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インタビュー

さよならナンバーガール!!!!!!(4)

センチメンタル過剰な対談 ~ナンバーガール解散に寄せて~  北沢夏音(音楽ライター)×久保田泰平(bounce編集部)

言葉本来の意味でインディペンデントな存在

北沢「稀にみる潔い解散だったよね。潔すぎて、惜しい。もうちょっとバンドで、世の中と取っ組み合ってほしかったなって気もするけど……」

久保田「でも、そういった取っ組み合いを、メジャーで3年間やってたってことだけでも立派だったと思うんですよ。3年間だけでも奇跡ですよ」

北沢「向井(秀徳)くんも〈残念だ〉とは言っていた。曲はあったし、もう1枚アルバム作ってからっていう気持ちもあったみたいだね。それは僕らだってすごいの作ってほしかったよって思う。……ところで、いちばん売れたアルバムってどれですか?」

久保田「いちばん最後の『NUM-HEAVY METALIC』ですよ」

北沢「それで2ケタ(10万枚)ぐらいは売れたの?」

久保田「そこまではいってないんじゃないですか」

北沢「じゃあ、ブレイクする前、一般に知られる前に解散しちゃった感じなんだね。実はまだ、知る人ぞ知る存在で」

久保田「ちょっと前にZONEにインタヴューしたんだけど、ナンバーガールを知らなかった(笑)」

北沢「そういう意味でも、ナンバーガールの解散は早すぎた感じがする。もうちょっとブレイクしてほしかったなあって気持ちはある」

久保田「うん、そうですよね」

北沢「でも、ナンバーガールの影響っていうのはこれからジワジワと表れてきて、そういったものを受け継ぐ若いバンドが出てくるんじゃないかな。まあ、もう出てきてるんだろうけど」

久保田「はっぴいえんどとかもそうなんですけど、あの人たちも世の中的にはブレイクした人たちではないですよね。でも、その後ジワジワと影響が表れてきて、90年代には尋常じゃないもてはやされ方をしましたもんね。ナンバーガールもはっぴいえんど同様に、ちゃんと洋楽とのリンクが張られているから、今後の影響力は大きいと思う。ナンバーガールをきっかけにピクシーズやフレーミング・リップスを聴いた人もいるだろうし。その逆で、そういった洋楽を聴いてた人も、ナンバーガールをおもしろがってくれたりもしてたし」

北沢「そういうバンドだから、ナンバーガールはおもしろかったんだと思う。ナンバーガールが入り口になっていろんなものにリンクできて、それでリスナーが豊かになるというか。ナンバーガール~ダブっていう聴き方をした人もいるだろうし、じゃがたらを聴いてみようと思ってる人もいるだろうし」

久保田「フーやラモーンズのカヴァーもしてたし」

北沢「ナンバーガールの場合、いわゆるリスペクトするカヴァーっていうわけでもないでしょ。自分らのルーツを見せびらかすものでもなかったし。批評性というのとは違って、そこからもらったものをこういうふうに返すんだ!みたいなね。俺らはこう受け取ったんだけどお前らはどう思う?っていうふうに、いつも問うてた感じだよね」

久保田「問うてるけど、決して文句は言わせないぐらいの説得力があるんですよね。それはカヴァーに限らず」

北沢「〈自分たちはこうだ! 四の五の言うな!〉というのが通せたっていうのは、やっぱり志が高かったんだろうね。本当に独立していたというか、言葉本来の意味でインディペンデントな存在だったと思う、最後まで」

▼ ナンバーガールがリンクした洋楽、その原典たち。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2003年01月23日 15:00

更新: 2003年02月13日 12:00

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/久保田泰平