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インタビュー

ペルニカ・トリオ

ブルガリアン・ヴォイスで日本のわらべ歌を歌う美女トリオ

ペルニカ・トリオは、ブルガリアン・ヴォイスのユニット。ロンドンを拠点に母国の伝承歌を独特の歌唱法で歌っている。その彼女達が《ふるさと》など日本のわらべ歌を日本語とブルガリア語で歌ったアルバム『ブルガリアン・ワラベウタ』をリリースし、ライヴ・イマージュで初来日した。

「ブルガリアの文化は、スラブやアジア、トルコ、アラブの影響を受けたミクスチャーが特長。だから、日本から企画が提案された時にすぐに興味を持ったし、この融合は成功すると確信もあったわ」

こう語るのはリーダー格のエウゲニア。例外もあるが、多くの曲は、日本語に続いてブルガリア語で歌い、その部分を彼女達が創作しており、美しいハーモニーを響かせる。懐かしくて新しい未知なる世界へと誘われるような音楽だ。「歌詞はオリジナルを忠実に訳し、メロディは私達が伝承歌のスタイルに則って書き、ブルガリアン・ヴォイスの歌唱法で歌っている」(エウゲニア)

日本語の発音は完璧。「最初は難しかったけれど、歌詞の内容を深く理解してからは楽しくなった」と、ひとりセルビア出身のジャスミーナ。彼女は《うみ》と《江戸子守唄》が好きだというが、収録曲の選曲がまた絶妙。《ふるさと》や《さくらさくら》の他に《おかあさん》や《あめふりくまのこ》などもあり、母国の音楽学校で正式に伝承歌を学んだテジスラヴァは、「《ずいずいずっころばし》が遊び心満載で楽しかった」と語る。

それにしても言語も音楽性も異なる2つの要素が痛快なほどナチュラルに融合されていて、音楽に国境がないことを実感させてくれる。

「ロンドンの友人に聴かせたら、日本語とブルガリア語の境というか、どこで言語がスイッチしたのかわからないって。ブルガリアの歌を日本語で歌っているのかと勘違いした人もいた。今後ロンドンはもちろん母国でコンサートを行う時は、ワラベウタを披露したいと思う」(エウゲニア)

ブルガリアン・ヴォイスが90年代初頭に注目された時、最初に合唱団が歌った作品が紹介されたので、それが伝統スタイルと思われたが、本来はリード・ヴォーカルひとりにハーモニーが2人加わるトリオがオーセンティックなスタイル。ペルニカ・トリオは、その伝統を大切にしつつ、異国で新しい音楽を模索している。わらべ歌とブルガリアン・ヴォイス。一見意外な組み合わせに見えるが、運命的な出会いだった。『ブルガリアン・ワラベウタ』は、そう思わせる珠玉の作品である。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年07月13日 13:26

ソース: intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)

取材・文 服部のり子