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第61回――歌うラリー・グラハム

ESSENTIAL――ラリーと仲間たちが残した名作群を、歌にフォーカスして紹介するよ!(2)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛、出嶌孝次


LARRY GRAHAM 『Victory』 Warner Bros.(1983)

石田純一ライクなジャケの装いが眩しい! 引き続きジョージ・デュークを参謀に迎え、トレンディーなデジタル・ファンク“Just Call My Name”からややマッチョになった歌声で快活に飛ばす。ポール・ジャクソンやジェリー・ヘイらが並ぶ布陣の安定感はスリラー時代の西海岸ならでは。前作から顔を出してきた息子のダリックも大幅にコーラス参加している。 *出嶌

 

GRAHAM CENTRAL STATION 『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』 Warner Bros.(1975)

激烈ファンク“The Jam”に代表されるヘヴィーでワイルドなGCSスタイルを突き詰めた3作目。タワー・オブ・パワーのホーン隊も参戦したオークランド・ファンク絶頂期の一枚だ。アン・ピーブルズ“I Can't Stand The Rain”もルーズなファンク仕立て。“Luckiest People”では後のバラディアーとしてのラリーの姿が目に浮かぶ。 *林

 

LARRY GRAHAM WITH GRAHAM CENTRAL STATION 『Star Walk』 Warner Bros.(1979)

名義の変化を見るまでもなく夫人だけを伴ったジャケの通り、ここでのGCSはバックバンド状態に。ギャラクティックなシンセの煌めく長尺ディスコ“Star Walk”での美しいファルセットなど、歌唱面も大きく進歩。少しフィリー風の“Tonight”でロマンティックに喉を震わせる姿は、ソロとなる次作を予見させるものだった。 *出嶌

 

LARRY GRAHAM 『Fired Up』 Warner Bros.(1985)

ワーナーからの最終ソロ作。ソロ転向後、GCS的なファンクはほぼ封印していたが、ナラダ・マイケル・ウォルデンとエウミール・デオダートを制作陣に迎えた今作では、ジャケでの姿が伝える通りチョッパー・ベース全開で重量級のファンクをブチかます。一方、ステファニー・ミルズらを従えて歌ったバラードはアーバニズムを極め、濃密な空気を醸し出している。 *林

 

GRAHAM CENTRAL STATION 『Mirror』 Warner Bros.(1976)

ライヴの定番となるマーチングの“Entrow”で幕を開けるヒット作。表題曲などでは録音後に脱退したチョコレートが歌い、“Priscilla”ではその後任となったゲイル“ベイビーフェイス”マルドロウのパワフルな歌唱で押したり、バンドの過渡期を映す鏡となった? コーラスの厳かな“Love”やラリーが亡父に捧げた“Forever”など神聖な色彩も濃い。 *出嶌

 

LARRY GRAHAM 『One In A Million You』 Warner Bros.(1980)

ラリーのソロ第1弾。大ヒットとなったサム・ディーズ作の表題曲を筆頭にロマンティックなスロウ・バラードが並び、野太い低音で優しく歌うバラディアーとしての姿を印象づけた一枚である。ドリームラヴァーズのドゥワップ名曲“When We Get Married”もラリーらしいチョイスだろう。モダンでアーバンなダンサーやスライ風のミディアムも登場。 *林

 

PRINCE 『Rainbow Children』 NPG(2001)

それ以前からライヴのメンバー紹介に“The Jam”を使っていたプリンスだけに、ラリーと結び付くのは必然だった。98年にNPGから出た『GCS2000』は入手困難なので、ラリーがNPGメンバーとして演奏やコーラスに全面参加した本作をひとまず紹介しておく。なお、ラリーはそれ以前にプリンスの妹=タイカ・ネルソンのプロデュースを手掛けたこともあった。 *出嶌