往年のウィーンの名団体、バリリ弦楽四重奏団のウエストミンスター録音を集成(22枚組)
ワルター・バリリ(1921.6.16~)はウィーン生まれのヴァイオリニストで、ウィーン音楽院に学んだ後、1936年ミュンヘンでデビューしました。1938年にウィーン・フィルに入団し、1940年にはコンサートマスターに就任。1943年には自らの名を冠した四重奏団を組織しました。
当時、ウィーンにはコンツェルトハウス協会に所属するウィーン・コンツェルトハウス四重奏団、ムジークフェラインで定期演奏会を行ったシュナイダーハン四重奏団、と同じウィーン・フィルを母体とする2つの名団体が演奏活動を行っていました。しかし、バリリ四重奏団は結成以来、なぜかメンバーの離脱や急死などの不運が重なり、1951年6月に一時活動の停止を余儀なくされました。ところが、同じ年にシュナイダーハン四重奏団を主宰するヴォルフガング・シュナイダーハンがソリストに転身することになり、リーダーを失ったシュナイダーハン四重奏団の他の3人にバリリが加わる形で、新たなバリリ四重奏団が生まれました。1951年8月のことです。バリリ氏は1996年の来日時のインタビューでこの時の運命的とも言えるタイミングの良さについて「なるようになるものだ」と語りました。
ちょうど同じ頃、レコード界ではLPレコードの開発という革命が起き、戦後景気に湧くアメリカではレコード会社が次々に設立されました。1949年、ニューヨークで設立されたクラシック音楽専門レーベル「ウエストミンスター」もその一つです。ウエストミンスターは米ドルの強さを背景に、ウィーンに出張録音を行い、バリリ四重奏団やウィーン・コンツェルトハウス四重奏団と数多くのLPレコードを制作しました。ウエストミンスター・レーベルは1954年に日本盤も発売されるようになり、彼らの室内楽演奏は日本でも多くのファンを獲得しました。1957年12月、バリリ四重奏団の初来日公演は熱狂的に迎えられました。
ところが1959年、バリリは右ひじを故障し、カルテットの活動を断念。新生バリリ四重奏団も約9年でその幕を下ろすこととなりました。このセットには、バリリ四重奏団の米ウエストミンスターへの録音がまとめられており、LPレコード初期に彗星のように現れては消えて行った、名団体の芸術の粋をじっくりとお楽しみいただくことができます。
(タワーレコード)
※当BOXのディスク3、ディスク7の初期プレス品に下記の不良がありましたため、BOXの外側にディスク3、ディスク7の良盤を添付して販売を再開いたします。
初期プレス盤の不良の内容
・ディスク3のトラック3~4~第3楽章から第4楽章へ導入部の間に無音がある。
・ディスク7のトラック6~7 ~第6楽章から第7楽章へ導入部の間に無音がある。
お手数ですがBOX内の上記2枚を、BOX外側に添付しました良盤2枚と差し替えて頂ければ幸いです。
2016年9月7日(水)タワーレコード
バリリ弦楽四重奏団の芸術
【CD1】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第1番ヘ長調,Op.18-1
弦楽四重奏曲第2番ト長調,Op.18-2
弦楽四重奏曲第3番ニ長調,Op.18-3
録音時期:1953年(1-8),1952年(9-10)
【CD2】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第4番ハ短調,Op.18-4
弦楽四重奏曲第5番イ長調,Op.18-5
弦楽四重奏曲第6番変ロ長調,Op.18-6
録音時期:1952年(1-8),1953年(9-12)
【CD3】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第7番ヘ長調,Op.59-1「ラズモフスキー第1番」*
弦楽五重奏曲ハ長調,Op.29**
録音時期:1955年(1-4),1953年(5-8)
【CD4】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第8番ホ短調,Op.59-2「ラズモフスキー第2番」*
弦楽四重奏曲第9番ハ長調,Op.59-3「ラズモフスキー第3番」*
録音時期:1956年(1-4),1955年(5-8)
【CD5】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調,Op.74「ハープ」*
弦楽四重奏曲第11番へ短調,Op.95「セリオーソ」*
録音時期:1956年(1-4),1952年(5-8)
【CD6】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第12番変ホ長調,Op.127*
弦楽四重奏曲第13番変ロ長調,Op.130
録音時期:1956年(1-4),1952年(5-10)
