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第61回――歌うラリー・グラハム

ESSENTIAL――ラリーと仲間たちが残した名作群を、歌にフォーカスして紹介するよ!(1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛、出嶌孝次


SLY & THE FAMILY STONE 『The Essential Sly & The Family Stone』 Epic

母親との活動でドラマーが不在だった時期にスラップを発明したというラリーだが、そんなイノヴェイティヴな功績は“Thank You(Falettinme Be Mice Elf Agin)”に明白。歌い手としてのラリーが光るのはリードを回す“I Want Take You Higher”あたりで、初期の曲では控えめながらも色をつけているコーラスワークに注目したい。 *出嶌

 

GRAHAM CENTRAL STATION 『Now Do U Wanta Dance』 Warner Bros.(1977)

GCSの5作目。アルバムのタイトルやジャケットが示すようにダンス(ディスコ)フロアを意識した作りだが、ファンク濃度はしっかりキープ。アカペラでの幕開けやアル・グリーン曲のカヴァーなど、デビュー作に近い感覚も覗かせる。トークボックス(らしき音色)を使った“Saving My Love For You”はロジャーの先取り!? *林

 

LARRY GRAHAM 『Just Be My Lady』 Warner Bros.(1981)

ほぼすべての楽器をみずから演奏した完全セルフ・プロデュース期に一区切りをつけることになる、ソロでの2枚目。基本は成功した前作を踏襲していて、さらにシンプルになったサウンドがロマンティックな歌世界への集中を誘う。R&Bチャートで4位に輝いた表題曲のバラードを筆頭に、上手くはないがムワッとした味のある紳士的な歌声がたまらない。 *出嶌

 

GRAHAM CENTRAL STATION 『Graham Central Station』 Warner Bros.(1973)

GCSのデビュー作。アカペラで幕を開ける展開はヴォーカル・コンシャスな彼らならではだが、もちろん核となるのはラリーのチョッパーが炸裂するスライ直系のヘヴィー・ファンクだ。アル・グリーン曲も完全にGCS節。“Can You Handle It”ではファルセットから低音までを自在に操り、ラリーのシンガーとしての力量も見せつける。 *林

 

LARRY GRAHAM & GRAHAM CENTRAL STATION 『My Radio Sure Sounds Good To Me』 Warner Bros.(1978)

ホット・チョコレートからのメンバーが全員脱退し、名義もラリー個人を併記するようになって、実質的なソロ志向がスタートしたと見るべき一作か。ディスコ時代を意識したのか初期に比べてファンク・サウンドも相当洗練されているが、ティナ夫人も従えたラリーの歌唱の泥臭さが何とも頼もしい。 *出嶌

 

LARRY GRAHAM 『Sooner Or Later』 Warner Bros.(1982)

プロデュースにジョージ・デュークが加わったソロ3作目。バラードを究めた前2作に比べると、冒頭の表題曲がエレクトリックなダンス・チューンであるように、勢いのあるアップが目立つ。とはいえ、レン・ロン・ハンクス(グレイ&ハンクス)らが書いたスロウではバラディアーとしての持ち味も発揮。起伏に富んだ展開がスリリングな快作だ。 *林

 

GRAHAM CENTRAL STATION 『Release Yourself』 Warner Bros.(1974)

ヘヴィーなデビュー作のテンションを受け継ぎながら洗練を加えた2作目。ジャジーなアレンジを施すなど新境地も見せているが、プロデューサーを〈GOD〉とクレジットしているように、ここでは神への思いが強く表れている。“Release Yourself”は教会での熱狂を再現したような高速疾走ファンク。ラストの“Today”もゴスペル色濃厚だ。 *林