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インタビュー

マキ凛花 『GIRL』





せっかく女に生まれたんだから



ハリウッド・ミュージカルや小粋なフレンチ・ポップ、ゴージャスなビッグバンド・ジャズなど、シネマティックな夢を音楽に散りばめた歌。そして、みずからデザインした衣装に身を包み、芝居も織り交ぜたキャバレー・スタイルのステージでも注目を集める歌姫、マキ凛花。音楽活動に加えてミュージカルへの出演やファッションショーのモデルなど多方面で活躍するなか、3年ぶりの新作が届けられた。そのタイトルは、極めつけのワンワード『GIRL』。そこには彼女のこんな想いが込められていた。

「以前から〈女〉や〈愛〉をテーマにしたアルバムを作りたいと思っていたんです。せっかく女に生まれたんだから、女である人生を思いっきり楽しみたいと思っていて。いつもパフォーマンスにも、そういうところを盛り込んでいるんですよ。〈女心と秋の空〉って、すごく的を射ている言葉で(笑)、女性には特有のいろいろな面がある。だから、いろんな人生を、いろんな愛のカタチを知りながらキラキラ歩んでいる。そういう前向きなアルバムにしたくて、タイトルは直球で『GIRL』にしたんです」。

そんな彼女の想いが反映されて本作にはいろいろなスタイルの楽曲が並び、全体をカラフルに彩っている。なかでも印象的なのが、江利チエミのヴァージョンでカヴァーしたオールディーズ“カモン・ナ・マイ・ハウス”だ。ジャズ・バンドであるカルメラのホーンをフィーチャーしたダンサブルなアレンジが光っている。

「古いジャズが好きで、ジュリー・ロンドンやペギー・リーなんかをよく聴くんですけど、“カモン・ナ・マイ・ハウス”は江利チエミさんの日本語を混ぜたカヴァーが最高で、小悪魔的なセクシーさがあって前から好きだったんです。でも〈レトロなだけじゃなくて、現代的なスウィング・ハウスの要素も入れよう〉というプロデューサーの服部(正太郎)さんや、グルーヴあんちゃんの意見にも大賛成で、カルメラに参加してもらったことでクールで斬新な感じになって良かった思います。レトロな〈生っぽさ〉とモダンな〈固い感じ〉が融合されていて、すごく気に入ってます」。

また、フランソワーズ・アルディのフレンチ・ポップ〈さよならを教えて〉も打ち込みのアレンジで披露。この2曲が、古き良き時代にオマージュを捧げたサウンドにモダンな息吹を与えている。

「これまでの私の作品は〈小劇場〉のイメージだったり、〈シネマのサントラ〉や〈ミュージカル〉をテーマに作っていたので、踊れそうなナンバーがなかったんです。でも、ダンス・ミュージックは大好きで、前からそういうキラー・チューンがあってもいいな、と思ってたんですよ。だから今回、大好きな曲をそういう形でカヴァーできて良かったと思ってます」。

さらに新しいチャレンジとして目を惹くのが、元・韻シストのFUNKYMICとの共演だ。少女の世界に飛び込んできたBボーイ。ジャンルを越えて、二人の息はピッタリだ。

「FUNKYMIC君とは以前から仲の良い友達で、アーティストとしても韻シスト時代から大好きなんです。彼はヒップホップのアーティストなので、私とは音楽のジャンルが全然違うんですけど、彼のソロ・アルバム『FRESHMAN EP』で1曲コラボしたんです。それが“Believe Yourself”なんですよ。すごくお気に入りの曲になったので、わたしのアルバムにもまったく別のイメージで収録したいと思って、オールディーズな雰囲気にFUNKY君のラップを入れるという、かなり実験的なテイストになりました。〈ジャンルなんて関係なく、良いものは良い!〉と言えるような、前向きな曲になればいいな、と思って作ったんです」。



カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2011年12月14日 18:01

更新: 2011年12月14日 18:01

インタヴュー・文/村尾泰郎