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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.55

ジョー・ヘンダーソン『ページ・ワン』(1963)

JH

ジョー・ヘンダーソン(ts)
ケニー・ドーハム(tp)
マッコイ・タイナー(p)
ブッチ・ウォーレン(b)
ピート・ ラロカ(ds)

1963年6月3日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.ブルー・ボッサ
02.ラ・メシャ
03.ホームストレッチ
04.リコーダ・ミー
05.ジンシキシャ
06.アウト・オブ・ザ・ナイト

【アルバム紹介】
1.ジョー・ヘンのデビュー作となったブルーノート・レコーディング
2.サウンドはハードバップ、ビートはラテン、名曲“ブルー・ボッサ”
3.キラリと光る共演メンバーたち

エヴァンス派を代表するピアニストの一人、ドン・フリードマンの傑作『サークル・ワルツ』でのしなやかなリズムを生み出した立役者であるドラマーのピート・ラロカが参加したいいアルバムは、と探すと本人のリーダー作もいいですが、まずは本作を聴くのが良いでしょう。
名テナーで人気を博したジョー・ヘンダーソンがブルーノート・レーベルで吹き込んだ初リーダー作です。

“ジョー・ヘン”ことジョー・ヘンダーソンは1937年生まれで、テナー・サックス奏者としては脱ビバップの世代にあたり、同世代のアルバート・アイラーやチャールス・ロイドなどは、独自の音楽によりシーンの中で活躍していました。そんな中で、60年代初頭にハードバップ・スタイルのサウンドで自身の音楽性を打ち出したのがこのアルバムといえます。

1曲目の“ブルー・ボッサ”は非常に有名なナンバーで、ボッサなラテン・ビートの上で奏でられる哀愁漂う、キャッチーなメロディ・ラインが印象的です。本作に参加している名トランぺッター、ケニー・ドーハムの作曲で、今では60年代生まれのスタンダード・ナンバーの一つとして知られています。2曲目のバラード“ラ・メシャ”もドーハムのオリジナルですが、残りの4曲はジョー・ヘンのペンによるもので、中でも4曲目の“リコーダ・ミー”(リメンバー・ミー)は代表曲で、こちらもビートはボッサ調です。

トランぺッターにケニー・ドーハム、ドラムスにピート・ラロカ、べースにはブッチ・ウォーレンと共演メンバーの顔触れも魅力的ですが、ピアノには若きマッコイ・タイナーが参加しているという点を見逃せません。この当時はシーンに最も影響力のあったテナー・サックス奏者であるジョン・コルトレーンのカルテットのメンバーとしても活躍しており、そのモーダルな演奏スタイルが隠し味的にチラッチラッとここでも顔をのぞかせます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ハードバップ+ラテン・ビートの名曲“ブルー・ボッサ”。

アルバムのキー曲ゆえ、本作のタイトルを『ブルー・ボッサ』と思ってしまうこともしばしば。それぐらいこの曲がこの傑作の象徴になっていると言っても過言ではないです。また、この曲を聴いていると、メロディ・ラインのいい曲は何十年経っても全然古びれないということがわかります。
マッコイ・タイナーのピアノのちょっとしたイントロに導かれて、ドーハムのトランペットとジョー・ヘンのテナー・サックスにより、名テーマが提示され、ソロはドーハム、ジョー・ヘン、タイナーの順に進んゆきます。決してうるさい感じのない落ち着いた演奏で、不思議なぐらい心地よいビートもいい感じです。
ジョー・ヘンは派手なブロウを前面に出したスタイルではなかったので、渋くて大人なテナー・サックスが好きな人に好まれたプレイヤーでした。
アコースティック・ジャズに寄り添ったスタイルは崩しませんでしたが、60年代後半から70年代にかけては新主流派的でブラック・ミュージックやアフロのフィーリングに満ちた独自のアルバムもリリースしました。80年代はリリース作が少なく活動も目立たなかった時期もありましたが、90年代に入り、ヴァーヴ・レーベルからの一連のリーダー作で超ベテランとしての風格を伝えることにつながり、それが結局、ジョー・ヘンにとって晩年の集大成的な業績にもなりました。次なる活躍を、という時期でもあった2001年に、惜しくも64歳でこの世を去りました。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年12月06日 13:00