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第51回――ティーナ・マリーを悼む

レディ・Tのスタイルとスピリットをさまざまな形で継承するフォロワーたち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2011/05/25   00:00
更新
2011/05/25   00:00
ソース
bounce 331号 (2011年4月25日発行)
テキスト
文/林 剛

 

その死が伝えられてから、メアリーJ・ブライジやアリシア・キーズ、それに“Young Love”をネタ使いした曲(“Time”)を歌っていたシリーナ・ジョンソンなど、多くのR&Bシンガーがティーナ・マリーに影響を受けていたことを告白しはじめた。が、そのスタイルを直球で継承した人となると、最近ではマーシャ・アンブロウジアスがその代表格か。声にアクセントをつけながら力強く細やかな表現をしてみせる歌い方はまさしくティーナ譲り……と思ったら、アフターマス時代に“Yes Indeed”をカヴァーしていたのだという。

カヴァーということでは、“Fire And Desire”をジョニー・ギルとデュエットしていたこともあるココ(SWV)、ティーナの他界直後に“Lovergirl”の再構築曲をウェブ上で発表したサイ・スミスなども、歌唱面での共通点は少ないもののティーナ・チルドレンと言える。

一方、白人でありながらR&Bを主戦場とするジョン・Bやロビン・シックは、根っからの黒人音楽育ちという出自も含めてティーナを追う存在だろう。女性では、同じ新生スタックスにも籍を置いたファンク気質のニッカ・コスタ、かつてティーナの音楽仲間だったケリー・ゴーディに送り出されたレイ・ジョーンズ、黒い歌を聴かせるジョス・ストーンなどがティーナの再来を思わせた。ブラック・アイド・ピーズ加入以降のファーギーのファンキーでロッキンな振る舞いにもティーナの影がチラつく。そして、白人っぽい容姿でR&Bのフィールドに食い込んだマライア・キャリーだ。アクの強いヴィブラート、高音域における伸びや張りなど、その歌唱は限りなくティーナに近い。

 

▼関連盤を紹介

左から、シリーナ・ジョンソンの2005年作『Chapter 3: The Flesh』(Jive)、マーシャ・アンブロウジアスの2011年作『Late Nights & Early Mornings』(J)、ロビン・シックの2010年作『Sex Therapy: The Session』(StarTrak/Interscope)、ニッカ・コスタの2008年作『Pebble To A Pearl』(Go Funk Yourself/Stax/Concord)、レイ・ジョーンズの2008年作『Music In My Soul』(Peak/Concord)、ファーギーの2006年作『The Dutchess』(A&M)、マライア・キャリーの2009年作『Memoirs Of An Imperfect Angel』(Island)