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第24回 ─ スタックスの遺産(その3)

ESSENTIALS 魂が震える名盤たち その1

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2007/06/28   18:00
ソース
『bounce』 288号(2007/6/25)
テキスト
文/JAM、出嶌孝次、林 剛

THE BAR-KAYS 『Do You See What I See』 Volt(1972)
ブッカーT&MG'sに続くスタックスのハウス・バンドとしてデビュー、67年にオーティス・レディングに同行したメンバーの大部分を飛行機事故で失うが、飛行機に搭乗しなかったジェイムズ・アレキサンダーが新たなメンバーと共に再生を図り、リード・シンガーにラリー・ドッドソンを迎えてリリースしたのがこれ。マーキュリー移籍後のブレイクを予感させるに十分な脂身トロトロのファンク集だ。
(JAM)


BLACK NASTY 『Talking To The People』 Enterprise(1973)
ADCバンドの前身として知られるブラック・ナスティは、デトロイトのソウル・マザーであるジョニー・メイ・マシューズの子供たちを中心とした男女混成ファンク・バンド。これは彼らの母親がサー・マック・ライスと制作したスタックス傘下での唯一のアルバムで、ノーマン・ホイットフィールド路線のサイケでヘヴィーでグルーヴィーなファンク曲が飛び出す。デトロイト感丸出しの異色作だ。
(林)


FREDERICK KNIGHT 『I've Been Lonely For So Long』 Stax(1973)
シンガーとしてのキャリアも短くない人だが、スタックス時代のフレデリック・ナイトと言えば、やはりモダンなレシピでメンフィス・ソウルの良心を伝え続けてくれたソングライターという印象を抱く人のほうが多かろう。とにかく良い曲を書く人だということは本作を聴けば手に取るようにわかるはずで、“Take Me On Home Witcha”のようなミディアムをやらせたら、彼の右に出る人はいないのでは?
(JAM)

MARGIE JOSEPH 『Makes A New Impression/Phase II』 Volt 
後にアトランティックで花開くマージー・ジョセフがヴォルトから発表していた2枚のアルバム(共に71年作)のカップリング盤。マッスル・ショールズ録音を含み、その歌声からしてアレサ・フランクリンっぽさが匂うが、シュープリームスのナンバーを“Stop! In The Name Of Love”“My World Is Empty Without You”と2曲も取り上げているあたり、ダイアナ・ロスも意識していたのだろう。この時代も再評価を!
(林)

MELVIN VAN PEEBLES 『Sweet Sweetback's Baadasssss Song』 Stax(1971)
レア・グルーヴの発掘作業や、ブラックスプロイテーション・ムーヴィーの再確認作業のなかで人気が再燃した、ある意味においてスタックスというレーベルの旨味をアップデートさせるのに大きく貢献したサントラである。演奏を担当しているのは無名時代のアース・ウィンド&ファイアで、メンフィスのレーベル発とはちょっと考えにくい組み合わせの妙も本盤の持つおもしろみのひとつ。
(JAM)

RANCE ALLEN GROUP 『The Best Of The Rance Allen Group』 Truth 
大空を翔けるようなソウルフルなヴォーカルが人気のランス・アレン率いるデトロイトの兄弟グループ。70年代に(ゴスペル・)トゥルースから放った楽曲を集めた本ベストでは、テンプテーションズ曲のスピリチュアル版とも言える“Just My Imagination(Just My Salvation)”などを収録。世俗音楽との接点を持ちつつゴスペルの革新を試みた彼らの、痛快で爽快なパフォーマンスを楽しみたい。
(林)