タワーレコード×Sony Classical究極のSACDハイブリッド・コレクション第1弾!~セルのベートーヴェン2タイトル
ハイブリッドディスク / SACD層は2ch
発売日:2016年6月22日
定価:交響曲全集10,000円+税 / 序曲集2,500円+税
音匠レーベル使用
~シリーズ・コンセプト~
ソニー・クラシカルおよびRCA Red Sealの歴史的名盤を、タワーレコードとのコラボレーションにより、これまでのリマスターも含め最高のクオリティを追求し、ハイブリッドディスクとして「究極」の形でフィジカル・リイッシューいたします。ソニー・クラシカル秘蔵のオリジナル・マスターに遡り、気鋭のマスタリング・エンジニアのアンドレアス・K・マイヤーをはじめとする経験豊富な名手が、今回の発売のために新規で復刻を手掛けるSACDハイブリッドのコレクションです。レーベルには、定評ある「音匠レーベル」を使用し、マスターに刻み込まれた原音質の再現性に万全を期し、解説書には、資料性の高いライナーノーツを掲載することで、それぞれの名盤が背負ってきた栄光の軌跡を現代に鮮烈に蘇らせるのが、当シリーズの狙いです。
当コレクションの第1弾として、20世紀を代表する名指揮者、ジョージ・セルの名演2タイトルが装いも新たに復活いたします。1897年にブダペストに生まれ、オーストリア=ハンガリー帝国時代のウィーンで育ったセルは、神童ピアニストとして音楽活動を開始し、やがて欧米各地の歌劇場のポストを歴任し、作曲家シュトラウスの厚い信任を得るほどの卓越した指揮者へと脱皮。ナチズムの台頭と第2次大戦の勃発によってアメリカへ移住し、戦後の1946年にはクリーヴランド管弦楽団の音楽監督に就任。亡くなる1970年まで四半世紀にわたって献身的に同オケを育て上げ、世界的な名声をもたらしました。このコンビはソニー・クラシカル(米コロンビア)にモノラル~ステレオ期にかけて多数の名盤を残していますが、今回はその中でも最重要の位置を占めるベートーヴェンの交響曲全曲と序曲集を取り上げます。録音以来ソニー・ミュージックのテープ・アーカイヴに厳重に保管されてきた門外不出の3チャンネル・オリジナル・アナログ・マスターを外部スタジオに持ち出した上で万全の状態で再生し、今回の発売のために新たに2チャンネルへのリミックスとDSDリマスタリングを行なうことで、原音に刻み込まれた圧倒的な輝きがこれまでにないほど鮮明に蘇ります。
左は交響曲第2番のオリジナル・マスター(SW77181)が収められている外箱。EM-PMは「Edit Master-Paul Myers」の略記と思われる。右は交響曲第9番第4楽章のオリジナル・マスター(SW48560)の外箱。「SEVERANCE HALL CLEVELAND 4・21・61」と記されている。併記されている複数のイニシャルのうち、「H.S.」はプロデューサーのHoward H. Scott、「E.T.G.」はエンジニアのEdward T. Grahamを意味していると思われる。
~リマスタリングノート~
今回SA-CDハイブリッドでの発売のために私がリマスターしたジョージ・セルとクルーヴランド管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集と序曲集は、1957年から1967年にかけて収録された。1957年といえば、コロンビア・レコードが、1/4インチ幅・2トラックによるステレオ録音を開始した翌年であり、この年から1/2インチ幅・3トラックによるマルチ録音も行われるようになった。
今回使用したオリジナル・アナログ・マスターは、「SW77167」というように「SW」で始まり5ケタの数字が個々に付されてカタログ化された3トラック・マスターである。これらはいわゆる編集済みの「エディット・マスター」で、セッションで収録したマスターを文字通り直接切り貼りして編集したものなのでいわば「第1世代」であり、非常に音の鮮度が高く、クオリティの高いリマスタリングを新たに行なうためにはこの世代のマスターを使うことが不可欠である。
