MILTON WRIGHT 『Friends And Buddies』 Alston/TK/Pヴァイン(1975)
ベティの実の兄弟で、幼少期にエコーズ・オブ・ジョイでもいっしょに歌っていたミルトン・ライト。TKソウル関連のセッションにも顔を出していたギター弾きのシンガー・ソングライターで、本アルバム(のセカンド・プレス)収録の“Keep It Up”が、後年レア・グルーヴ・シーンで脚光を浴びた。マイアミ的な陽気さと哀愁を湛えたニュー・ソウル系名盤。ベティとフィリップの兄妹も参加している。*林
MILTON WRIGHT 『Spaced』 Alston/TK/Jazzman(1977)
KC&ザ・サンシャイン・バンドのブレイクに沸くTKにあって、埋もれてしまった不幸な逸品。ベティの『Explosion』(76年)参加を経て、ディスコ時代に背くようにクロスオーヴァー寄りの流麗なサウンドを展開した2作目だ。セス・シュナイダーを引き続き制作に迎え、“Keep It Up”路線のライトなサウンドをよりパーソナルなタッチで披露。本作を残して法曹の道に進んだ彼のラスト・アルバムにもなった。*出嶌
GWEN McCRAE 『Melody Of Life』 Cat/Pヴァイン(1979)
ベティと並ぶTKの女性シンガーであり、80年代以降もディスコ路線で活躍した彼女。それ以前からヴォーカルやアレンジで関与していたベティがプロデューサーとして仕切った本作は、欧州のカシアスやアヴィシーらがたびたび取り上げるクラブ・クラシック“All This Love That I'm Givin'”をはじめ、“I Found A Love”など再評価の衰えない名曲揃いだ。なお、近年のグウェンはベティ曲も含むカヴァー集を出している。*出嶌
『The Northern Soul Of Miami』 Outta Sight
UKノーザン〜モダン・ソウル視点でチョイスされたマイアミ・ソウルのコンピ。TKプロダクション傘下のレーベルから発表された名曲やレア曲を含み、ディスコまで幅を広げた選曲は、陽気で開放感のあるTKソウルの魅力をそのまま伝えている。そうしたなかで選ばれたベティの曲は、72年の“If You Love Me Like You Say You Love Me”と74年の“Love Don't Grow On A Love Tree”。躍動感溢れるナイス・ソウルだ。*林
JOSS STONE 『The Soul Sessions』 S-Curve/Virgin(2003)
ベティの采配でマイアミの名匠たちが一堂に会し、往年のソウル名曲群を取り上げたデビュー作。フィリー録音の“Fell In Love With A Boy”でクエストラヴがルーツを従えてプロデュースに加わる様子は、今回のコラボ作『Betty Wright: The Movie』のプロローグと言えるか。翌年の次作『Mind Body & Soul』でも名曲“Right To Be Wrong”他を共作/プロデュースするなど、ベティがジョスに与えたものは大きかった。*出嶌
ANGIE STONE 『The Art Of Love & War』 Stax/Concord(2007)
シークエンスの一員として10代から大人びた歌を聴かせ、黒人女性としてのプライドを持った歌でシスターたちの共感を得てきた南部出身のシンガーという点がベティ的でもあるアンジー・ストーン。2004年作『Stone Love』に収録の“That Kind Of Love”に続いて、本作のリード・シングル“Baby”でベティと共演を果たしたのも両者の近似性ゆえだろう。共にスヌープ・ドッグと共演している。*林
DIANE BIRCH 『Bible Belt』 S-Curve(2009)
最近はフェノメナル・ハンドクラップ・バンドとの配信作を出したミシガン出身の女性シンガー・ソングライター。この処女作はジョス・ストーンに巣立たれたS・カーヴが後見し、ベティもマイク・マンジーニとのジョス体制でプロデュースにあたっているが、ブルース〜カントリー色の濃い歌世界はベティ絡みの仕事としては異質。“Fire Escape”や“Forgiveness”あたりに漂う快いサザン・ソウルのフィーリングが聴きものだろう。*出嶌