孤高のヴァイオリニスト、シゲティの遺産、アラウとのベートーヴェンがXRCDで完全復活!
ヨゼフ・シゲティ(1892~1973)による唯一のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集録音は、1963年に米ヴァンガードが初発売したものですが、録音は晩年のものではありません。シゲティが51歳の時、当時40歳のクラウディオ・アラウ(1903~1991)とともに、1944年1月28日、2月4日、2月11日にアメリカ議会図書館(ワシントンDC)内のクーリッジ・オーディトリウムで行ったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲の連続演奏会の歴史的ライヴ録音をLP化したものです(米ヴァンガード VRS1109~12[LP:廃盤])。
シゲティは著書「弦によせて」(永井恵美子、北村義男訳、音楽之友社刊)の中で、ベートーヴェンの10曲のヴァイオリン・ソナタを鳥瞰することの重要性を説き、最後に「第1番のニ長調の朗々とひびくラッパの呼び声で始まり、みずからに問いかけるような第10番のモティーフ、すなわちト長調で終わっているという事実」を指摘し、「かの巨人が走破した成熟への道程の象徴を見る」と結論づけています。そして、こうした連続演奏会を「もっとひんぱんにひいてみようと思った」が、「ほとんどあり得ないほどの制限をうけている主催者側の報酬政策と、プログラム編成政策のために駄目になってしまった」と残念がっています。録音から20年も経過した1963年になって、1944年のライヴ録音を全集としてLP化した背景には、シゲティのこうした思いがあったと推察できます。
この録音は日本では1964年9月新譜として初発売され(キング MH5165~68[LP:廃盤]分売)、同月にはドラティ指揮ロンドン交響楽団とのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のステレオ(フィリップス SFL7768[LP:廃盤])も発売され、期せずしてシゲティのベートーヴェン解釈に注目が集まることとなりました。
1944年と録音は古いですが、ヴァイオリン、ピアノとも芯のある音で捉えられています。今回ヴァンガード公式音源からのXRCD化で、LPを含めて過去最高の音質となることが期待されます。ジャケットデザインも米ヴァンガード初出盤のアートワークに基づいていて、オールド・ファンには懐かしいことでしょう。
(タワーレコード)
孤高のヴァイオリニスト、シゲティの遺産、
アラウとのベートーヴェンがXRCDで完全復活!
過去最高の音質で蘇る至高のソナタ実況録音!!
ロングヒットを続けるバッハの無伴奏ヴァイオリン作品集(GCAC-1002/3)、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集(GCAC-1004/5、 GCAC-1006/7)に続く、シゲティのXRCDシリーズ第3弾。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を2枚組2セットに分けて発売します。 VanguardClassic提供の公式音源に名エンジニア杉本一家氏がリマスターを施し、通常CDプレーヤーで再生できる高音質フォーマットである XRCDとして丁寧に仕上げています。XRCD化によりぐっと生々しさを増し、シゲティの武骨なヴァイオリンが怖いくらいの圧倒的な存在感で迫ります。 1944年にワシントン国会図書館で3日間に分けて行われた、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会のライヴ録音。このときシゲティ51歳、ア ラウは40歳でした。シゲティはこれらのソナタを全曲通して演奏することに強いこだわりを持っており、どの曲も隅々まで息を通わせた濃密な表現がお聴き頂 けます。じっくりと音楽を積み上げるような重く滋味あふれたアラウのピアノに絡む、霊感に満ちたシゲティのヴァイオリン。時に激しく荒々しく斬りこみ、時 に移ろいやすく影をまとい、まず他ではお目にかかれないベートーヴェンの世界を創造しています。ライヴということで独特な語り口にも磨きがかかっており、 短調での悲愴感、おどろおどろしい『春』、強烈な『クロイツェル』など、シゲティの妙技が満載。終始気の抜けない緊張感に貫かれています。ピアノに比重を かけた書法も目立つヴァイオリン・ソナタですが、ベートーヴェン弾きとして揺るぎない人気を誇るアラウによる録音はこれ以外では70年代のグリュミオーと の抜粋(第1、2、4、5、7、8番)しかありません。アラウの全曲に対するアプローチを聴けるという点でも当録音は非常に貴重です。
(キングインターナショナル)
『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集 I』
【曲目】
[CD1]
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調 Op.12-1
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.12-2
ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 Op.12-3
[CD2]
ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調 Op.23
ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調『春』 Op.24
【演奏】
ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
クラウディオ・アラウ(ピアノ)
【録音】
1944年/ワシントン国会図書館におけるライヴ録音(モノラル)
『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集 II』
【曲目】
[CD1]
ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調 Op.30-1
ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調 Op.30-2
ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 Op.30-3
[CD2]
ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調『クロイツェル』 Op.47
ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調 Op.96
【演奏】
ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
クラウディオ・アラウ(ピアノ)
【録音】
1944年/ワシントン国会図書館におけるライヴ録音(モノラル)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2017年06月21日 00:00