ゲルギエフ&ロンドン響~スクリャービン第1弾“法悦の詩”“神聖な詩”(SACDハイブリッド)
ゲルギエフとロンドン響は、2014年3月から4月にかけて「ミュージック・イン・カラー」と題して、スクリャービンの5つの交響曲を取り上げました。「法悦の詩」と「神聖な詩」はその公演のライヴ録音からのSACD化で、ゲルギエフが首席指揮者としての最後の在任期間にリリースされるもっとも重要なプロジェクト、スクリャービンの交響曲全集シリーズ第1弾となります。
ゲルギエフはスクリャービンについて、公演前のインタビューで次のように述べています。「スクリャービンは偉大なるロシアの作曲家です、(中略)かれは自身の世界から生まれた、独自の表現を明確に持つ作曲家なのです。まったく独自のソノリティを見つけ、そのさまざまな色彩を聴き取る能力は伝説的でした。今日、スクリャービンは驚くほど魅惑的な音楽世界を創造することが出来た人物として理解されるべきで、まさにそう認めずにはいられません。わたしたちはこれらの作品と創作者の不思議な力によって魅入られずにはいられないのです。」
ゲルギエフとロンドン響の顔合わせによる初のスクリャービン・アルバム。そもそも、神秘性と官能系音楽という点で、ほとんど同傾向のシマノフスキのシリーズで空前絶後の名演を繰り広げた当コンビだけあって、スクリャービンとの相性が悪かろうはずがありませんが、じっさい、ハマり過ぎのプログラムとしか言いようがありません。ゲルギエフにとって「法悦の詩」は、1999年7月のマリインスキー劇場管との録音があったので、13年ぶりの再録音となりますが、あらためてゲルギエフの濃厚な表現と、ロンドン響のポテンシャルの高さに感心することしきりのとんでもない内容となっています。
交響曲第3番「神聖な詩」は、3つの楽章それぞれに「闘争」「悦楽」「神聖なる遊戯」という副題が付けられ、傾倒していたニーチェの超人哲学の影響を指摘される作品。さらに、そこから神秘主義へと向かった先の交響曲第4番「法悦の詩」は拍節感も調性もあいまいとなって、スクリャービンの代名詞ともいえる「神秘和音」を使用した、妖しく幻想的なムードに包まれた音楽。ゲルギエフの云う、個性的な手法が一気に開花した中期の作と、まったく独自の語法を確立した後期の代表作という組み合わせは、シリーズの輝かしいスタートにふさわしいものといえるでしょう。
(キングインターナショナル)
【曲目】
スクリャービン:
交響曲第3番ハ短調op. 43「神聖な詩」
交響曲第4番op. 54「法悦の詩」
【演奏】
ロンドン交響楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
【録音】
2014年3月30日(第4番)、2014年4月13日(第3番)/ロンドン、バービカンホール(ライヴ)
プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン
エンジニアリング、エディティング、ミキシング& マスタリング:Classic Sound Ltd
下記「関連商品」には現在入手可能なゲルギエフ指揮のSACDをすべて掲載しました。3ページ目の末尾に掲載したUCGD-9013のみSACDシングルレイヤー盤、他はSACDハイブリッド盤です。
カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)
掲載: 2015年10月24日 12:30