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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.145

ビル・エヴァンス『アイ・ウィル・セイ・グッドバイ』(1980)

BEI

ビル・エヴァンス(p)
エディ・ゴメス(b)
エリオット・ジグムンド(ds)

1977年5月11~13日、バークレー、ファンタジー・スタジオにて録音

曲目(LPでの初出時):
01.アイ・ウィル・セイ・グッドバイ
02.ドルフィン・ダンス
03.シースケイプ
04.ポ・ドゥース
05.アイ・ウィル・セイ・グッドバイ(テイク2)
06.ジ・オープナー
07.クワイエット・ライト
08.ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム

【アルバム紹介】
1.毎年9月15日はビル・エヴァンスの命日
2.70年代のレギュラー・トリオでレコーディングされた晩年の傑作
3.タイトル曲はミシェル・ルグランの哀愁美に満ちたナンバー

今回紹介するのは、この記事の掲載日の二日前、9月15日がその命日だった名ピアニスト、ビル・エヴァンスの名盤になります。
多くのピアニストに影響を与えたピアノ・レジェンドの一人、ビル・エヴァンスは1980年9月15日に51歳の若さでこの世を去りました。

本作は数々の名盤を世に送り出してきたビル・エヴァンスが70年代半ば~後半に活躍したレギュラー・トリオでレコーディングした一作で、レコーディングは77年にされながら、そのリリースは3年後の没年であったものです。ビル・エヴァンスの晩年の傑作になります。

メンバーはベースがエディ・ゴメス、ドラムスはエリオット・ジグムンド。タイトル曲はフランスの作編曲家、ジャズ・ピアニストのミシェル・ルグランのオリジナルで、この他ハービー・ハンコックの“ドルフィン・ダンス”、ジョニ―・マンデルやバート・バカラックのナンバーなどエヴァンスの取り上げる楽曲としては、ユニークどころばかりがそろっており、自身のオリジナル“ジ・オープナー”も収録しています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
二つのテイクを収録、ルグラン作曲のタイトル曲“アイ・ウィル・セイ・グッドバイ”。

この曲はミシェル・ルグランが60年代後半に発表した哀愁美に満ちたナンバーで、ビル・エヴァンスのようなリリカルなアプローチを得意とするピアニストには最適な楽曲といえます。またこの直後にワーナーでのアルバムで、ルグランの楽曲“ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング”を取り上げており、エヴァンス自身の中でもルグランのメロディが特に意識としてあったと想像できます。
本作には、このタイトル曲が2テイク収録されていて、LP発売時はA面、B面それぞれ1曲目にこの曲が置かれた形になっており、この曲への強い思い入れを伝えたかったのか、エヴァンス一流のウィットによるものなのか、そんな意味深なところも本作の人気の秘密です。
また、表ジャケットは黄昏の道路の向こうに1台の車が写っており、裏ジャケットはその車の姿が無くなっており、その連続性が気になる、不思議なアルバムでもあり、LPで持っていたい気もする一枚です。

国内盤SHM-CD(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2021年09月17日 10:00