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第57回――ベティ・ライト

ESSENTIAL――ベティとその周辺の名盤たち(1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/01/25   00:00
更新
2012/01/25   00:00
ソース
bounce 339号 (2011年12月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛、出嶌孝次


BETTY WRIGHT 『My First Time Around』 Alston/Water(1968)

あらゆる意味での〈初体験〉という意味が込められた処女アルバム。13〜14歳での録音だが、初の全国ヒットとなったバラード“Girls Can't Do What The Guys Do”などで、いじらしい乙女心を歌いながらもビターな情感を滲ませるあたりは、とても10代とは思えない。制作はブラッド・シャピロとスティーヴ・アレイモ。オールディーズ調の“He's Bad Bad Bad”などでは可憐な一面も見せる。*林

 

BETTY WRIGHT 『I Love The Way You Love』 Alston/Water(1972)

デビュー時からの作家であるウィリー・クラークとクラレンス・リードがプロデュースした2作目。マイアミ・ソウル独特の泥臭さやファンキーさとディープな面を見せはじめたベティのヴォーカルが絶妙のマッチングを見せる。後にそのキャッチなギター・リフがサンプリングの定番ネタとなる“Clean Up Woman”もここに。ジャクソン5曲の替え歌やビル・ウィザーズのカヴァーも印象深い。*林

 

BETTY WRIGHT 『Hard To Stop』 Alston/Water(1973)

前作同様ウィリー・クラークとクラレンス・リードを中心に制作された10代最後のアルバム。3作目にしてすっかり肝の据わったシンガーに成長し、冒頭からウーマン・リブ賛歌であるヘレン・レディの“I Am Woman”を取り上げるなど、〈女性の自立〉を意識させる内容だ。マイアミらしいディープで乾いた“The Babysitter”やブルーズン・ソウルな“It's Hard To Stop”といったヒットを含む。*林

 

CLARENCE REID 『Dancin' With Nobody But You Babe』 Alston/Water(1969)

ベティを世に送り出したクラレンスが、同じアルストンから放ったデビュー・アルバム。同期のベティ作品に通じるサザン・フィーリングを持った軽快でファンキーなソウル盤で、ミラクルズやインプレッションズ、ビートルズらのカヴァーも含む。ブロウフライという変態キャラでコメディー・タッチのアルバムを出してもいる人だけに、ベティのキワドイ歌詞の曲には彼の影響が大きそうだ。*林

 

TIMMY THOMAS 『Why Can't We Live Together (The Best Of The TK Years 1972-1981)』 Stateside

シャーデーがカヴァーした“Why Can't We Live Together”で有名な鍵盤奏者/シンガー・ソングライター。ベティとの共演も有名で、オルガンやリズム・ボックスを駆使した尖鋭的なサウンドを売りとした彼のTK時代の代表曲が並ぶ本ベストには、両者の共演曲“Sweet Brown Sugar”“Ebony Affair”も含む。黒人としての美意識を打ち出す姿勢が彼らの共通点だった。*林

 

LATIMORE 『Sweet Vibrations: The Best Of Latimore』 Sequel

ベティやティミー・トーマス、リトル・ビーヴァーとともにジョス・ストーンの門出を支えたこの人もマイアミ・ソウルの大御所。ピアニストとしてベティの作品にも参加していたディープなシンガーで、TK時代の本ベストに収録されたブルージーかつメロウな曲には、彼女もバック・ヴォーカルで参加していた。代表作となるバラード“Let's Straighten It Out”は、後に(14歳の)モニカがカヴァー。*林

 

LITTLE BEAVER 『Joey』 Cat/Pヴァイン(1972)

マイアミ・ソウルを代表するギター弾きのシンガー・ソングライター。ウィリー・クラークに見初められてベティ作品の常連となった人で、あの“Clean Up Woman”の印象的なギター・リフを奏でていたのが彼だった。自身の作品ではブルースを基調とした哀愁メロウな音を放ち、本デビュー作でも、ベティが制作に関わった表題曲を筆頭に、初期TKらしいブルーズン・ソウルを披露。ジョス・ストーンのデビューにも貢献。*林