明るい音色と歌ごころ。イタリアの名チェリスト、ヤニグロの珍しい音源をBOX化!(4枚組)
アントニオ・ヤニグロ(1918-1989) は、チェロ奏者としてカザルスの愛弟子でイタリア的な明るくのびやかな演奏で知られたほか、指揮者としてザグレブ室内合奏団を世界的な水準に育てました。ここではチェリストとしての彼の名演を数多く収録。協奏曲をたっぷり聴くことができるのも大歓迎ですが、ハイドンはケンペ、ドヴォルザークはエーリヒ・クライバー、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」はライナーといった指揮者との共演なのも聴きごたえ満点。同様にソナタや室内楽でもバドゥラ=スコダやデムスの妙技を楽しめます。いずれの音源も今日入手が難しく、これだけまとめられてお手頃価格でリリーsされるのは嬉しい限り。イタリアのチェロの魅力を満喫できます。
(キングインターナショナル)
ヤニグロ レア音源集
Disc1 75分44秒
(1)ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調Hob.Ⅶ:2
(2)モーツァルト:ディヴェルティメント変ロ長調K.137
(3)ボッケリーニ:チェロ協奏曲第9番変ロ長調G.482
(4)ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲ニ長調Op.3の9,RV230
(5)コレッリ:合奏協奏曲ニ長調Op.6の4
ルドルフ・ケンペ(指揮)RAIローマ交響楽団(1)、ザグレブ室内合奏団(2)(4)(5)
フランコ・カラッチョーロ(指揮)RAIナポリ交響楽団(3)
1959年(1)、61年(2)(4)、59年(3)、57年(5)
Disc2 79分18秒
(1)ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調Op.97「大公」
(2)同:チェロ・ソナタ第3番イ長調Op.69
(3)ザクセン=ヴァイマール公ヨハン・エルンスト二世(J.S.バッハ/ミルコ・ケレメン編):チェロ協奏曲
パウル・バドゥラ=スコダ(ピアノ)、ジャン・フルニエ(ヴァイオリン)(1)、ヤン・ナテルマン(ピアノ)(2)
ザグレブ室内合奏団(3)
1953年(1)、56年(2)、61年(3)
Disc3 69分01秒
(1)ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104
(2)ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第4番ハ長調Op.102
(3)ミルコ・ケレメン:協奏的即興曲
(4)ヒンデミット:葬送音楽~ヴィオラと弦楽のための
エーリヒ・クライバー(指揮)ケルン放送管弦楽団(1)、
ヤン・ナテルマン(ピアノ)(2)、ステーファノ・パッサッジョ(ヴィオラ)(3)、ザグレブ室内合奏団(3)(4)
1955年(ライヴ)(1)、56年(2)、58年(3)(4)
Disc4 69分43秒
(1)ブラームス:チェロ・ソナタ第1番ホ短調Op.38
(2)リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」Op.35
イェルク・デムス(ピアノ)(1)、ミルトン・プレヴェス(ヴィオラ)、フリッツ・ライナー(指揮)シカゴ交響楽団(2)
1957年(1)、59年(ステレオ)(2)
アントニオ・ヤニグロ
ヤニグロは8歳でチェロをはじめ、生地ミラノの音楽院に学び、16歳でパリのエコール・ノルマル音楽院に移りカザルスと、その師範代のアレクサニアン(Diran Alexanian)に師事。卒業後はディヌ・リパッティ(1917~1950)とのデュオで演奏活動を開始。第二次世界大戦中よりザグレブ音楽アカデミーのチェロと室内楽の教授を務め、1953年にザグレブ室内合奏団を設立。演奏に、録音に活躍し、世界的な室内楽団へと成長させました。1968年にはドイツのザール室内管弦楽団の首席指揮者に就任。翌年にはアメリカ・ツアーも行いました。その後、1974年から77年までザルツブルクのモーツァルテウム・カメラータ・アカデミカの芸術監督を務めました。
1963年、大阪国際フェスティヴァルの招きでザグレブ室内管弦楽団を率いて初来日した際は、左腕を三角巾で吊って指揮をし、チェロ演奏を披露することができませんでした。1966年の再来日は、その時のリベンジとばかりにチェロ奏者として演奏を行っています。
後年は教育者として有名となり、デュッセルドルフやザルツブルクで教鞭をとり、その門下からはマリオ・ブルネロ、トーマス・デメンガ、アントニオ・メネセスなど、現代のチェロの巨匠たちを輩出しました。
チェリストとしても指揮者としても、イタリア人らしく流麗によく歌い、端正な造形と豊かな抒情性をたたえた気品高い演奏を行ったことで知られています。チェリストとしては室内楽ばかりでなく協奏曲でもスケールの大きさと技巧のゆとりを示していましたが、1960年代に左腕の神経障害を発症してからは、徐々に指揮や教育活動に比重を移していきました。そのため、チェロ奏者としてのキャリアは尻つぼみとなり、生前は過小評価された嫌いがありました。CD時代になってチェロ、指揮両面で彼の録音が数多くCD化されたことにより、ここ数年、再評価の機運が高まっているのはご承知の通りです。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2020年02月18日 00:00