【CD7】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調,Op.131
大フーガ変ロ長調,Op.13316'53
録音時期:1952年
【CD8】
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第15番イ短調,Op.132*
弦楽四重奏曲第16番ヘ長調,Op.135
録音時期:1956年(1-5),1952年(6-9)
【CD9】
モーツァルト
弦楽四重奏曲第1番ト長調,K.80(73f)*
弦楽四重奏曲第2番ニ長調,K.155(134a)
弦楽四重奏曲第3番ト長調,K.156(134b)
弦楽四重奏曲第4番ハ長調,K.157
録音時期:1955年(1-4),Feb.1955年(5-13)
【CD10】
モーツァルト
弦楽四重奏曲第5番ヘ長調,K.158
弦楽四重奏曲第6番変ロ長調,K.159
弦楽四重奏曲第7番変ホ長調,K.160(159a)
弦楽四重奏曲第8番ヘ長調,K.168
録音時期:Feb.1955年
【CD11】
モーツァルト
弦楽四重奏曲第9番イ長調,K.169
弦楽四重奏曲第10番ハ長調,K.170*
弦楽四重奏曲第11番変ホ長調,K.171*
弦楽四重奏曲第12番変ロ長調,K.172*
録音時期:Feb.1955年(1-4),Mar.1955年(5-16)
【CD12】
モーツァルト
弦楽四重奏曲第13番ニ短調,K.173*
弦楽四重奏曲第14番ト長調,K.387
弦楽四重奏曲第20番ニ長調,K.499*
録音時期:1955年(1-4;8-11),1953年(4-7)
【CD13】
モーツァルト
弦楽四重奏曲第21番ニ長調,K.575
弦楽四重奏曲第22番変ロ長調,K.589
ディベルティメントニ長調,K.136(125a)*
ディベルティメント変ロ長調,K.137(125b)*
録音時期:May1954年(1-4),ca.1953年(5-8),1955年(9-14)
【CD14】
モーツァルト
ディベルティメントヘ長調,K.138(125c)*
弦楽五重奏曲第1番変ロ長調,K.174*/**
弦楽五重奏曲第2番ハ短調,K.406*/**
録音時期:1955年
【CD15】
モーツァルト
弦楽五重奏曲第3番ハ長調,K.515**
弦楽五重奏曲第5番ニ長調,K.593**
録音時期:1953年(1-4),May1954年(5-8)
【CD16】
モーツァルト
弦楽五重奏曲変ロ長調,K.46
セレナーデ第9番ニ長調,K.320「ポスト・ホルン」
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ(5-11)
オットー・リューム,コントラバス(5-11)
ヨーゼフ・レヴォーラ&カール・ガヴァンダ,トランペット(5-11)
ハンス・ゲルトナー,ティンパニー(5-11)
録音時期:1955年(1-4),1953orJune1954年(5-11)
【CD17】
ドヴォルザーク
ピアノ五重奏曲イ長調,Op.81
弦楽四重奏曲第14番変イ長調,Op.105
エディット・ファルナディ,ピアノ(1-4)
録音時期:1954年
【CD18】
レスピーギ
夕暮れ*
ドリア旋法の弦楽四重奏曲
シューベルト
ピアノ五重奏曲イ長調,D.667「ます」*/***
セナ・ユリナッチ,ソプラノ(1)
パウル・パドゥラ=スコダ,ピアノ(3-7)
録音時期:1954年(1-2),1958年(3-7)
【CD19】
ブラームス
ピアノ四重奏曲第1番ト短調,Op.25*
ピアノ四重奏曲第3番ハ短調,Op.60*
イェルク・デムス,ピアノ
録音時期:1956年
【CD20】
ブラームス
ピアノ四重奏曲第2番イ長調,Op.26*
イェルク・デムス,ピアノ
録音時期:1956年
【CD21】
シュミット
ピアノ五重奏曲ト長調
ヤナーチェク
ピアノと室内管弦楽のための小協奏曲
イェルク・デムス,ピアノ(1-4)
フランツ・ホレトシェック,ピアノ(5-8)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ(5-8)
録音時期:1952年(1-4),1954年(5-8)
【CD22】
シューマン
ピアノ四重奏曲変ホ長調,Op.47*
ピアノ五重奏曲変ホ長調,Op.44*
イェルク・デムス,ピアノ
録音時期:1955年
バリリ四重奏団
ワルター・バリリ,第1ヴァイオリン
オットー・シュトラッサー,第2ヴァイオリン
ルドルフ・シュトレンク,ヴィオラ
ウィルヘルム・ヒュプナー,第2ヴィオラ**
リヒャルト・クロチャック,チェロ
エマヌエル・ブラベッツ,チェロ*
録音場所:モーツァルトザール,コンツェルトハウス,ウィーン
*収録曲順が変更になる場合がございますが予めご了承いただきます様お願い申し上げます。
※CD18のシューベルト「ます」以外はすべてモノーラル録音です。