「鷲と鷹」 大澤樹生監督インタビュー
[ interview ]
元・光GENJIの諸星和己と大沢樹生が20年ぶりにタッグを組んだ話題の映画「鷲と鷹」。<大澤樹生>名義で監督にも初挑戦した彼に、本作に込めた想いや諸星和己との共演について話を訊いた。
これほどやりがいのある分野の経験や体験はなかったです。それほど、監督業というものは夢中になれたものでした。
―今回、映画監督として初めてメガホンを取りましたが監督業はいかがでしたか?
「もちろん大変だったっていうのは前提にありますけど、これほどやりがいのある分野の経験や体験はなかったです。それほど監督業というものは夢中になれたものでした」
―この作品の企画・題材は大澤さん自ら選んだのですか?
「今回第一回目の作品としては筋の通ったバシッっとしたものを撮りたかったので、とにかくテーマ性を明確に表現できるようにしたいなと。あとW主演という事で私と諸星さんとの関係性ですね。男同士の五分五分の関係性だったりとか同等性だったりとかを意識しました」
―<監督:大澤樹生>、<主演:大沢樹生>と監督では本名を使われてますが。
「こだわりはありましたね。監督は裏方の部分なんでそこは本名でやらせていただきたいっていう思いはありました」
―印象に残ったシーンや上手く撮れたなというシーンは?
「自分が手を掛けて作った以上オープニングからエンドロールまで見所なんですけど、中盤から後半に掛けてのライブハウスのシーンがシュールで好きです。大音響のライブのセッションで客が熱狂していて片や敵討ちがあって同じ空間であっても誰も気づかずバンドの映像部分は自分も回しましたから」
―ライブハウスのシーンにIZAMさんが出演されていたり、小沢仁志さん、ビートきよしさんの濃いキャストから、元木さんや竹原さん、畑山さんといった幅広い感じですが大澤さん自らのキャスティングですか?
「私がさせていただきまして、ほぼ私の息がかかったキャストと言いますか(笑)。ホントに無理言ってお友達価格で出ていただきました。ヤクザだったら大体この人だっていうとこではいきたくなかったんですよね。竹原さんも畑山さんも非常に生々しい捜査四課の刑事を演じていただいたし、けっこう元木さんを買ってるんですけど、こういう若頭いるじゃん!みたいな」
―西村修さんも出られていますよね。
「西村さんには今回すごく協力していただいて、初めの回想シーンにの学校が出てくるんですが、実はあれ西村さんの母校を使わせていただいているんです。西村さんには現場にも立ち合っていただきまして、<ちょっと西村さん先生役で>って(笑)。きよし師匠もプライベートで仲良くさせていただいておりますし」
―今後も映画を撮っていきたい思いはありますか?
「そうですね。また大変な思いはぜひしたいです。自分では監督業に対して向き不向きって言ったら…全くわからないです。でも今回実際やらせていただいて、非常に好きになっちゃいました。よく映画は監督のものだって聞くじゃないですか。でも僕はそうは思わなくてプロフェッショナルな俳優さん、プロの各パートのスタッフの方々に信頼をまず置かないと自分ひとり監督が抱えこんでしまうと自滅しちゃうと…。だから今回は絶対的信頼を置いて自分も俳優をやってるので、役者さんの立場もわかりますのでこの上ないくらい気は遣いましたよね。スタッフにもそうですけどその気の遣いがすごく気持ちよかったですね。とにかく役者さんに対しては楽しい現場でいて欲しいじゃないですか。そこには気を遣いましたし、楽しい現場にも出来たと思います」
―一体感がある映画とギスギスしてたのかなって映画は何か伝わりますよね。
「そういうのってグルーヴ感が出ますからね。あと、自分のこだわりだけで細かく必要以上にカットを割ってとか…俳優さんのテンションとかもあるじゃないですか。自分もしつこくこだわられるのが好きな方ではないんで、長回しをしても例えば<3回同じ事をしてください>で、あとはアングル変えるだけでその代わりセリフ覚えてねぇみたいな(笑)」
―じゃあアドリブみたいなシーンもあったんですか?
