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インタビュー

快速東京 『ウィーアーザワールド』

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年02月19日 18:01

更新: 2014年02月19日 18:01

インタヴュー・文/金子厚武  写真/荻原楽太郎



速い! 短い! 楽しい! 〈ショート・ハード・ロック〉を標榜する4人組のエンターテイメント・ミュージックで、みんな羽目を外しちゃえ!



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写真/荻原楽太郎



みんなが楽しめるハードコア

初作『ミュージックステーション』収録の“ハチ”がGoogleのキャンペーンで使用され、昨年12月には企画/ディレクション/楽曲/出演を担当したKIRIN〈本搾りTMチューハイ〉のウェブCMが公開されるなど、音楽だけではなく、デザインや映像などもひっくるめた自由な活動スタンスが世の中にジワジワと浸透しつつある快速東京。その一方、2013年は〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉や〈BAYCAMP〉といったフェスにも出演を果たし、シンプルにロック・バンドとしての評価も高まってきているが、そうした場に出ることで、改めて感じることも多かったという。

「夏フェスって、要は盆踊りみたいなもんじゃないですか。中高生がちょっとおめかしして、気になる異性を誘って、お小遣いで焼きそば食べたりとか。本気で大騒ぎしても叱られないところって、フェスぐらいしかないわけですよ。そこで羽目を外すために俺たちがいるんだなって。大きいイヴェントに呼ばれて光栄だなっていうのももちろんなんですけど、バンドの出世のために出演してるわけじゃないんですよ。俺たちは〈呼んでくれてありがとう、RISING SUN ROCK FESTIVAL!〉じゃなくて、〈ようこそRISING SUN ROCK FESTIVALへ!〉なんですよ。あたりまえのことですけど、いちばん大事だと思ってます」(一ノ瀬雄太、ギター)。

彼らはそもそも、大学生のときに学内のイヴェントで友達を楽しませるために結成されたバンド。ライヴハウスに出演するつもりもなかったし、気楽に曲を作っていたという。それが結果的に、持ち味である1~2分台の速くて短い曲に繋がっている。

「僕はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがいちばん好きなんですけど、快速東京を組むときはLess Than TVにハマってて、デラシネが大好きだったんです。レスザンのバンドのライヴに行くとみんな笑ってて、あの感じが好き。それこそ、全然音楽に興味がない友達にも楽しんでもらいたかったから、シリアスな空気は作りたくなかったし」(福田哲丸、ヴォーカル)。

「僕は最初、快速東京はスケート・パンクみたいな、ボーンズ・ブリゲードとかサークル・ジャークスとかリッチキッズ・オン・LSDとかをイメージしてたんですけど。でも、いざ曲を作り出したら全然関係ないことをやってましたね。あと、世代的にギリギリでファット・レック・コーズも流行ってたから、NOFXみたいに難しいことをチョッ速でやるのにも憧れてて、ファーストにはそのへんが多少表れてるかも」(一ノ瀬)。



音楽だけが持つエンターテイメント性

彼らは大規模フェスに出演するようになったいまも、学内で演奏していた頃と同じく〈楽しませたい〉という動機のみでライヴを行っているという。小学生も観に来るという彼らのライヴからは、エンターテイメントの原点が感じられる。

「メタルも好きで、ザック・ワイルドをFacebookで〈いいね!〉してるんですけど、ザックのアカウントにはいつもザック・モデルのギターを持った子供たちの写真が上がってるんですよ。世界中にザックに憧れている子供たちがいるのを見て、〈子供にわかんねえのはダメだな〉って思ったんです」(一ノ瀬)。

「前作を出した後ぐらいから、9歳の少年がライヴに来てくれるようになったんですけど、それがホントに嬉しくて。自分は〈これがやりたかったんだな〉って思ったんですよ。もちろん、そればっかりを意識してるわけじゃないですけど、新作に入ってる“ヤダ”とかは、子供の初めてのロック体験になればいいなと思って作りました」(哲丸)。

前作に引き続き、中尾憲太郎がプロデュースを務めたニュー・アルバム『ウィーアーザワールド』は、大好きなハードコアに対する畏敬の念もあって〈ショート・ハード・ロック〉を標榜してきたバンドが、実際にハード・ロック/ヘヴィー・メタルへと接近した作品になっている。前半こそ、これまで同様に疾走感のある曲が続くが、重厚なイントロの“あくまくん”をはじめ、後半にはBPMを落としたヘヴィーな曲も並んでいるのが特徴だ。

「キッスとかブラック・サバス、メタリカ、モーターヘッドとかがバンドのなかで流行ってたから、それがウッカリ反映されてると思います。〈速くて短くて軽快、のど越し爽やか〉みたいなやつはもうこれまでにやったから、〈違う曲もやりたいじゃん〉っていう、そういう要素として作った曲もあるかも」(哲丸)。

 友人であり、大好きなバンドだという撃鉄“へや”のカヴァーや、KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'Sが客演した“ハグレティックトーキョー”も聴きどころだが、こういった人選にも、彼らのエンターテイメント精神がはっきりと表れている。

「〈エンターテイメントとしておもしろい音楽を作る〉っていう行為が僕らの言語だとロックで、コチトラの言語だとヒップホップっていうだけで、そこで繋がってるんです。僕、去年の〈フジロック〉で初めてジュラシック5を観たんですけど、〈ロックじゃん!〉って思って、吐き気がするぐらいカッコ良かった。結局観てる人が楽しいかどうか、そこだけをフラットに見てるから、音楽でもデザインでも映画でもなんだっていい」(哲丸)。

「(本誌362号の表紙、ステージ上から大観衆に手を振るアヴィーチーの写真を見ながら)これですよ、これ。この光景って、音楽でしか作れないんですよ。いてもたってもいられなくなって、肘をピンと伸ばして腕を上げて、女の人がブラジャーを外しちゃうとか、それぐらい開放的な気分になれるのは音楽だけなんです。デザインでも映画でもこうはならない。俺ら、ここをめざしてるんですよ。でも、まだまだ行けずに、4年間停滞してるんですけど(笑)」(一ノ瀬)。



▼快速東京の作品。
左から、2011年作『ミュージックステーション』(YOUTH)、2012年作『ロックインジャパン』(felicity)

 

▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
左から、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの92年作の20周年記念盤『Rage Against The Machine - XX』(Epic/Legacy)、デラシネの2006年作『デラシネ』(Less Than TV)、NOFXの2012年作『Self Entitled』(Fat Wreck Chords)、ザック・ワイルド率いるブラック・レーベル・ソサイアティの2010年作『Order Of The Black』(Roadrunner)、キッスの2012年作『Monster』(Universal)、ブラック・サバスの2013年作『13』(Vertigo/Universal)、モーターヘッドの2013年作『Aftershock』(UDR)、撃鉄の2012年作『撃と鉄』(Perfect)、KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'Sの2008年作『HAGULIFE』(KSR)

 

 

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