NEWS & COLUMN ニュース/記事

第43回――カシーフの世界

カシーフ軍団と並んでNYサウンドを確立したM&Mとは?

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/03/23   19:00
更新
2010/03/23   19:18
ソース
bounce 318号 (2010年2月25日発行)
テキスト
文/林 剛

 

別掲されているララのデビュー作(87年)で、カシーフ主宰のニュー・ミュージック・グループと共同で制作にあたった面々がいる。〈M&M〉ことジョン・モラレス&セルジオ・マンジバイだ。クレジットには〈Another M+M Productions〉とあるが、Anotherと銘打ったのは、以前カシーフがいたマイティMとの混同を避けるためだったのだろう。

NYはブロンクス出身のDJで〈リミキサーの元祖〉的な存在とされるモラレスと、NYのR&B専門ラジオ局WBLSでディレクターを務めたマンジバイ(現在は故人)。ふたりは80年代を中心に数多くのソウル/ポップス名曲をリエディット/リミックスしたマエストロとして知られる。ダンス・ミュージックの勢力がフィリー・ソウルからNYサウンドへと移行する劇的な瞬間を自身のサウンドで表現したのがカシーフなら、既存の曲にドープなグルーヴを加えることで聴衆を熱狂させたのがM&Mだったのだ。先日は、そんな彼らの(リ)ミックス仕事を集めた『John Morales -The M&M Mixes』もBBEから登場。2枚組のDisc-1にはNYアンダーグランド・ディスコのアンセムが、Disc-2にはサルソウル名曲の未発表ミックスが並び、タンバリンやシェイカーなどが強調された抜けのいい音を堪能できる。聴けば、それがカシーフのサウンドと同じヴァイブを放っていることに気付くだろう。

 

▼M&Mの関連作を紹介。

左から、アシュフォード&シンプソンの編集盤『The Warner Bros. Years: Hits, Remixes & Rarities』(Rhino)、エモーションズの84年作『Sincerely』(Oasis/Expansion)