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第61回――歌うラリー・グラハム

猛暑に備えるためのリイシュー

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


またまた久しぶりになってしまいましたのでご紹介が遅くなったものばかりですが……まずは先だっての『Bad』の25周年盤に当て込んだと思しき、ジャクソン5の未発表&レア曲集『Come And Get It: Rare Pearls』(Hip-O)から。2枚組セットに7インチも付いた興味深い内容なのですが、ほとんど騒がれてないのが謎! お蔵入り曲でも輝きは変わりませんよ。

で、希少さではこちらも負けていない、4人組時代のオージェイズが71年に残した『Super Bad』(Little Star/Pヴァイン)が世界初CD化です。数か月前の特集に併せて出ていればなお良かったのですが……フィラデルフィア・インターナショナル契約前に出た、彼らのもっともレアとされるハリウッド録音作で、当時の西海岸らしくニュー・ソウル的な音をやっています。ブラックスプロイテーション映画のようなジャケも気分ですね。

次はフィリー産のレア盤。ロニー・ダイソンの73年作『One Man Band』(Columbia/Purpose)も世界初CD化です。トム・ベルらの手による王道フィリー・サウンドと絶品の歌声が楽しめる一枚で、パーパスからの復刻だけあってディスコ時代にそのまま直結する麗しいグルーヴが満載ですよ。てな感じで次もフィリー系、怒濤の全アルバム復刻が進むサルソウルから、ファースト・チョイスの77年作『Delusions』(Salsoul/BBR)を推薦しておきましょう。ガラージ・クラシックの“Let No Man Put Asunder”や“Doctor Love”で知られる華やかな一般常識です。サルソウルは出揃ったらまとめて特集したいですね。好事家にはインターシティ・サウンド・アソシエーションの75年作『Phillysound』(Intercord/Sonorama)もついでにオススメ。ドイツ産の偽フィリー・ディスコ盤で……まあ、エロジャケは裏切りませんわ。

さらにディスコ期ではデイトン出身のバンド、プラティパスの79年作『Platypus』(Casablanca/BBR)も良好。快活なディスコ・ファンクからメロウ曲まで、息の合いっぷりも楽しい世界初CD化です。しかし、何でも復刻されますね〜。と思ったらこんな大物も……昨年特集したベティ・ライトの76年作『...Explosion!』(Alston/Soul Brother)が世界初CD化! 『Danger High Voltage』も同時復刻されていて、いずれもアルバム未収シングルのボートラ追加が素晴らしいです。

で、最後に、スタックス(ヴォルト)の埋もれたガールズ2組、ジーン・アンド・ザ・ダーリングズとシャーメルズの67〜70年音源をまとめた好盤『We're The Soul Girls! The Complete Volt Recordings』(Ace)を。ウータン“C.R.E.A.M.”の元ネタとして有名な後者のアレを含め、ほぼヘイズ&ポーターの手掛けた黄金のサザン流儀からディープな歌心が溢れてきます!



▼文中で紹介した作品。
左から、ジャクソン5の未発表&レア曲集『Come And Get It: Rare Pearls』(Hip-O)、オージェイズの71年作『Super Bad』(Little Star/Pヴァイン)、ロニー・ダイソンの73年作『One Man Band』(Columbia/Purpose)、ファースト・チョイスの77年作『Delusions』(Salsoul/BBR)、インターシティ・サウンド・アソシエーションの75年作『Phillysound』(Intercord/Sonorama)、プラティパスの79年作『Platypus』(Casablanca/BBR)、ベティ・ライトの76年作『...Explosion!』(Alston/Soul Brother)、ジーン・アンド・ザ・ダーリングズとシャーメルズの67〜70年音源をまとめた好盤『We're The Soul Girls! The Complete Volt Recordings』(Ace)