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第51回――ティーナ・マリーを悼む

ESSENTIALS――アイヴォリー・ソウルの名盤たち(1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2011/05/25   00:00
更新
2011/05/25   00:00
ソース
bounce 331号 (2011年4月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次、林 剛

 

TEENA MARIE 『20th Century Masters: The Best Of Teena Marie The Millennium Collection』 Universal

現時点で入手困難なモータウン時代の1〜3作目が再復刻されるまでは、このベスト盤を推奨するしかない。リック・ジェイムズらしい妖美なファンクネスの粘る“I'm A Sucker For Your Love”から、オゾンやシーウインドを従えたグルーヴィーな“Behind The Groove”、以降のシャウト路線を決定づけた“I Need Your Lovin'”まで、アップの変遷を辿るだけでも音楽性の進化がわかる。リチャード・ルドルフ製の洗練バラードも聴きモノ。*出嶌

TEENA MARIE 『It Must Be Magic』 Motown(1981)

モータウンでの最終作にして最大のヒット作。リック・ジェイムズから体得したファンク/ソウル・マナーを自己流に消化した力作で、マーヴェレッツ“My Baby Must Be A Magician”へのオマージュ的な表題曲やブロンディを意識してラップを入れた“Square Biz”のように快活でダンサブルなアップが眩しい。ポルトガル系の血を引く彼女らしいラテン・フュージョン感覚の“Portuguese Love”などミッド〜スロウも光る。*林

RICK JAMES 『Street Songs: Deluxe Edition』 Motown(1981)

ティーナの処女作をプロデュースし、数年後に交際も始めたリックは、彼女の自立後もアレンジやコーラスで援護し、彼女を自作に招くことも多かった。本作は恋も仕事も絶頂期(?)の一枚で、両者の関係をエモーショナルに浮かび上がらせる名デュエット“Fire And Desire”を収録。当時のツアーの模様を収めたデラックス・エディションのDisc-2では、ふたりが共演した貴重なライヴ音源もチェックできます。*出嶌

TEENA MARIE 『Robbery』 Epic/ソニー(1983)

エピック移籍第1弾。モータウン時代のファンク・スタイルをキープしながらエレクトロニックな音色やロック的なエッジを加えて80年代らしさを打ち出した意欲作だ。シーラ・E風の疾走ファンク“Fix It”やギター・カッティングが印象的なミディアム“Midnight Magnet”といったシングル・ヒットはその代表例。が、彼女らしさという点では、“Casanova Brown”“Dear Lover”といった美しく雄大なバラードに軍配を上げたい。*林

TEENA MARIE 『Starchild』 Epic/ソニー(1984)

冒頭のロッキンでダンサブルなファンク“Lovergirl”がR&Bチャートよりも総合チャートで好成績を収めたことも当時の立ち位置を物語る、エピックでの2作目。が、後半ではロニー・マクネアとの熱いデュエット“We've Got To Stop(Meeting Like This)”や急逝したマーヴィン・ゲイに思いを捧げたリオン・ウェアとの共作曲“My Dear Mr. Gaye”でソウル・シンガーとしての力量を見せつける。このバランス感覚が見事。*林

TEENA MARIE 『Emerald City』 Epic/ソニー(1986)

ギターを抱えたジャケが内容を表したような、ファンク・ロックな一枚。ブーツィー・コリンズが声を交えた表題曲を筆頭に、プリンス一派に対抗したかのようなハードで重厚なナンバーが並ぶ。元恋人リックへの未練と敬愛の念が入り混じる“You So Heavy”ではスティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターが唸り、ラテン調の“Batucada Suite”などではブランフォード・マルサリスのサックスが聴けたりと、ゲストも豪華だ。*林

 

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