Tracey Thorn(トレイシー・ソーン)|各方面で絶賛されたベストセラー自伝の第二弾が6月3日発売!
エヴリシング・バット・ザ・ガールのヴォーカリストとしてのみならず、いまや作家としての地歩を固めつつもあるトレイシー・ソーン。邦訳作品第二弾のテーマは"郊外の十代"。
少女であること。10代であること……彼女はデヴィッド・ボウイに憧れ、部屋でひとりジョイ・ディヴィジョンに合わせてダンスする──
『安アパートのディスコクイーン』でその文才を見せたトレイシー・ソーンが描く少女時代、そして中年であり母親となった現在の姿
各方面で絶賛されたベストセラー自伝第二弾『アナザー・プラネット』登場!
EBTGの声としてのみならず、いまや作家としての地歩を固めつつもあるトレイシー・ソーン。邦訳作品第二弾のテーマは"郊外の十代"。彼女の才気は本書を決して単なる回顧録の域に留めはしない。風景描写も、豊かな故郷ブルックマンズパーク再訪の旅路に幕を開けながら、都市計画論に世代間ギャップ、選挙制度にフェミニズム、さらにはネット時代の家族の在り方にと、筆致は一見自由自在に行き来する。しかしそれは同時に緻密な統御の下にある。彼女の文才が讃えられる由縁だ。
ボウイにピストルズにスプリングスティーン、そして、一人きりの部屋に寄り添うジョイ・ディヴィジョンの「トランスミッション」。パティ・スミスにクリッシー・ハインド、スリッツにマリアンヌ・フェイスフル、スージー・スーらも取り上げられる。ロックの扉をこじ開けた女たちだ。90年代の〈ライオットガール〉ムーヴメントへの言及もある。
「アナザー・プラネット」──タイトルに込められた思いが最後の最後で改めて明かされた時、なんともいえない懐かしさに似た寂寞感が押し寄せる。翻訳は『安アパートのディスコクイーン』と同じ、作家の浅倉卓弥。抑制の効いたソーンの筆致を過不足なく再現している。