フルトヴェングラー/ヒンデミット:世界の調和(1953年ステレオ)&管弦楽のための協奏曲(1950年モノラル)(SACDハイブリッド)
「世界の調和」は真正ステレオ!
フルトヴェングラーの全録音のなかでも最高音質との噂が高い伊チェトラLP!
オリジナル・マスターからついに世界初SACD化!
「STEREO IS CCIR!」CCIR(ヨーロッパのイコライザー・カーヴ)はSTEREOだ!
イタリア・チェトラ社のFE(フルトヴェングラー・エディション)シリーズの制作元ミラノ・ディスコス社から取り寄せたマスターテープのケースには「世界の調和」についてこう明記されていた!もう1曲「管弦楽のための協奏曲」の方には「ATTENTION : MONO IS CCIR!!」との注が。この違いは?!
非ナチ化裁判でフルトヴェングラーを擁護するなど、深い友情で結ばれてきたドイツの作曲家ヒンデミット(1895-1963)。代表作2曲「世界の調和」と「管弦楽のための協奏曲」に遺した巨匠の貴重なライヴ。
「ヒンデミット作品は、贅肉のない引き締まった面を強調する指揮者が多い中、フルトヴェングラーは、深いところに根ざした拡張的アプローチを通じて、より肉厚で高貴な音楽を造り出している。現代的かつ機動的で清潔に演奏されるのが≪世界の調和≫の常道だが、フルトヴェングラーにかかると、厳密に定めた歩調と、重みをつけた響きによって、けっして有名とはいえないこの作品も貫禄を帯びてくる。てらいもなければ、ナンセンスの入る余地もないヒンデミットの書法には、解釈上の大きな誤差が生じるはずもないが、フルトヴェングラーの演奏はただ効果的というだけではない。時に熱を帯びる積極的な関与が見られ、つねに愛情が向けられている。≪世界の調和≫の二種類の録音のうち、優れているのはザルツブルクで演奏された二番目の方である。音質面でも、フルトヴェングラーの録音中、特筆すべきすばらしさの一枚と言えるだろう。」(『フルトヴェングラー グレート・レコーディングズ』ジョン・アードイン著 藤井留美訳 音楽之友社発行)
「世界の調和」は1982年チェトラ盤LP(FE-22)が"ステレオ"表示で出た時に、翌年発売されたワーグナーの≪指環≫とともに大騒ぎされました。キングレコードでは84年に国内初出LP(K17C-9425)として発売されましたが、疑似ステレオではないかとの疑念からモノラル盤にしております。88年にチェトラでCD化されましたが(CDE-1049)、こちらも同様にモノミックスした音に。これをキングでは輸入盤日本語解説つきで発売(KICC-7152)、日本に来たマスターテープからのCD化は見送られてきました。
このたびSACD化にあたって、39年ぶりにミラノ・ディスコスが制作したアナログ・テープ(38cm/秒、2トラック)の音質をチェックしてみたところ、余りに音が良すぎることにびっくり!純正モノラルや疑似ステレオとは明かに違う2チャンネル録音の<空間を感じさせる雰囲気>があります。これは2020年に「オリジナル・ステレオ録音!!」として発売した≪魔弾の射手≫全曲(KKC-4246/7)のときに調べた以下の記事を思い起こさせます。
仏フルトヴェングラー協会会報1983年9月号 P.Jaquard氏(以下の記事翻訳、桧山浩介氏訳、レコ芸85年2月号『名演奏家ディスコグラフィ』より)
「1953,54年のザルツブルク音楽祭ではフルトヴェングラー自身の提案によって、ステージ左右にセットされた3本ずつのマイクを通じて2チャンネルで収録されていた。マスターテープのスピードは76cm/秒(2トラック)で、録音エンジニアは巨匠の娘婿にあたるアルフレッド・クンツである。」
「世界の調和」は1953年ザルツブルク音楽祭での録音です。まさにこの記事に該当する画期的録音ではないかと思わせる今回、マスターテープを一切加工せずに、世界初SACD化を行ないました。「世界の調和」は他社(EMI,ORFEO等)からもすでにCD化されていますが、もっともオリジナル音源に近い音でSACD化したフルトヴェングラーの貴重な名演・録音をご堪能ください。
(キングインターナショナル)
【曲目】
ヒンデミット:世界の調和(1953)&管弦楽のための協奏曲(1950)/
フルトヴェングラー&ウィーン・フィル、ベルリン・フィル SACD-Hybrid
1. 交響曲「世界の調和」
2. 管弦楽のための協奏曲 作品38
【演奏】
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2)
【録音】
1953年8月30日 フェストシュピールハウス、ザルツブルク(ライヴ)(1)
1950年6月20日 ティタニア・パラスト、ベルリン(ライヴ)(2)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)
掲載: 2023年05月22日 18:00