ルセ&レ・タラン・リリク~新発見!F.クープラン“バッカスに慰められるアリアーヌ”世界初録音
クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクによるF. クープランの珠玉の名曲リュリ讃、コレッリ讃の登場。しかも、F. クープランの新発見カンタータの世界初録音も収録されているという大注目新譜です。「バッカスに慰められるアリアーヌ」は、ルセがF. クープランの論文を準備しているときに発見したカンタータ。F. クープランの作品リスト(1716年出版)に載っているものの楽譜が残されていない作品として研究者の間では知られた存在でした(この楽譜は出版されず、当時楽譜が必要な人はオンデマンドで写しを入手していた)。この楽譜がクープランの作品であると結論づけた理由として、ルセは、①ルイ・アレクサンドル(トゥールーズ公/ルイ14 世とモンテスパン侯爵夫人の間に生まれた子供)の所蔵品の中にあったこと(F. クープランは、彼の音楽教師であった)②通奏低音の数字でクープランは9の代わりに2を用いることや、他の一連の作品で見受けられる様々な和声の特徴が共通していること、の2点を挙げています。他にもクラヴサン曲集の楽
曲との主題の類似などが見られることから、この作品はF. クープランのものであると確信を持ったといいます。ルセは、「長く眠っていた楽曲が名曲であるという夢を抱きがちだが、この作品が出版されなかったのは、クープラン自身、この曲を出版してもそこまでもうからない(出版には経費がかかる)と判断したから(抄訳)」とライナーノートで述べていますが、貴重な録音の登場は歓迎すべきといえるでしょう。
F. クープランの『コレッリ讃』と『リュリ讃』は、両作品とも各楽章に表題が付けられており、『コレッリ讃』では音楽の神が住まうパルナッソス山にコレッリが導かれる様子が描かれ、『リュリ讃』では、コレッリに続いてパルナッソス山へ登ったリュリが、そこで出会ったコレッリと共に演奏を行う、という物語になっています。フランスでは、「トンボー」というジャンルで、先人の肖像画的な音楽を作るという伝統がありましたが、このクープランの『リュリ讃』『コレッリ讃』は、それぞれの作曲家のスタイルに厳密に従っているわけではなく、また、その規模などから、音楽史上でも特殊な作品として輝きを放っています。レ・タラン・リリクの精鋭たちによるアンサンブルを、ルセのどこか色気のあるチェンバロがしっとりとまとめあげています。
(キングインターナショナル)
【収録曲目】
F.クープラン
カンタータ「バッカスに慰められるアリアーヌ」*世界初録音
リュリ讃
パルナッソス山、またはコレッリ
【演奏】
クリストフ・ルセ(指揮&チェンバロ)
レ・タラン・リリク
ステファヌ・ドゥグー(バリトン)*
クリストフ・コワン(ヴィオール)*
ローラ・モニカ・プスティルニウ(リュート)*
【録音】
2015年12月、および2016年7月
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年11月05日 00:00