リープライヒ&ポーランド国立放送響~ルトスワフスキ&シマノフスキ作品集!(3枚組)
充実のリープライヒとポーランド国立放送響の20世紀ポーランド音楽シリーズが3枚組となって登場!
今もっとも注目される指揮者のひとりアレクサンダー・リープライヒ。1968年レーゲンスブルク生まれ、アバドとギーレンの薫陶を受け、NHK交響楽団や紀尾井シンフォニエッタにも客演しています。2012年からは、外国人としては初めてポーランド国立放送交響楽団の首席指揮者兼音楽監督を務めるなど、動向が気になる存在となっています。
当アルバムはルトスワフスキとシマノフスキという20世紀ポーランド音楽史の2大巨頭の作品を収録した好評シリーズがセット化されたもの。
CD1に収録されているものは、どちらも初期作品ですが、両者の個性は明瞭に現れています。
ルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」は3つの楽章から成り、バルトークの同名作品の影響を感じさせます。ポーランドのオーケストラゆえ、民族色を自然に表出しているのはさすが。リープライヒのスピード感あふれる演奏も快適です。
シマノフスキ作品は、もともとピアノ伴奏だったものを朋友の指揮者フィテルベルクが極彩色のオーケストレーションを施したもの。宗教的な詩に基づきながらも、シマノフスキ初期のワーグナーやリヒャルト・シュトラウス風退廃の世界にゾクゾクさせられます。ポドレシュはキャスリーン・フェリアを思わすコントラストで妖しさをより深めています。
CD2 に収録されているものは、自己の作風が確立される直前の魅力を味わうことができます。
シマノフスキの交響曲第2番は1909年の作で、ワーグナーとリヒャルト・シュトラウスの影響が濃い複雑な作曲技法によりながらも、シマノフスキならではのナルシズムが横溢する甘美な世界が広がります。リープライヒはリヒャルト・シュトラウス風な退廃美を巧みに表現していて絶品。
ルトスワフスキの「管弦楽のための書」は1968年の作で、ドイツのハーゲン市の委嘱で書かれました。弦楽器のグリッサンドによる異様な音響に始まり、最後は崩壊へと向かうメッセージ性が読み取れます。1958年の葬送音楽はバルトークの死を悼んで書かれた弦楽オーケストラの作品。十二音技法により、独特な暗い響きはワイダやカヴァレロヴィチのモノクロ映画を思わせます。
CD3に収録されている、シマノフスキの演奏会用序曲は1904年、22歳の作で初のオーケストラ曲。その後何度も改訂されましたが、リヒャルト・シュトラウスの影響が濃く、シマノフスキ特有のひんやりとした美感には欠けるものの、エネルギッシュで聴き応え満点。
ルトスワフスキのチェロ協奏曲は1970年の作で、ロストロポーヴィチの希望で書かれました。現代的な作風ながら、チェロ独奏がオーケストラという権力に立ち向かい、攻撃される様を魔術のように描きます。ゴーティエ・カピュソンが超絶的テクニックで大太刀まわりを演じます。最晩年の交響曲第4番は不思議な透明感と枯淡の境地を味わえます。
(キングインターナショナル)
【曲目】
[CD1](45’56)
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲(1954)
シマノフスキ(フィテルベルク編):カスプロヴィチの詩による3つの断章 OP.5
[演奏]
エヴァ・ポドレシュ(コントラルト)
アレクサンダー・リープライヒ(指揮)
ポーランド国立放送交響楽団
[録音]
2014年6月25-28日
カトヴィツェ音楽アカデミー・カロル・シマノフスキ音楽ホール
(ACC.30332CDと同内容)
[CD2](64’50)
シマノフスキ:交響曲第2番 変ロ長調 Op.19
ルトスワフスキ:
管弦楽のための書(1968)
葬送音楽(1958)
[演奏]
アレクサンダー・リープライヒ(指揮)
ポーランド国立放送交響楽団
[録音]
2015年6月30日、8月26/27日
カトヴィツェ音楽アカデミー・カロル・シマノフスキ音楽ホール
(ACC.30349CDと同内容)
[CD3](59’33)
シマノフスキ:演奏会用序曲 Op.12
ルトスワフスキ:チェロ協奏曲(1969/70)*
交響曲第4番(1988/92)
[演奏]
ゴーティエ・カピュソン(チェロ)*
アレクサンダー・リープライヒ(指揮)
ポーランド国立放送交響楽団
[録音]
2016年1月27-29日、6月28-30日
カトヴィツェ音楽アカデミー・カロル・シマノフスキ音楽ホール
(ACC.30388CDと同内容)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2019年07月12日 00:00