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インタビュー

B.D. 『BALANCE』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年01月23日 16:30

更新: 2014年01月23日 16:30

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

インタヴュー・文/北野 創



東京の路地から光と影を見つめ、輝きと痛みを知り、静謐と喧噪の狭間をサヴァイヴしてきたMCが、その信念と絆を糧に浮かび上がらせた調和の円環!



B.D._A

THE BROBUSの初作『GAME PLAN』でシーンにその名を知らしめてからおよそ10年――同グループの活動休止を経験しながらも、NIPPS、SPERB、VIKNとのTETRAD THE GANG OF FOURや、同じくNIPPSとタッグを組んだTHE SEXORCISTなどのユニット活動、そして数々の客演を含むソロ・ワークで〈東京のヒップホップ〉を体現してきたB.D.が、サード・アルバム『BALANCE』でついにメジャーの舞台へと躍り出た。

前作『ILLSON』では、黒い揺らめきを湛えた濃密なサンプリング・トラックと聴き手の想像力を喚起させるハードボイルドなリリックによって、イルでドープな世界を広げてみせた彼だが、その持ち味は今作でも損なわれることなく、むしろさらにブラッシュアップすることで渋みを増し、非常にタイトで味わい深い一枚となった。例えば、本人が「オーセンティックな王道のヒップホップ」と語る“KAZE”は、これまでのソロ作でB.D.との好相性を示してきたGRADIS NICEとのタッグ。ほかにもBROBUSの盟友であるHASSY THE WANTEDやTETRADの活動を支えるKEN SPORTら、顔馴染みのトラックメイカー中心でサウンドを固め、制作期間も「2か月ぐらい。凝縮して言えばもっと短い感じ」という良い意味での気負いのなさに、キャリアゆえの余裕と風格を感じさせる。

そもそも『BALANCE』というタイトルには、長くヒップホップに携わってきた者としての責任と矜持が込められている。

「俺〈スターウォーズ〉がすごい好きで。〈フォースにバランスをもたらす者〉みたいな人間というか、(それを)ヒップホップのシーンに置き換えて、俺はそういうバランスを保つ存在でいたいなって」。

それは、いわゆる〈さんピン世代〉と呼ばれる彼より上の世代と、新たに台頭してきた後輩世代を繋ぐという意味であり、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンド、彼の原体験である90年代のヒップホップといまのそれを繋ぐという意味でもある。

「やっぱそういう位置にいるんだなあって改めて思って。次に繋げなきゃいけないこととかあると思うし、逆に先輩たちに認めてもらわなければいけないところだとも思うし。両方ができて初めてグッド・ミュージックだと思ってるから。どっちかに偏ってると流行りのもので終わったり、昔ばっかにこだわり過ぎた音楽になっちゃうし。90年代のヒップホップを聴いて育ったからそういう音が好きだけど、かといってそれをそのまんまやったらただの90年代の音にしかならないから」。

そういった意味で、彼の先輩にしてもはやソウルメイトと言っても過言ではないNIPPSとの共演曲や、MACKA-CHINと共にメロウ・ビートを泳ぐ“MOOCHA”、念願のD.Oを迎えて女性との濃厚プレイを描いたダークな変態ソング“DANCER”と、「こういう若手もいるんだなあって久しぶりに思った」というFla$hBackSに加え、彼らがレコーディング時に連れてきた弱冠15歳のKIANO JONESをフックアップした“WANTED”が自然に同居しているのも頷ける。彼の辿ってきた道程がそのまま東京の〈いま〉のシーンのおもしろさに直結しているかのようだ。

また、アルバムは共にMR. ITAGAKI a.k.a. ITA-CHOが手掛けた“HAJIMARI”で始まり、“0~ZERO~”で終わる、まるで円環のように調和の取れた構成となっている。

「破壊と創造じゃないけど、自分で作っていって、またゼロに戻して。その繰り返しだから。終われないっていうか。このアルバムももうちょっと聴きたいなぐらいで終わるのがちょうどいいかなって思って。だからもちろんこの後も続いていきますし。THE SEXORCISTとTETRADでの活動も含めて」。



▼B.D.の作品を一部紹介。
左から、2012年のソロ・アルバム『ILLSON』(Pヴァイン)、TETRAD THE GANG OF FOURの2010年作『SPY GAME』(ファイル)、THE SEXORCIST Presents B.D. / KILLA TURNER & NIPPS / ROBERTA CRACKの2009年作『BLACK RAIN』(TAR PIT)

 

▼『BALANCE』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
左から、MACKA-CHINの2013年作『incompleteness theorem』(Pヴァイン)、Fla$hBackSの2013年作『FL$8KS』(FL$Nation)、D.Oの2012年作『THE CITY OF DOGG』(VYBE)

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