3トラック収録の場合、左右のパースペクティヴに加えて3本目のマイクがセンター・チャンネル、つまりオーケストラの中央に位置する木管パートを主にカバーしている。このリミックスのバランスを決めるにあたっては、私はまずLP初出時に使われた2トラックのプロダクション・マスターを試聴し、オリジナルの3トラック・マスターと比較した。そしてその上で、最新のリマスタリング技術を使うことで、録音当時の技術的限界が補完され(あるいは克服され)、当時のプロデューサーが志向した音づくりをよりクリアな形で再現することができるかどうかを自分の耳で判断し、さらなる調整を行なった。
私が第一に心がけたのは、オリジナル・マスターに刻み込まれた情報量を、SA-CDという大容量のメディアに漏れなく盛り込むことができるよう、アナログ・テープの再生からリミックスのバランスにいたるまで、あらゆる段階で細心の注意を払うということだった。
幸いなことにオリジナル・マスターのコンディションは非常に良好で、作業自体はスムーズに進めることができた。特にSA-CD層では、演奏を包み込むセヴェランス・ホールの空気感をより明確に耳で感じとっていただけるようになったと自負している。セルが息を吸う音や(呼吸は指揮の基本である)、指揮台を踏みしめる音(交響曲第4番に多い)さえも、鮮明に収録されているほどである。存分にお楽しみいただければ幸いである。
アンドレアス・K・マイヤー氏(リマスタリング・エンジニア)のノートより抜粋掲載
ベートーヴェン:交響曲全集(2016年DSDリマスター)/ジョージ・セル
※ハイブリッドディスク5枚組 / SACD層は2ch
※音匠レーベル使用
※各ディスクは通常のジュエルケースに封入し、三方背ボックスに収納
※レーベル: Sony Classical
※海外リリース1965/01/01
※日本独自企画・完全生産限定
※世界初SACDハイブリッド化(交響曲第3番を除く)
【収録曲】
ベートーヴェン:
<DISC1>
1.交響曲第1番 ハ長調 作品21
2.交響曲第2番 ニ長調 作品36
<DISC2>
3.交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
4.交響曲第4番 変ロ長調 作品60
<DISC3>
5.交響曲第5番 ハ短調 作品67
6.交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」
<DISC4>
7.交響曲第7番 イ長調 作品92
8.交響曲第8番 ヘ長調 作品93
<DISC5>
9.交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱」
【演奏】
ジョージ・セル(指揮)
クリーヴランド管弦楽団
アデーレ・アディソン(ソプラノ)(9)
ジェーン・ホブソン(メッゾ・ソプラノ)(9)
リチャード・ルイス(テノール)(9)
ドナルド・ベル(バリトン)(9)
クリーヴランド管弦楽団合唱団(9)
合唱指揮:ロバート・ショウ(9)
【録音】
第1番:1964年10月2日
第2番:1964年10月23日
第3番:1957年2月22日&23日
第4番:1963年4月5日
第5番:1963年10月11日&25日
第6番:1962年1月20日&21日
第7番:1959年10月29日&30日
第8番:1961年4月15日
第9番:1961年4月21日&22日
クリーヴランド、セヴェランス・ホール
【プロデューサー】
ポール・マイヤース(第1番・第2番・第4番・第5番)
ハワード・H・スコット(第3番・第7番・第8番・第9番)
トーマス・フロスト(第6番)
【アナログ・トランスファー、リミックス、リマスタリング・エンジニア】
アンドレアス・K・マイヤー(マイヤーメディアLLC)
~アナログ・ステレオ時代のベートーヴェン全集の定番~
アナログ・ステレオ時代のベートーヴェン全集の定番。曖昧さを残さぬ緊密な演奏設計のもと、筋肉質の響きと強い推進力を持ち、オーケストラの各声部が無理なく驚くほどクリアに再現されるさまは、セルの耳の良さとクリーヴランド管の極めて高度な演奏能力の賜物であり、まさにカラヤン/ベルリン・フィルやオーマンディ/フィラデルフィアなどと並ぶ、20世紀のオーケストラ芸術の極点を示したものといえるでしょう。各所に聴かれるオーケストレーションの改訂、リピートの採用・不採用にはセルならではの慧眼が光ります。
