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巨匠ムーティ32年ぶりの再録音!~プロコフィエフ:ロメオとジュリエット

ムーティ~プロコフィエフ:ロメオとジュリエット

ムーティがCSO RESOUNDに帰ってきました。取り上げたのはプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」。2013年10月にシカゴ響を指揮した定期公演の模様をライヴ収録したものです。
ヴェルディは別格として、ムーティのレパートリーには幅広いものがありますが、ロシアものではチャイコフスキー、スクリャービンとならんで、プロコフィエフは好んで取り上げてきた作曲家のひとり。1977年に、首席指揮者時代のムーティがフィルハーモニア管を指揮してセッション録音した「イワン雷帝」は当時より強烈に刻み込まれているほか、1980年より音楽監督に就任したフィラデルフィア管とは、1990年に交響曲第5番、ヴォルガとドンの出会い、交響曲第1番をセッション録音、1991年に交響曲第3番をセッション録音してもいました。「ロメオとジュリエット」も、ムーティは1981年にフィラデルフィア管を指揮して第1組曲と、第2組曲からの5曲を合わせて12曲をセッション録音していたので、シカゴ響とのアルバムは32年ぶりの再録音ということになります。
このたびのシカゴ響新盤は、フィラデルフィア管旧盤とのトラックタイムの比較では、曲によって最大で12%、平均でも5%ほど演奏時間が拡大する傾向が認められます。
ムーティの深い呼吸の音楽運びと、余裕のポテンシャルで応えるシカゴ響のあきれるばかりのうまさもあらためて印象的な「ロメオとジュリエット」。実際に、音源を聞いたところ、格段にスケールとパワーがアップしており、印象の違いには数字以上のものがあります。「タイボルトの死」での、ずしりと迫力ある音調はやはりシカゴ響ならでは。変拍子の複雑なリズム処理もあざやかで、弦楽パートのメカニカルな運動性も驚異的。繊細にして、ときにむせかえるような美観に息を呑む「ロメオとジュリエット」。そして、悲痛なまでの感情の高鳴りを描き尽した「ジュリエットの墓の前のロメオ」など、全篇、色彩感は極上、表現の幅はとてつもなく、プロコフィエフの天才をみごとに解き明かすと同時に、現代オーケストラ・サウンドの極限を見る思いで、圧巻と云うほかありません。
近年は、お気に入りのプログラムのみを取り上げて、納得のゆく出来ばえのもの以外は一切リリースを許可しないというムーティだけに、その意味でも間違いなくこれは当たりといって差し支えないでしょう。
(キングインターナショナル)

【曲目】
プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」
組曲第1番op. 64bis、組曲第2番op. 64terより(10曲)
・モンタギュー家とキャピュレット家
・少女ジュリエット
・マドリガル
・メヌエット
・仮面
・ロメオとジュリエット
・タイボルトの死
・僧ローレンス
・別れの前のロメオとジュリエット
・ジュリエットの墓の前のロメオ
【演奏】
リッカルド・ムーティ(指揮)
シカゴ交響楽団
【録音】
2013年10月3、5、8&11日
シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール(ライヴ)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2014年09月11日 12:58