ピノックが"振る" J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲!(1938年 コフレル編 室内オケ版)
ピノックが”振る”、「ゴルトベルク変奏曲」室内オーケストラ版!
今や「ピノックのオケ」の感があるロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック・ソロイスツ・アンサンブルとの最新盤は、従来のマーラーやブルックナーの交響曲など大編成作品を「凝縮して切り詰める」路線とは逆に、バッハの鍵盤作品を室内オケに「肉付けして拡張した」もの。編曲者のユゼフ・コフレル(1896-1944)はストルィー(当時はオーストラリア=ハンガリー帝国領、現在はウクライナ領)に生まれ、ウィーンでワインガルトナーらに学び、後にポーランドで十二音技法の先駆的作曲家として活動しましたが、1941年にナチスに捉えられ、1944年に家族と共にホロコーストの犠牲となったとみられています。この編曲はヘルマン・シェルヘンの遺品の中から1994年になって発見されました。
チェンバロ奏者としてバッハの原曲を録音しているピノックは、この編曲にコフレルからバッハに対する心からの敬意と愛情を感じたと言います。目指したのは、バロック風ではなく編曲当時の中欧の様式での演奏。合宿とウィグモア・ホールでのコンサートを経て臨んだ若き演奏家たちは、生き生きしたリズムに乗って明晰な対位法の綾を織りあげています。編曲当時の中欧にはナチスの軍靴が響き、コフレルにも悲劇的な運命が訪れるのですが、その予感を感じさせない晴朗な響きは実に楽しい聴きものであり、それと知って聞けば不思議な感慨を残すことでしょう。
J.S.バッハ(1685–1750): ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
1. アリア
2-31. 第1-30変奏
32. アリア(リプライズ)
※ この編曲版では第6変奏と第7変奏の入れ替えが行われており、
第7変奏が「2度のカノン」(通常の第6変奏)となっております。
ユゼフ・コフレル(1896–1944)による室内オーケストラ編曲(1938)
編成: 弦五部(4/4/3/3/1)、 フルート、オーボエ、コールアングレ、ファゴット 各1
当盤での演奏時間: 79分38秒
【演奏】
トレヴァー・ピノック (指揮)
ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック・ソロイスツ・アンサンブル
ゲスト: トロント王立音楽院グレン・グールド校のメンバー
【録音】
2019年3月22-23日、スネイプ・モルティングス、ブリテン・スタジオ、UK
日本語解説付
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2020年08月25日 00:00