~オリジナルはエピック・レーベル~
これら9曲の交響曲は、1957年2月の第3番「英雄」に始まり、1964年10月の第1・第2番まで、ほぼ7年がかりでじっくりと録音され、エピック・レーベルから発売されました。エピック・レーベルは、英EMIがエンジェル・レーベルでアメリカ市場に進出したことで、英コロンビア録音の供給が途絶えた米コロムビアが、1953年に蘭フィリップスと提携して創設されたレーベルでした。当初はフィリップス音源のアメリカにおける窓口としてドラティ、ヨッフム、ケンペン、オッテルローなどのヨーロッパ録音を発売していましたが、しばらくするとアーティスト・ロスターの強化のために、セル&クリーヴランドやレオン・フライシャーら米コロンビアのアーティストが「移籍」し、アメリカ録音も発売されるようになりました。セルとクリーヴランド管弦楽団は、いわばこの新興のエピック・レーベルの看板アーティストであったわけです。
~「ステレオラマ」の鮮烈・華麗なサウンド~
米コロンビアの子会社的存在だったため、レコーディングは米コロンビアのスタッフが手掛けており、セル&クリーヴランドの録音も1950年代はハワード・H・スコット(グレン・グールドの最初のプロデューサーとしても知られています)が、1960年代に入るとポール・マイヤースがメインにプロデュースを担当しています。それゆえ当時の最先端の録音技術や機材が惜しげもなく投入され、ステレオ時代に入ると本家米コロンビアが標榜した「360 サウンド」を真似て「ステレオラマSTEREORAMA(「ステレオ」と「パノラマ」を掛けた造語)」を旗印に、左右に広く拡がり、密度濃く鮮度の高いステレオ録音を発売するようになりました。同じアメリカのメジャー、RCAが推し進めた「リビング・ステレオLIVING STEREO」と並んで、当時の最高峰のステレオ録音が実現したのです。
~本拠地セヴェランス・ホールの優れた音響~
レコーディングは、全てクリーヴランド管弦楽団の本拠地だったセヴェランス・ホールで行なわれました。1929年に完成し、1931年にこけら落としが行なわれた1844席を擁する名ホールで、ギリシャ新古典様式の外観とアールデコを思わせる優美な内観で、「アメリカで最も美しいコンサートホール」と称されています。響き過ぎず、しかもセルの持ち味である透明性とクリアなサウンドを余すところなく収録できるレコーディング会場としても優れています。エピックのLPにはオーケストラの名前の脇に、ホールのファサードを象ったロゴが使われることが多かったのも、ホールとオーケストラの結びつきの重要性を示すものといえるでしょう。
~1970年のセルの突然の死を悼む全集再発~
セルのベートーヴェンの交響曲9曲は、1965年にエピック・レーベルで初めて7枚組のLPボックス・セットとしてまとめられました。セルの録音は、エピックがポップス色を強めた1960年代後半からはコロンビアに「里帰り」し、1970年にセルが亡くなった直後に、アメリカで追悼盤としてこのベートーヴェンの交響曲全集が再発売されたのもコロンビア・レーベルでした。この時は、セルの9つの指揮写真をモチーフにした新たなデザインのボックスが採用されました(今回のSA-CDハイブリッド化のボックスです)。全集の日本盤としての初出は日本コロムビア時代の1965年で、CBSソニー時代にはやはりセルの追悼盤として1970年に発売され、さらに「セル・メモリアル・アルバム」として1980年に再発売されています。国内盤CDとしては今回が初の全集ボックス化。2004年以来12年ぶりのニュー・リミックス&DSDリマスタングとなります。
~別冊解説書掲載内容(予定)~
1970年のセル追悼盤として再発売された際に解説書に掲載された、当時のアメリカ音楽批評界の大御所2人の評論家によるセル論の初邦訳のほか、日本を代表する作曲家で歯に衣着せぬ音楽評論でも知られた諸井誠氏によるセルのベートーヴェン論、セルによる独自のオーケストレーション改編を中心にその今日的意義を問う木幡一誠氏の新稿を加え、さらにセルとクリーヴランド管によるシーズン毎のベートーヴェン作品演奏リストを付す予定です。
(1)ハロルド・C・ショーンバーグ「ジョージ・セル、その力と芸術」(1970年、初邦訳)
(2)ドナルド・ヘナハン「ジョージ・セル~知性と感情」(1970年、初邦訳)
