プロジェクトとして誕生したのが T-SQUARE plus。LAのロック系を中心とするミュージシャンとの共演により「TRUTH 21c」をはじめとし、T-SQUAREのお馴染みの楽曲がハードなサウンドに生まれ変わり、話題となった。あれから12年。T-SQUARE35周年記念の一環として、伝説のユニットが再び蘇える!

改めてT-SQUARE plus というユニットの成り立ちを教えていただけますか。

「僕とギタリストのダグ・ヴォッシ(ex-デビッド・カヴァーデイル・バンド)はもともとゲーム音楽の仕事で交流があって、このプロジェクト以前にもT-SQUAREのアルバム『FRIEND SHIP』(2000年作品)に参加してもらったりしていました。そんな繋がりから彼と本格的にアルバムを作ろうということになり、彼が向こうで彼が選んだミュージシャンたちとレコーディングしたのが前作 『TRUTH 21century』。そして、今回は僕一人でアメリカまでまで乗り込んで録音してきました。伊東さんはスケジュールが合わなくて、後から東京での録音になりました」

今回は2通りのセッションを組み、ロスとミネアポリスの2カ所でのレコーディングを敢行している。

「ロスのレコーディングは前回に続いてダグに仕切ってもらって、ミネアポリスでのセッションはデヴィッド・サンボーンやベン・シドランのバンドなどで活躍していたリッキー・ピーターソンにアレンジを頼みました。リッキーのアレンジはソウル/ブルース/ファンク的でダグはもっとハードなロック・サウンド、そんな2通りの使い分けが出来て面白かったです。選曲もその傾向に沿って割り振ったり、あるいは敢えて逆のタイプの曲を振ってみたりしてね。いずれにしても、僕は一人のプレイヤーとして彼らのアドバイスを受けながらレコーディングしたというわけです(笑)。まあ、この歳になるとレコーディングという作業にも “慣れ” が生じてくるものなんですが、さすがにこういった非日常的な場所と立場でのレコーディングとなると緊張しましたね。だって、普段ロベン・フォードと一緒に演奏してる人に「もう少しブルージーに弾いてみてよ」なんて言われるんですからね(笑)。ギター・ソロに求められるのも日本とは少し違いますね。向こうでは綺麗に弾くことよりも、歌心の方が大事なんです」

それでは、近年リリースされた『宝曲』(2010年作品)、『夢曲』(2011年作品)、『虹曲』(2012年作品)のようなセルフ・カバー・アルバムとの違いは?

「セルフ・カヴァーは本人である僕たちが新しいアレンジを考えて、自分たちで演奏しますよね。でも、このT-SQUARE plus ではアレンジを他人に任せ、さらに演奏するのも僕と伊東さん以外は向こうのミュージシャン。だから、身内だけでやっている状態では起こりえない発想やアイデアが生まれてきます。それに乗っかって演奏する僕たちにも、普段とは違うフレーズが飛び出したりするという変化が現れる。この微妙な変化を聞きわけることが出来れば、アルバムを何倍も楽しめますよ(笑)」

また、本作は海外レコーディングならではの本格的なサウンド・クオリティーを誇ることも特筆しておきたい。

「いまでは日本のスタジオや機材は海外のものと比べても全く遜色のない環境です。ところが日本ではレコーディングを進めていくうちに、どんどん音を重ねたくなる。その点、アメリカのスタジオは演奏中は異常にデッドな感じがして不安になるんだけど、プレイバックしてみると楽器の出音に存在感があって最高のサウンドに録れている。湿度なども含めて、空気が違うからなのか? 電圧がちがうからなのか? それとも音楽の歴史が違うからなのか? 謎です。でもこの感触こそが、イコール洋楽なんでしょうね。だから T-SQUARE plus のサウンドは洋楽なんです。そのあたりのサウンドの違いも感じていただけたら嬉しいですね」

さらに本作にはレコーディングのメイキング映像を収録したDVDが標準仕様としてCDとセットになっている。一見何気ないレコーディング時の映像なのだが、画像からはレコーディング時の雰囲気だけではなく、何故向こうまで出向いて録音するのか? その真意が伝わってきたように感じる。さて最後に、気になる年末のライヴ予定は?

「年末は、まず12月の19日から23日まで神戸のチキンジョージでYEAREND SPECIAL 2013 の5DAYSを、そして大晦日には日本橋の三井ホールで好例のカウント・ダウンを行います。昨年末からここしばらくの35周年行事まで、ゲストをお迎えしてのライヴが多かったんですが、久々に現在のメンバーだけで臨みます。これはホント久々なので、僕たちにとっても新鮮です。ぜひ観にいらしてください」



LIVE INFORMATION


『T-SQUARE COUNTDOWN CONCERT 2013-2014』
●12/31(火)会場:日本橋三井ホール
www.tsquare.jp/



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月11日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview & text :近藤正義