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インタビュー

androp 『period』

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「andropという真っ白な単語に、意味を付けたい」。そんな気持ちからアルバム名のそれぞれの頭文字を並べると、バンド名を表すことになるように、タイトルを名付けてきたandrop。最新作『period』でようやく完成となる。自分達の存在や活動を形にしたことで、よりメッセージ性が強くなり、確信に満ちた。今の心境や作品について、内澤崇仁(Vo&G)に話を訊く。


1人ひとりが大切な存在だと実感すると同時に、音を鳴らせている今が幸せで尊いものだと思えるようになった



 andropはこれまでずっと、不特定多数ではなく、〈君〉や〈あなた〉という1人と対話するように楽曲を鳴らしてきた。今でも一貫して変らないが、ライブや楽曲を通し、音楽を共有し続ける中で、彼らの目には〈君〉や〈あなた〉がとてもくっきりと映っているのだなと思う。それが3月5日にリリースとなる、3rdフルアルバム『period』を手にしてまず感じたこと。微かな光でも集まると強い光になるのと同じく、メンバーも聴き手も1人ひとりが世界を構築している、というイメージが作品に内包されているのだ。聴いていると、ただ過ぎ去っていく日々ばかりでも、自分の存在をもう少し認めてもいいのかな?という感触が残っていく。しかも、視界に入るものそれぞれが有限だとも分かっている。だから、1つの声から壮大なコーラスへとシフトする様が印象的な、冒頭の“Singer”から、〈今を選んで〉と願うのだろう。決して『period』=結末ではない。「andropはこうなんだ、と決定づけられる作品」との意識で制作されただけに、ここまで伝えたいことが明示されているのである。

内澤(以下同)「前作のフルアルバム『one and zero』を作った時に、自分たちが何で音楽をやっているのか?という意味をものすごく考えたんですよね。自分たちである必要性を考えられなければ、聴いてくれる人たちにも、andropの曲を受け入れてもらえないのかな?と思って。『one and zero』に収録した“End roll”では、それがちゃんといえた気がしたんです。<これが僕らの音です>というような。その後、次のシングル“Voice”で、今の自分たちがあるのは聴いてくれる人がいるからで、だからこそ鳴らせている音がある、という気持ちが爆発して。“Voice”以降も、その思いが増したんです。気持ちが大きくなればなるほど、<個>というか<核>に向かった感じがありますね。バンド内でいえば、メンバー1人ひとりが自分の中でギュッと考え始めたんです。そこで自分自身を認めることができたし。で、ただのお客さんじゃなく、1人ひとりが大切な存在だと実感すると同時に、音を鳴らせている今が幸せで尊いものだと思えるようになったんです。大切に生きたいし、生きてほしい。そういうことを、自分たちの音楽を聴いている人に伝えたいなと。『One』でも表現したかったことなんですけど、そのメッセージやテーマは今、自分にとって普遍的なものでもあるなと思います」

メンバーも自身と向き合ったことで、「みんなタフになって成長しているからこそ、作れた曲があったりする」というくらい、4人全員とも自分がやることがandropである、としっかり認識している。まるで個と個が集まることで、1つの大きな何かが生み出されるのだ、といわんばかりに。それはコーラスにおいても意識された。

「自分の声だけより、メンバーの声を一緒に重ねるだけで、さらに思いが音に乗る気がしていて。だから今回、何曲かはメンバー全員でコーラスを入れています。最近、メンバーは歌うことに対しても、ストイックに向き合えるようになってきましたね。自宅で声を録音して練習する人もいれば、レコーディングの時に何テイクも重ねて、納得するまでコーラスをやる、みたいな感じもありますし……。みんなで1つになるということも、自分の中で大切なテーマなんですよね。それこそ“Singer”は、1つの声の出発点からいろんな声が集まり、強い光になるというイメージがあって作った曲なんですよ」



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サウンドは、「1つに決めることなく、andropとしてカッコ良く鳴らせる音」を突き詰めている彼ら。それだけにラウドかつ生々しいグルーヴ感ある“Lit”や、ジャズ要素のある“Neko”など、さらに幅が広まった。メンバーの意識や演奏力が高まったことで、「ジャンルという壁はどんどん壊れている」ともいう。事実、古くからあるデモの中で、「今、挑戦したい!」というメンバーの熱望からレコーディングに至った曲もあったそうだ。以前からあるデモよりこうして時間を経て発表されることに、内澤は何を感じているのだろう。

「昔からある曲も結構収録されているんですけど、それを今曲にしているのはすごく不思議な感じはするんです。けど、そのデモを作ってからこれまで、色々と考えることがあってできた曲だろうから……必然的なんだろうなと思います、絶対。今回曲になるために昔作られたんだと感じているし。そうなるようにしていきたいですね」



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■ALBUM…『period』 now on sale!!

■Songlist
01.Singer   
02.Voice(※日本テレビ系水曜ドラマ「Woman」主題歌)
03.Lit   
04.RDM   
05.One   
06.Light along   
07.Six   
08.Sensei   
09.Melody Line   
10.Neko   
11.Time Machine


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記事内容:tower+ 2014/3/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2014年03月10日 00:00

ソース: 2014/3/10

TEXT:松坂 愛