WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.153
チック・コリア&ゲイリー・バートン『チック・コリア&ゲイリー・バートン・イン・コンサート』(1980)
チック・コリア(p)
ゲイリー・バートン(vib)
1979年10月28日、スイス、チューリッヒ、リマ―トハウスにて録音
曲目:
01.セニョール・マウス
02.バド・パウエル
03.クリスタル・サイレンス
04.トウィーク
05.フォーリング・グレイス
06.ミラー、ミラー
07.ソング・トゥ・ゲイル
08.エンドレス・トラブル、エンドレス・プレジャー
【アルバム紹介】
1.名ヴァイヴ奏者ゲイリー・バートンのECMレーベルでの傑作
2.ピアノのチック・コリアとのデュオ・パフォーマンスを収録
3.グラミー賞、スイングジャーナル誌のジャズ・ディスク大賞を受賞
ライオネル・ハンプトン、ミルト・ジャクソンと前回まで続いたヴィブラフォンの名盤ですが、さらにその次の世代の名プレイヤーであるゲイリー・バートンのECMレーベルでの傑作をご紹介いたします。
本作はピアノのチック・コリアとの連名によるデュオ・アルバムと言ってよいものですが、このコーナーのVol.92で取り上げた名作『クリスタル・サイレンス』(1973)が両名によるデュオ第一作、続いて『デュエット』(1979)、その次に出たライヴ盤であり、前2作に収録した楽曲のコンサートでのパフォーマンスが聴けるアルバムになっています。
最初LP時代にリリースされた際はそれぞれのソロによる演奏が1トラックづつ、計2トラック収録されており、2枚組仕様でしたが、CD化の際、その2トラックはカットされ、1枚ものとして再発されました。
アルバムはグラミー賞のベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞、スイングジャーナル誌のジャズ・ディスク大賞金賞受賞という、当時激賞された一枚です。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
12分間、時がとまる“クリスタル・サイレンス”。
チック・コリアの代表曲であるこの曲は、最初は自身が結成したリターン・トゥ・フォーエヴァーの1stアルバムで紹介され、一般的に知られるようになった名曲です。
このタイトルからお分かりの通り、曲は透明感に満ちており、ピアノとヴァイヴの繊細な音の重なりあいが美しい音空間を作り上げています。
即興を交えながら展開すること12分間。聴いているこちらは時がとまったような境地になります。
10分頃から静寂に吸い込まれてゆくような、そんな二人のプレイが厳かな余韻を残してエンディングを迎えます。
まさにECMレーベルのコンセプト「沈黙の次に美しい音」に相応しい、象徴的な楽曲だと言えます。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2021年11月12日 10:00