Membranよりクライスラーの協奏曲、ソナタ録音をまとめた10枚組廉価BOXが登場!
ウィーン出身のフリッツ・クライスラー(1875~1962)は「愛の喜び」「愛の悲しみ」などの親しみやすい名曲の作曲と、ロマンティックで情趣あふれる演奏により、20世紀前半にジャンルを超えて愛されたコンポーザー=ヴァイオリニストでした。戦前の日本でも、当時のSPレコードにより“ヴァイオリン王”クライスラーの名は広く知られていて、1923年5月(関東大震災の4カ月前)には唯一となる来日公演を行い、「人力車の車夫たちまでが、包みからクライスラーのレコードを取りだして、彼のサインを求めた」(ロックナー著「クライスラー伝」)ほどの大歓迎を受けました。
今回、ドイツのMembranから発売される10枚組廉価BOXには、旧吹込み(ラッパ吹込み、マイクを使わないアコースティック録音)時代の1915年から、LPレコード登場直前の1945年まで、彼の40歳から70歳までの録音が、ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリン・ソナタなどの大曲を中心にセレクトされています。Disc.5の1915年録音、やはり当時の大ヴァイオリニストだったエフエム・ジンバリストと共演したバッハの「2台のヴァイオリンのための協奏曲」は、旧吹込み時代の名盤として夙に知られるものです。Disc.1~3の冒頭に収められた、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンの各ヴァイオリン協奏曲は、1925年にマイクロフォンによる録音が始まった直後に録音された、電気録音初期の名盤で、これらも未だに名曲名盤選びの際に話題に挙がるものです。Disc.6~Disc.8は史上初となったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集録音で、これもクライスラーを語る上で欠かせないもの。Disc.9の大ピアニスト、大作曲家のラフマニノフとの共演盤も、レコード史が続く限り語り継がれ、聴き継がれてゆく歴史的名盤と言えるでしょう。Disc.10のモーツァルトとベートーヴェンは、ともに彼の再録音にあたり、最も良い音で彼のヴァイオリンを捉えたものとなっています。
このように大曲を弾くクライスラーを存分に楽しめる10枚組となっています。モノラル録音で、かつSPレコード特有のスクラッチノイズも入りますが、今や求め得なくなったスケール雄大で情緒豊かな演奏をぜひご体験いただければと思います。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
【曲目】
[Disc.1]
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲Op.61
レオ・ブレッヒ指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団
1926年12月録音
クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
ドナルド・ヴォーヒーズ指揮、ビクター交響楽団
1945年5月録音
[Disc.2]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲Op.77
レオ・ブレッヒ指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団
1927年11月録音
ブラームス(ヨアヒム編):ハンガリー舞曲第5番
ジョセフ・パステルナック管弦楽団
1916年2月録音
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲Op.35より第2楽章
カール・ラムソン(pf)
1924年1月録音
ラロ:スペイン交響曲より第2楽章
カール・ラムソン(pf)
1925年2月録音
[Disc.3]
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲Op.64
メンデルスゾーン(クライスラー編):無言歌集より「5月のそよ風」Op.62-1
レオ・ブレッヒ指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団
1926年12月録音
シューマン(クライスラー編):ロマンスOp.94-2
ミハエル・ラウハイゼン(pf)
1927年12月録音
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲Op.77
ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1936年6月録音
[Disc.4]
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ユージン・グーセンス指揮、ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
1924年12月録音
クライスラー:弦楽四重奏曲イ短調
トーマス・ペトレ(Vln)ウィリアム・プリムローズ(Vla)ラウリ・ケネディ(Vc)
1935年録音
[Disc.5]
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番K.218
ランドン・ロナルド指揮、ランドン・ロナルド・オーケストラ
1924年12月録音
J.S.バッハ:2台のヴァイオリンのための協奏曲BWV.1043
エフレム・ジンバリスト(Vln)
ワルター・B・ロジャーズ指揮、弦楽四重奏団
1915年録音
J.S.バッハ(クライスラー編):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番BWV.1006よりガヴォットとロンドー
フランツ・ルップ(pf)
1938年録音
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番BWV.1001よりアダージョ
1926年録音
[Disc.6~Disc.8]
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ全曲
フランツ・ルップ(pf)
1935年4月、1936年2月、6月録音
[Disc.9]
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番
セルゲイ・ラフマニノフ(pf)
1928年3月録音
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第8番
セルゲイ・ラフマニノフ(pf)
LP制作用別テイク音源
シューベルト:ヴァイオリンソナタ第5番D.574
グリーグ:ヴァイオリンソナタ第3番
セルゲイ・ラフマニノフ(pf)
1928年12月、9月録音
[Disc.10]
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番K.218
マルコム・サージェント指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1939年録音
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲Op.61
ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1936年録音
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2018年12月03日 00:00