(3)木幡一誠「セルのベートーヴェンの今日的意義」
(4)諸井誠「巨匠セルの没後10周年に寄せて」(1980年)
(5)セル&クリーヴランド管弦楽団 ベートーヴェン作品演奏リスト(その1)
(6)曲目についてのノート
(7)歌詞対訳付き(歌詞訳:舩木篤也)
他
ジャケットデザイン:M7X30281(1970年、セルの追悼盤およびベートーヴェン生誕200年記念として再発売された時のボックス・ジャケット)
初出:Epic BSC 150(1965年)
日本盤初出:CSS64~9(1965年11月)
~セルのベートーヴェン全集デジタル・リマスターの変遷~
〈1〉1984~85年:日本のCBSソニーにより、「セル/クリーヴランドの芸術」として、「32DC」という品番体系で第6番「田園」を除く交響曲8曲などが初めてCD化された。CDをクラシック・ファンに普及させるきっかけとなったブルーノ・ワルター/コロンビア響の録音のCD化に続くCBSソニーの重要なプロジェクトの一つであり、新たなリミックス&デジタル・リマスタリングの作業は日本からの要請でアメリカのソニー・スタジオで行なわれている。LPからCDへの転換期であったため、このCD用の「ニュー・リミックス・マスター」がLPのプレスにも使われた。これらのマスターは、本国では、やはりCDおよびLPとして発売されたGREAT PERFORMANCESシリーズ(新聞の第1面を思わせるデザインで知られる)に使われたのではないかと推測される。
〈2〉1990年:「セル没後20年企画 セル&クリーヴランド不滅の記念碑」として、第6番「田園」を含む交響曲全曲、「フィデリオ」「レオノーレ」第1・第3番序曲がCDとして出そろった。この時のCD用のリミックス&リマスタリングを手掛けたのは、50年代にセルの録音のプロデュースを実際に手掛けたヴェテラン、ハワード・H・スコットのほか、ソニー・ミュージック・スタジオのデニス・D・ルーニー、ベジュン・メータ(ボーイ・ソプラノとして一世を風靡し、録音およびマスタリング・プロデューサーとしても活動、現在は世界的なカウンターテノール)らであり、日本発売のあと、Essential Classicsのシリーズで欧米でも発売された。1995年の「没後25年記念ジョージ・セルの芸術」でもこの世代のデジタル・マスターが使われている(この時は「エグモント」序曲が初CD化となった)。
〈3〉2000年:没後30年記念のセル&クリーヴランドのCDシリーズでは、リマスタリングに際して初めてDSDテクノロジーが採用された。この時シリーズに含まれたのは第3番「英雄」と「エグモント」「コリオラン」「シュテファン王」の3曲の序曲のみ(「コリオラン」は初CD化、「シュテファン王」は日本初発売)で、アメリカで新規にリミックス&リマスタリングが行なわれた。このDSDマスターは当時ソニーが力を入れて推進していたSA-CDシングルレイヤーにも使われた。
〈4〉2004年:「オリジナル・ジャケット・コレクション」として、セル&クリーヴランドのステレオ録音によるベートーヴェンの交響曲と序曲が全てDSDテクノロジーを使ってリマスタリングされた。オリジナルLPのカップリングに戻ったため、交響曲第5番はモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」とカップンリングされている。リイッシューの担当はグレイス・ロウ。海外盤のみの発売。
〈5〉2013年:交響曲9曲はソニー・クラシカルのマスターズ・ボックスの一環として24ビット96kHzでリマスタリングされた。海外盤のみの発売。
ベートーヴェン:序曲集(2016年DSDリマスター)/ジョージ・セル
※ハイブリッドディスク1枚 / SA-CD層は2ch
※音匠レーベル使用
※レーベル:Sony Classical
※初発売日:2016/5/25
※日本独自企画・完全生産限定
※世界初SACDハイブリッド化(エグモント・コリオラン・シュテファン王を除く)
【収録曲】
ベートーヴェン:
1.「エグモント」序曲 作品84
2.「コリオラン」序曲 作品62
3.「シュテファン王」序曲 作品117
4.歌劇「フィデリオ」序曲 作品72b
5.「レオノーレ」序曲第1番 作品138