「そういうのも全部いただきましたね。<あぁ、おもしれぇ>とか細かく演技の要求は一切どの方にもしなかったんで。俳優って、監督の言われるがままに演じるだけではなくて脚本を読んで自分の役の設定や演技プランも考えることも仕事だと思うんですよね。当然、菅田さんにしろ小沢さんにしろ諸星さんもそうですけど引き出しをちゃんと作って披露してくれるんで変に押しつけてその方々の人間としての魅力を抑えてしまうより好きにやってもらってもらおうと。自分はどっちかって言うとそっちのタイプなんで。その方がいい所が出てくると信じて」
―色んな方々のキャスティングの中でも今回諸星さんとの20年ぶりの共演が話題になりましたが経緯を教えてもらえますか?
「この話が出た時に自分としてはこの企画意図で進めていこうっていう強い気持ちがありましたんでいい意味でも説得力を持たせられるんじゃないかなと。彼の携帯番号も連絡先も知らなかったんですけど、その場で共通の知人であろう人たちに片っ端から電話して、彼の連絡先を聞きましてその場で彼に<こういう映画の話があるんだけど、どうだろうか>と。後日会いまして詳細をお伝えして受けていただいたと」
―ヤクザと刑事の設定ではあるけど、2人の人生や思いが反映されているなぁと思いましたが。
「そこはもうお客さんがあの関係性を見てシーンを見て、当時の光GENJIを思っていただければそれでよしと。昔からのファンの方も観てくださいますし、またそうでない方も観てくださいますしフィクションとノンフィクションをあえてあやふやにしました」
―ちょっとサービスも。
「そうですね。特にローラースケートのシーンはプレゼントテイクですね(笑)」
―では最後にタワーレコードと言えば「NO MUSIC、NO LIFE」ですが、大澤さんにとって「NO ●●,NO●●.」はどんな言葉が入りますか?
「なんでしょうね…(しばらく考えて)
―波がある感じで?
「非常にあるんです。その分人生経験も出来るんですけど…」
―次の映画にはそういう波がまた……。
「次またやらせていただけるんなら、おだやかぁ~な作品が(笑)。今はまだ上映も終わって間もないんで抜け殻みたいになっているんで、次のビジョンは…でもまぁ、「鷲と鷹」も続編が出来るように終わらせてますんで…」
―「鷲と鷹2」があるかもしれないと。
「それはDVDの売り上げに掛かってます(笑)…」
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大澤監督から直筆コメントを頂きました!!
<ストーリー>
鷹村和也(諸星和己)と鷲尾誠司(大沢樹生)は昔からの幼なじみ。中学卒業から20年、鷹村は警察官、鷲尾は極道として正反対の人生を歩んでいた。そんな折、麻薬取締り法違反の現行犯逮捕の手柄を立てた鷹村は念願の刑事となる。それは兼ねてからの鷹村の願いを叶えるため鷲尾が仕組んだ策だった。久しぶりの再会を喜ぶのもつかの間、鷲尾が所属する組織と敵対組織によって麻薬がらみの抗争が勃発する。鷹村は捜査のために鷲尾に接触を試みる。「俺とお前は交われない」かつて親友だったふたりの男の意地と誇りが激突する…。
<キャスト>
諸星和己 田中律子 菅田俊 小沢仁志 おりも政夫 竹原慎二 畑山隆則 元木大介 IZAM ビートきよし 大沢樹生
<スタッフ>
製作:山田浩貴
企画:大沢樹生
プロデューサー:青鹿敏明/ラインプロデューサー:坪井力/撮影:三浦正浩/照明:疋田淳/録音:亀井邦馬人/美術:中谷暢宏/音楽:中崎英也/編集:室賀厚
監督:大澤樹生
制作:ドリームフォープロモーション
製作・発売・販売元:オールイン エンタテインメント
記事内容:tower+ 2014/8/10号より掲載