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ルース・スレンチェンスカの芸術 X~3大ピアノ協奏曲コンサート(リスト、ショパン、チャイコフスキー)

ルース・スレンチェンスカの芸術 X

80歳記念 2005年1月30日 岡山シンフォニーホール ライヴ
~3大ピアノ協奏曲コンサート!

93歳でもサントリーホールを熱狂させた超人ピアニスト、ルース・スレンチェンスカ待望の2005年岡山シンフォニーホール80歳記念コンサートの第一夜、三大ピアノ協奏曲ライヴが10数年の歳月を経てついに結実。

80歳記念コンサートとして3つの協奏曲を演奏し、翌日の31日のショパンのスケルツォとバラードのコンサート(ルース・スレンチェンスカの芸術IV)をもって彼女の強い希望で最後のコンサートとなる予定でした。が熱烈なファンの声援が彼女を揺り動かして、以後少人数でのコンサートを経て、昨年のサントリーホール・コンサートに結実しました。
(レグルス)

【曲目】
CD-1
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
CD-2
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
【演奏】
ルース・スレンチェンスカ(ピアノ)
使用ピアノ:劉生容記念館蔵 1926年製スタインウェイ
迫 昭嘉(指揮)/倉敷管弦楽団
【録音】
2005年1月30日 岡山シンフォニーホール〈ライヴ録音〉
※このCDはライヴ録音のため会場ノイズがあります。

プロフィール

ルース・スレンチェンスカ(1925~)はヴァイオリニストである父親よりピアノを学び、4歳でリサイタル・デビューし「モーツァルト以来最も輝かしい神童」と称賛されました。5歳でカーティス音楽院に学び、1931年、6歳でベルリン・デビュー。ヨゼフ・ホフマン、アルフレッド・コルトー、アルトゥール・シュナーベル、エゴン・ペトリ、セルゲイ・ラフマニノフなどの錚々たる巨匠たちに認められ、教えを受けました。とくにコルトーには7歳から14歳まで、7年間指導を受けたとのことです。

しかし彼女は父親による一日9時間もの虐待的なトレーニングにずっと反感を抱いていていました。そして15歳の時に「機械的」、「未熟」という新聞の酷評を受けたことをきっかけに、自ら演奏活動を停止します。父親に反抗するように、カリフォルニア大学の入試に合格して自立への道を歩み始めました。大学在学中の教授のアシスタントとしてのピアノ演奏や、修道院の音楽教師のアルバイトをしているうちに、再びピアニストとして見出されました。

バッハ・フェスティバルでの10年ぶりの演奏が大きな反響を呼び、アルトゥール・ルービンシュタインやアーサー・フィードラーなどの励ましもあって、本格的に演奏家としてカムバックしました。そして、第2次大戦の傷跡が残るドイツを訪れた際の演奏で、自らのピアノにより聴衆を励ますことができることを実感し、「芸術家としての使命の自覚に目覚めた」と、彼女は語っています。旧ソ連と日本を除くクラシック音楽マーケットの主要各国へ演奏旅行を行いながら、1950年代後半にはアメリカ・デッカ社と専属契約を結んでLPレコードを10数枚リリースするなど、精力的な演奏活動を続けました。

この間、1962年1月にはサンフランシスコ交響楽団の創立50年記念シーズンの一環としてハチャトゥリアンのピアノ協奏曲を演奏しました。当初、ハチャトゥリアンが指揮をする予定でしたがキャンセルとなり、当時26歳の小澤征爾に白羽の矢が立ちました。これが北米デビューとなった小澤征爾の指揮は素晴らしく、その後、1970年、弱冠35歳での音楽監督就任に繋がりました。

スレンチェンスカと小澤征爾

スレンチェンスカと小澤征爾(当時のパンフレット)

30代後半までに3,000回ものコンサートをこなしてきた彼女ですが、1963年に過労のため胃潰瘍となり、2度目となる演奏活動の停止を決断します。1964年には、第一線での演奏活動に見切りをつけ、サウス・イリノイ大学で教鞭を取る道を選び、1987年に退任するまで世界中から集まった生徒たちを教え、同時に彼らから慕われました。

1999年に夫と死別。彼女の大変な落ち込みようを心配した台湾の教え子が台北に誘い、2002年に台湾の大学で、客員教授として再び教鞭をとることとなりました。学生のレッスンの前に必ず数時間、指のウォーミングアップをしたところ、指の力が少しずつ戻り、彼女は台湾で演奏活動を再開。2003年1月、台北で彼女の演奏を聴いた岡山県の歯科医師でチェロ奏者の三船文彰氏が驚嘆したことをきっかけとして、2003年4月に日本での初演奏が実現しました。そして、2017年に至るまでの彼女の岡山での録音は8組のCDに収められ、何れもレコード芸術誌の特選、または準特選盤を獲得するなど、高い評価を受けています。

2018年4月21日には93歳で初のサントリーホール・リサイタルを開催し、満員の聴衆に大きな感動を与え、そのライヴ盤(ルース・スレンチェンスカの芸術 IX~サントリーホール・リサイタル)は レコード芸術誌2019年1月号の特選盤に輝きました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2019年06月14日 15:00