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Tom Harrell(トム・ハレル)新バンドによるニュー・アルバム『Infinity』

Tom Harrell(トム・ハレル)ニュー・アルバム『Infinity』

1946年生まれ、70歳を超えて精力的なクリエイションを送り出すトム・ハレルの最新作品。

異なるユニットを同時並行的に率い、High Noteでの新作は、ほぼ年に一枚のペースを保ちながら、毎回違ったコンセプト/バンドでの演奏を聴かせてくれるところにも、アイディアと創造力の豊かさがあらわれています。

メンバーは、当代屈指のサックス奏者であり、ハレルのバンドでも今やおなじみとなりつつあるマーク・ターナーを再びフロントに、チック・コリアの“ヴィジル”で頭角を現し『Something Gold, Something Blue』にも参加していたチャールズ・アルトゥーラを迎えたクインテット編成。リズムセクションには、常連ジョナサン・ブレイク(同じくなじみのアダム・クルーズがパーカッションで一曲参加)。言ってみれば、身内的なメンバーが集合したバンドですが、トム・ハレルの新しい音楽的な構想にのっとった必要不可欠な注目の人選といえます。

コンポジションのみならず、アレンジもきっちりと組んだ音楽は、トム・ハレルの“美学”の結晶。音色やメロディだけをとっても、ある種崇高な美的感覚がありますが、今回もアンサンブル・パートの妙と各人のソロに絶妙の塩梅が見られます。トランペット/ フリューゲルとサックスの重なりが生み出すハーモニー感覚、そこに交わるギターのスケールとハーモニーは“精緻”のバランス。そこには予めのルールがあり、ある種の抑制ともなりますが、各人の繰り広げる自由な即興/ ソロと織りなしていくトータルな演奏もまた狂いのないバランスを見せて興奮を呼びます。

その妙は、オープニングから明らか。この楽曲は2管のユニゾンとミュート・トランペットのオーバーダブに、ギターのコードが交わるテーマのアンサンブルとともに、4人のソロも炸裂。作品に通底するこのバンドの真骨頂とも言える演奏があります。一方、M9はハレルとターナーのデュオ演奏。90年代、チャーリー・ヘイデンのリベレーション・ミュージック・オーケストラに在籍していた時期にデュオ演奏の魅力に覚醒したというハレル。ここでの演奏もやはりアレンジされた譜面をもとにした演奏がベースですが、それだけに、2人の呼吸や、音色/ 強弱といった演奏家としてのセンシティヴなセンスの妙も見られます。また、バルトークにも影響を受けたというハレルらしいく東ヨーロッパのトラッド・ミュージック的なムードも漂うM5や、アルトゥーラのギター、ハレルのミュート・トランペットを大フィーチャーしたアイリッシュ・フォーク的なM8のようなナンバーも。ハレルの音楽の幅広さも見られます。

2018年、ヴィレッジ・ヴァンガードでのバンドのデビュー・コンサートで生まれた楽曲もあり、過去から演奏をしている楽曲あり。しかし、それらもこのバンドのためにリアレンジしての演奏。また、昨今、バイプレイとしても多くの演奏があるマーク・ターナーとなってきましたが、このバンドでのソロ・プレイはほかのユニットでの演奏とは違った、クールながらにも際立つパッションを感じさせてくれます。

ビル・チャーラップは、「トム・ハレルという演奏家とステージを共にできることは誇りであり、特権だ」といい、トム・ハレルを“天才”と呼んでいますが、まさに知性あふれる音楽家の新たな展開がここにあります。

 

【収録曲】
1. The Fast (6:38)
2. Dublin (9:40)
3. Hope (7:30)
4. Coronation (6:56)
5. Folk Song (6:03)
6. Blue (5:40)
7. Ground (7:18)
8. The Isle 8:25
9. Duet (1:41)
10. Taurus (6:01)

【メンバー】
Tom Harrell(tp, flh), Mark Turner(ts), Charles Altura(el-g, ac-g), Ben Street(b), Johnathan Blake(ds), Adam Cruz(prec M3 only)

掲載: 2019年02月26日 11:50