6.「レオノーレ」序曲第2番 作品72b
7.「レオノーレ」序曲第3番 作品72
【演奏】
ジョージ・セル(指揮)
クリーヴランド管弦楽団
【録音】
エグモント、レオノーレ第2番:1966年10月8日、
コリオラン、シュテファン王:1966年10月29日、
レオノーレ第3番:1963年4月5日、
クリーヴランド、セヴェランス・ホール
レオノーレ第1番、フィデリオ:1967年8月25日、ロンドン
【プロデューサー】
ポール・マイヤース
【アナログ・トランスファー、リミックス、リマスタリング・エンジニア】
アンドレアス・K・マイヤー(マイヤーメディアLLC)
~ミニ・シンフォニーともいえる圧倒的なドラマを具現化~
ベートーヴェンの7曲の序曲は、1963年4月に録音され一足先に交響曲第4番とのカップリングで同年に発売されたレオノーレ第3番を除き、全集完成後の1966年と1967年に録音され、2枚のLPで発売されました(レオノーレ第2番がオーバーラップ)。ちょうど全集が完成した1960年代半ばにエピック・レーベルがポップス色を強めたため、セルとクリーヴランド管は古巣コロンビア・レーベルに復帰し、コロンビアからの発売となりました。細部まで一音もゆるがせにせぬ緻密な配慮が行き届き、張りつめた生彩さがほとばしるようなリズム感で構成されたセルの演奏は、ベートーヴェンが作品に盛り込んだミニ・シンフォニーともいえる圧倒的なドラマを描き出しています。
~オケ創立50年を寿ぐ重要アルバム~珍しいロンドン録音を含む7曲~
「フィデリオ」のために書かれた4つの序曲を収めたLPは、1968年のクリーヴランド管創立50周年記念発売の1枚となりました。珍しいのは、「フィデリオ」「レオノーレ第1番」の2曲が1967年夏のヨーロッパ楽旅中、ロンドンで録音されていること。セル&クリーヴランド管のセッション録音が地元以外で行なわれたのはこの時だけです。
~別冊解説書掲載内容~
1965年のベートーヴェン交響曲全集の解説書に掲載された、メトロポリタン・オペラに関する著書でも知られるマーティン・メイヤーによるセル論のほか、セルによる独自のオーケストレーション改編を中心にその今日的意義を問う木幡一誠氏の新稿を加え、さらにセルとクリーヴランド管によるベートーヴェン作品演奏リストを付す予定です。
(1)マーティン・メイヤー「ジョージ・セル」(1964年)
(2)木幡一誠「セルのベートーヴェンの今日的意義」
(3)セル&クリーヴランド管弦楽団 ベートーヴェン作品演奏リスト(その2)
(4)曲目についてのノート
ジャケットデザイン:MS6966(アメリカ盤)。ベートーヴェンのブロンズ像を用いたこのジャケットは、CBSソニー時代には交響曲第1番&第2番や第4番&第8番のカップリングLPにも転用されていました。
~リマスタリング・エンジニアのご紹介~
アンドレアス・K・マイヤー(マイヤー・メディアLLC)
今回のリマスタリングを手掛けるのは、レコーディング・プロデューサーであり、レコーディングおよびリマスタリング・エンジニアであるアメリカ人のアンドレアス・K・マイヤー。ソニー・ミュージック・スタジオのエンジニアを長年務め、ジョシュア・ベル、ヨーヨー・マ、ニューヨーク・フィルなどのレコーディングに関わりつつ、SPから現代に至るさまざまな録音の復刻に携わってきた。特に近年はグレン・グールドの録音のリマスタリングに深く関わり、日本での「グレン・グールド紙ジャケット・コレクション」(2007年)、「グレン・グールド・リマスタード~ザ・コンプリート・ソニークラシカル・アルバム・コレクション」(2015年)には全面的に関わり、グールド・サウンドの新たなスタンダードを作り上げている。また「ウラディミール・ホロヴィッツ 未発表ライヴ・レコーディング1966-1983」、「グレイト・モーメンツ・アット・カーネギー・ホール」、さまざまなアーティストの「オリジナル・アルバム・コレクション」など、ソニー・クラシカルのさまざまなリイッシュー・プロジェクトの実現にはかかせないエンジニアである。
マイヤーにとっては、ジョージ・セルについては「子供のころから録音で親しみ、自分が最も尊敬している指揮者の一人」であり、今回のプロジェクトにも強い意欲と気概を持って取り組んでいる。