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インタビュー

さまざまな方向から『ハッピーランチ』と繋がるシンガー・ソングライター作品たち



FRED NEIL 『Sessions』 Capitol(1967)

アシッド・フォークのカリスマがサイラス・ファーヤーやブルース・ラングホーンらとジャム・セッションを行って完成させた妖しき名作。親密な空気が漂うなかでのプレイヤーたちによる真剣勝負がヴィヴィッドに捉えられている点は、まさしく『ハッピーランチ』と重なる。*桑原

 

VAN MORRISON 『Astral Weeks』 Warner Bros.(1968)

ジャズ界のミュージシャンたちとの一夜のセッションを、一発録りしてオーヴァーダビング。たった2日間で仕上げたという本作におけるシンガー・ソングライターと敏腕プレイヤーたちとの息詰まる共演は、前野とソープランダーズに通じるものが。*村尾

 

BILL FAY 『Bill Fay』 Deram(1970)

ジム・オルークがリスペクトするイギリスの伝説的なシンガー・ソングライターが41年ぶりに発表したオリジナル作。マット・デイトンやレイ・ラッセルなど、新世代と同世代の腕利きによるサポートを得て、主役の繊細でメロウな歌世界が広がっていく。その様は前野の新作と同様。*村尾

 

JONI MITCHELL 『Court & Spark』 Asylum(1974)

ジョニ・ミッチェルの6作目は、彼女がジャズやソウルなどさまざまなエッセンスをミックスして独自の音世界を作りはじめた第一歩となる作品。独特の浮遊感や柔らかい空気感を持ったサウンドは、“花と遊ぶ”などと共通項を見い出すことが可能だ。*桑原

 

PLUSH 『Fed』 Drag City(2002)

シカゴのシンガー・ソングライター、リアム・ヘインズのソロ・ユニット。ジョン・マッケンタイアをはじめ、かの地のインディー・シーンの仲間たちが集結して奏でる、ブラスやホーンを配した分厚いサウンド──そこから立ち上がるロマンティックな歌声は、前野を思わせたりも。*村尾

 

長谷川健一 『423』 Pヴァイン(2013)

ジム・オルークをプロデューサーに迎えた2作目は、石橋英子や山本達久らも参加した静謐で瑞々しい佳作。温かくてナチュラルな音空間において大いに映える、繊細さと力強さを兼ね備えたハセケンの歌声──そんな本作の質感は、マエケンの新作とやはり共鳴するものがある。*桑原

 

石橋英子 『imitation of life』 felicity(2012)

ジム・オルークのプロデュース作でソープランダーズが全員参加、さらにはドラッグ・シティからもライセンスされたとあっては本作に目を向けないわけにはいかない。シカゴ音響派にも通じる優美なサウンドデザインが印象的な、マジカルでプログレッシヴなポップス集だ。*桑原

 

倉内太 『刺繍』 DECKREC(2013)

前野へのリスペクトを公言しているスウィート・リトル・ブルースマン。やりきれなくてもどかしい感じをあけ透けなまでに吐き出していく両者の歌表現には、同質のセンティメンタリズムを嗅ぎ取ることが可能だ。ネイティブギターとのチームワークが素晴らしい点も、前野作品と共通。*桑原

 

中島みゆき 『親愛なる者へ』 YAMAHA(1979)

“ねえ、タクシー”を聴いて思い出すのは、本作に収録されている名バラード“タクシードライバー”。ブルーに沈む女を乗せたタクシーがネオン煌めく街のなかを走っていく歌詞(やはり新宿らへんが似合いそう)だけでなく、ベースに歌謡性がある点も近似している。*桑原

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年12月18日 17:59

更新: 2013年12月18日 17:59

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

ディスクガイド/桑原シロー、村尾泰郎

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