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横山幸雄がドビュッシー没後100年の最後を飾る前奏曲集全曲をリリース!

横山幸雄

日本を代表するピアニストであり、膨大なレパートリーを自在に弾きこなしてしまう横山幸雄。ショパン(ショパン作品の演奏に至っては「24 時間でもっとも多い曲数を1 人で弾いたアーティスト」というギネス記録保持者でもある)をはじめとするロマン派やベートーヴェンのイメージが強いが、そもそも彼は10 代でパリに渡り研鑽を積んだピアニストであり、フランスの作品も彼のピアニズムの根幹を成すものなのである。1994 年には『イマージュ』というディスクをリリースしており、そこでも美しい音色と立体感のある演奏で《映像》全2集を色彩豊かに聞かせてくれている。
作曲家と作品に誠実に向き合いながら演奏していく横山の演奏の魅力は本ディスクのドビュッシーでも存分に発揮されている。聴く者を惹きつける輝きに溢れた音色は様々な色、濃淡を帯びて、ドビュッシーが楽譜上にちりばめた音世界を丁寧に描き出していく。ドビュッシーのヴィルトゥオジティが炸裂した作品である第1 集の〈西風の見たもの〉や第2集の〈花火〉では、粒のそろった音色が立体的に奏され、ただ高い技巧を披露するのではなく、作品のあるべき姿、聞こえるべき旋律や和声変化を鮮やかに見せてくれる。しかも快速なテンポの中で、全く危なげなく。卓越した技巧が音楽表現のために存分に駆使されるということがどういうことかがよくわかる。また第1集の〈パックの踊り〉や〈ミンストレル〉、第2集の〈風変わりなラヴィーヌ将軍〉などではキレ味鋭い音楽運びを楽しめる。
また第2集の〈妖精は良い踊り子〉や〈オンディーヌ〉で聴けるチャーミングさは意外でありながら嬉しい驚きでもあった。また音楽による“静謐"という一見矛盾した世界を描き出した第1集の〈雪の上の足跡〉に〈沈める寺〉、第2集の〈カノープ〉などでは、移ろう色彩をより微細に捉えていくことでこの“矛盾"を完全に納得するものとして表現してくれている。
作曲家が楽譜に書き起こしたものを演奏者たちはどれほど理解して音として表せているのだろうか。横山の演奏を聴いていると改めてそのことについて考えさせられる。どこまでも“作曲家目線"に立った彼のドビュッシーは聞き手に様々なものを投げかけるはずだ。
解説:長井 進之介
(ナクソス・ジャパン)

【収録曲】
ドビュッシー
C.Debussy (1862-1918)

前奏曲集 第1集
1.第1曲 デルフィの舞姫たち
2.第2曲 帆
3.第3曲 野を渡る風
4.第4曲 音と香りは夕暮れの大気に漂う
5.第5曲 アナカプリの丘
6.第6曲 雪の上の足跡
7.第7曲 西風の見たもの
8.第8曲 亜麻色の髪の乙女
9.第9曲 さえぎられたセレナード
10.第10曲 沈める寺
11.第11曲 パックの踊り
12.第12曲 ミンストレル

前奏曲集 第2集
13.第1曲 霧
14.第2曲 枯葉
15.第3曲 ヴィーノの門
16.第4曲 妖精は良い踊り子
17.第5曲 ヒースの茂る荒れ地
18.第6曲 風変わりなラヴィーヌ将軍
19.第7曲 月の光がふりそそぐテラス
20.第8曲 オンディーヌ
21.第9曲 ピックウィック卿を讃えて
22.第10曲 カノープ
23.第11曲 交代する3度
24.第12曲 花火

【演奏】
横山幸雄(ピアノ)

【録音】
2018 年5 月23 & 24 日 五反田文化センター DSD Recording 11.2MHz (DSD 256)

【プロフィール】
1990 年ショパン国際コンクールにおいて歴代の日本人として最年少で入賞し、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞など数多の賞を受賞。以来、人気実力ともに常に音楽界をリードするトップ・アーティストとして活躍している。
ショパン生誕200 年を迎えた2010 年に、ポーランド政府より、ショパンの作品に対して特に顕著な芸術活動を行った世界で100 名の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」が授与される。同年「ショパン・ピアノ・ソロ全166 曲コンサート」を行う。多くの観客に感動と反響を巻き起こし、ギネス世界記録に認定されたこの公演は、毎年少しずつ形を変えて、ゴールデンウィークの恒例コンサートとなる。
2011 年デビュー20 周年記念コンサートでは、チャイコフスキー、ラヴェル、ラフマニノフの協奏曲を一晩で演奏し、満場の喝采を博す。
2013 年からベートーヴェン生誕250 周年に向けてのシリーズ「ベートーヴェン・プラス」をスタートさせるなど、自ら企画する数々の意欲的な取り組みにより、高い評価を確立している。
リリースされたCD は、文化庁芸術祭レコード部門優秀賞、国際F.リスト賞レコードグランプリ最優秀賞等栄えある賞を受賞。
2011 年上野学園石橋メモリアルホールで行った「横山幸雄プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集」をホールとキングレコードとの共同事業(全12 タイトル)でCD リリース、また、2012 年にデビュー20 周年記念コンサートのライヴ録音のCD をリリースした。アールアンフィニ・レーベル(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)からリリースされた「プレイズ・リスト2013」(2013 年)、「プレイズ・シューマン2014」(2014 年)、「プレイズ・モーツァルト2015」(2015 年)、「アンプロンプチュ?シューベルト即興曲集」(2016年)、「雨だれのプレリュード?ショパン名曲集」(2017 年)、「ファンタジー」(2017年)、「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番他」(2018 年)はいずれも連続してレコード芸術誌で特選となった。
TOKYO FM「横山幸雄のピアノでめぐり逢い」のパーソナリティをつとめ、東京と京都にレストランをオープンし音楽と旬の食をプロデュースするなど、活躍は多岐にわたる。
上野学園大学教授、エリザベト音楽大学客員教授、日本パデレフスキ協会会長。

カテゴリ : ニューリリース | タグ : SACDハイブリッド(クラシック) 高音質(クラシック)

掲載: 2018年11月20日 00:00