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インタビュー

Martynas



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Decca/©Simon Fowler



バッハからレディー・ガガまで!UKクラシックチャートの雄

リトアニアで生まれ、ロンドン王立音楽院で学んだマルティナス。デビュー盤『チャルダッシュ』がUKクラシックチャートで1位になったが、アコーディオン作品の首位獲得は初めての快挙だ。バッハからタンゴ、レディー・ガガと多彩な選曲の作品になっている。

「アコーディオンが生まれたのは19世紀だけれど、モーツァルトの時代からポータブルで音の持続時間の長い楽器が待ち望まれた。当初は民族音楽で多用されたが、20世紀になると、現代音楽の作曲家がこの楽器の可能性に注目をして、多くの新曲を書いた。今ではクラシック、教会音楽、現代音楽、民族音楽、ポピュラーミュージックとレパートリーは幅広いので、多彩な選曲になるのは自然なこと。意外と言われることの多いレディー・ガガの《テレフォン》やケイティ・ペリーの《HOT N COLD》は、僕がアレンジしたんだ」

編曲も彼の楽しみのひとつ。リトアニアで発売した自主制作盤は、ポップやロックのヒット曲をアレンジして、ソロでレコーディングしたという。レコーディングで用いる楽器は、16歳で出会い、「これこそが僕の音」と語る愛用のアコーディオンだが、17キロもある。その重さに耐えながら、ベローズシェイクでは小刻みに揺らすことで繊細な音色を奏でる。空気を震わせるようにして響くその音が麗しい。アルバムでは多彩な楽曲をソロ、オーケストラ、またはジプシー・バンドとの共演という3つのスタイルで演奏している。

「《ハンガリア舞曲第5番》や《チャルダッシュ》などではジプシー・バンドと共演している。彼らとは即興で演奏している。クラシックの演奏家の多くは、確かに即興を苦手としているけれど、僕の場合は、3歳で演奏を始めた当初は独学だったので、即興は得意。先日のショウケースで披露した『ルパン3世』のテーマ曲もまず耳で聴いて、アレンジのアイディアを膨らませ、確認する意味で楽譜を見るという感じなんだ」

アコーディオンというと、シャンソンなどの伴奏楽器のイメージが一般的に強い。23歳になったばかりのマルティナスは、リトアニア版オーディション番組『ゴット・タレント』に出演するなど、そのイメージを変えようと新たなことにチャレンジし続けている。

「レディー・ガガの曲を弾くのは若い人に興味を持ってもらいたいからで、アコーディオンの魅力を広く世界に知ってもらいたいという気持ちが強い。来年にはアコーディオン人気の高いアメリカでデビューするし、今回ゲスト参加してくれたヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットとの共演で1万8千人の前で演奏する予定もある。まだ始まったばかり。これから夢の実現のためにたくさんのことに挑戦していきたい」



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月19日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:服部のり子